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コラム 2か月前

売却決定で「歓喜」と「憤り」。サン・シーロはどう生まれ変わるのか。ミランとインテルに委ねられた未来図【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

新サン・シーロはどのようなデザインに?

 インテルとミランが選んだ世界的に重要な2つの建築事務所「マニカ」と「フォスター+パートナーズ」が、今後9カ月から12カ月の間に新スタジアムのプロジェクトをまとめることになる。

 前者は、アメリカを拠点とし、スタジアム建設のリーディングカンパニーで、バルセロナ本拠地の改修計画にも携わっている。

 一方、後者は、都市計画やランドスケープ設計などを強みとするイギリスの建築事務所だ。

 では、新サン・シーロはどのようなデザインになるのか。

 楕円形に近い形状が想定され、現行スタジアムの3層構造ではなく、2層構造となる計画だ。もちろん、商業施設も併設され、レストランやショップ、ホテルが設置される。クラブのミュージアムやオフィシャルストアも置かれ、駐車場も整備されることとなる。

 ただ、スカローニ会長は「世界で一番美しいスタジアム」と自信を持って語っているが、現サン・シーロのような唯一無二の外観はなく、デザインに独自性は感じられない。

 1925年8月1日の起工からちょうど100年を迎える節目の年に、奇しくも解体の目処は立った。もともとは、ミランの本拠地であったが、1947年以降、インテルもホームスタジアムとして使用している。

 作られた当初は、簡素でありふれたスタジアムに過ぎなかったが、1954年に大規模改修が行われ流線型のデザインが採用され、1990年にはイタリアで開催されたワールドカップに合わせて、3階席や屋根、11本からなる円筒状の螺旋階段が増設されている。

 1990年4月25日に行われたリニューアル後の最初の試合、ユーヴェとのコッパ・イタリア決勝、第2戦では、8万3928人の入場者を記録した。

 生まれた当初から今の姿をとどめていたわけではなく、改修と増設を重ねる中で、見る者を圧倒する世界に二つとない外観が形づくられていったのである。

 現在のサン・シーロは、解体されることとなるが、ミラノ市の審議が拮抗していたように、世論も保存と解体の意見で二分されている。

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