いつの時代にも、若くして才能を見出されて「いずれはサッカー日本代表の中核を担う」と期待される逸材は存在する。だが、実際に国を背負って立つ存在になる選手はほんの一握りであり、大抵は“出世コース”から外れてしまう。今回は、高い期待値がありながらも代表の中心選手になれなかった逸材10人を紹介する。※成績は『transfermarkt』を参照[4/5ページ]
MF:松岡大起(まつおか・だいき)

【写真:Getty Images】
生年月日:生年月日:2001年6月1日
所属クラブ:アビスパ福岡
2025リーグ戦成績:30試合0得点0アシスト
2025シーズン、アビスパ福岡の松岡大起はJ1リーグ全32試合中29試合に先発出場している。
本来であれば十分に活躍していると言える成績ではあるのだが、20歳でフル代表入りを果たした男に対する期待値を鑑みると、現状は決して“花丸”を付けられる状態ではないのかもしれない。
サガン鳥栖ユースで育成を受けた松岡は、2018年3月に高校2年生でトップチームに2種登録された。
勢いそのままに、同年6月の天皇杯2回戦・多度津FC戦で途中出場して公式戦デビューを果たす。
翌2019シーズンはクラブ史上初となる高校3年生でトップチーム昇格を果たし、1年目からスタメンの座を奪取。鳥栖の原石は、いずれ日本代表の中盤をも背負って立つ存在になる予感を存分に漂わせていた。
2023年3月、清水エスパルスへと活躍の場を移していた松岡は「ブラジル行き」という大きな決断を下す。
清水で出場機会を得ていながら、あえて厳しい環境に飛び込んだ形だ。
しかし、ローン移籍で加入したグレミオ・ノヴォリゾンチーノではまさかの公式戦出場ゼロに終わる。
前年の2022年1月に日本代表初選出(追加招集)を飾っていた若手有望株は、地球の裏側で屈辱的な現実を突き付けられた。
結果的に、ブラジルでほぼ1シーズンを棒に振ってしまったことがキャリアの停滞を招いてしまった。
パリオリンピック(パリ五輪)世代の中心選手としてチームをけん引してきた男は、本戦メンバーから落選。初選出以降、日本代表からも遠ざかっている。
森保ジャパンの中盤は“最激戦区”と言えるほど選手層が厚い。
おくれを取った松岡がそこに割って入るのは容易ではないだろう。