サッカー日本代表は14日、国際親善試合でブラジル代表と対戦。前半に2点を先行される苦しい展開を強いられながら、後半は見事に立て直し、3-2と大逆転勝利を収めた。サッカー王国から白星を奪うのは、これが歴史上初めてのことだ。

サッカー日本代表のCBは不安視されていたが…

　この10月シリーズでは、DF陣に不安の声が寄せられていた。長期離脱が確定していた冨安健洋、町田浩樹、伊藤洋輝に加え、板倉滉や高井幸大も負傷でアウト。その結果、瀬古歩夢や渡辺剛、鈴木淳之介ら、代表経験が豊富とは言えない陣容となった。

　しかし、ふたを開けてみれば、シリーズ開始前の不安は全くと言っていいほど的外れなものだったと気づかされた。とくに2人の活躍には驚きだ。

　鈴木はパラグアイ戦、ブラジル戦ともにパーフェクトだった。身体能力の高さに加え、左右両足をそん色なく使いこなす攻撃面での貢献度も光る。まだ欧州移籍1年目にもかかわらず、ブラジルという難敵にも通用することを証明した。

　欧州で着実にステップアップしている渡辺も、自慢の守備力を発揮。とくにブラジル戦は、ガブリエウ・マルティネッリやロドリゴという厄介な相手を前にしながら、後手に回ることなく、粘り強く対応している。カナリア軍団の左サイドはストロングポイントだっただけに、渡辺の奮闘は大逆転勝利に欠かせないものだった。

　彼ら2人が世界の強豪に渡り合えることを証明したことで、CBの層はより厚くなったといっても過言ではない。もはや、このポジションが最も充実しているのではないか。

　冨安、伊藤、高井、町田、渡辺、谷口、板倉、鈴木。全員がコンディション万全という前提だが、これほどの面子である。今回出番がなかった橋岡大樹、パラグアイ戦で低調だった瀬古、そのほか関根大輝やチェイス・アンリらに入り込む余地はないかもしれない。

　もちろん、冨安や伊藤、町田らも安全圏ではない。とくに伊藤と町田。

　今回左CBの鈴木は、レギュラーに相応しい活躍を見せたと言っていい。左右両足の質、身体能力の高さは伊藤や町田と大差なく、このままいけば若き怪物が、FIFAワールドカップ（W杯）開幕まで1年を切ったこのタイミングで主力へと躍り出るかもしれない。

　渡辺も十分にレギュラーを狙えるだろう。万全な状態の冨安はスーパーだが、彼がトップコンディションを取り戻せなければ、チャンスはある。

　もちろん、今シリーズですべての評価が決まるわけではない。しかし、渡辺と鈴木は、間違いなくW杯に近づいたはずだ。

（文：小澤祐作）

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