いつの時代にも、若くして才能を見出されて「いずれはサッカー日本代表の中核を担う」と期待される逸材は存在する。だが、実際に国を背負って立つ存在になる選手はほんの一握りであり、大抵は“出世コース”から外れてしまう。今回は、高い期待値がありながらも代表の中心選手になれなかった逸材10人を紹介する。※成績は『transfermarkt』を参照[3/5ページ]
DF:中野伸哉(なかの・しんや)

【写真:Getty Images】
生年月日:2003年8月17日
所属クラブ:湘南ベルマーレ
2025リーグ戦成績:4試合0得点0アシスト
クラブ史上最年少出場記録を更新する16歳11カ月15日でのJリーグデビューに、あの稲本潤一を超える17歳6カ月10日での史上最年少J1開幕戦スタメン出場。
サガン鳥栖ユースが育んだ逸材・中野伸哉は、実に鮮烈なキャリアの幕開けを飾った。
しかし、パリオリンピック(パリ五輪)世代屈指の左サイドバック(SB)は、ブレイクスルーを果たせない状況を打破できずに苦しんでいる。
鳥栖で華々しいデビューを飾った中野は、俊敏性と正確なクロス、優れた戦術理解力を備えるクレバーなSBだ。
その才能はクラブだけでなく、13歳から名を連ねる日本代表の各アンダー世代でも発揮され、2019年に行われたFIFA U-17ワールドカップでは全4試合に先発出場している。
中野は当時高校1年生であり、5年後のパリ五輪に主力として出場することが期待されていた。
だが、中野のキャリアはリーグ戦全34試合に出場した2021シーズンを境に下降線を辿る。
2023シーズンにはリーグ戦出場が4試合まで激減。状況を変えるべく、五輪イヤーの2024年2月には鳥栖からガンバ大阪に完全移籍したが、加入初年度もリーグ戦出場は12試合と振るわなかった。
結局、選出確実と思われたパリ五輪のメンバーから落選。その後も苦戦は続いており、今季G大阪でのリーグ戦出場時間はわずか23分と厳しいものになっている。
その状況を受け、今夏には湘南ベルマーレに期限付き移籍したが、残留争いに苦しむクラブを変えるほどのインパクトは残せていない。
突如として失速してしまった中野に、現状で日本代表入りの未来を描くことは難しい。
間違いなく煌めく才能に恵まれた逸材であるだけに、再起のきっかけを作ってほしい。