サッカー日本代表は14日、キリンチャレンジカップ2025でブラジル代表と対戦し、3-2の勝利を収めた。日本サッカー史を塗り替える歴史的な勝利の裏で、この10月シリーズにおいてアピールに失敗した選手も存在する。ワールドカップ本戦の招集を目指す中で、当落線上に立つ選手たちを紹介する。(情報は10月15日時点)[1/5ページ]
DF:瀬古歩夢(せこ・あゆむ)

【写真:Getty Images】
生年月日:2000年6月7日(25歳)
所属クラブ:ル・アーブル(フランス)
日本代表通算成績:10試合0ゴール0アシスト
10月シリーズ成績:1試合0ゴール0アシスト
この10月シリーズで、日本代表のディフェンスラインは危機に陥った。
板倉滉、町田浩樹、伊藤洋輝、冨安健洋らが招集外となり、主力の彼らを欠いた状態で難敵である南米2チームと戦うことになったからである。
逆に捉えれば、これまで出番の少なかった選手がアピールする機会でもある訳だが、瀬古歩夢は大きく評価を落としてしまった。
ル・アーヴルの25歳は、1戦目のパラグアイ代表戦に先発出場。瀬古は共に3バックを組んだ渡辺剛、鈴木淳之介よりもA代表での経験は豊富であり、ディフェンスリーダーとして最終ラインを統率することが期待されていた。
しかし、蓋を開けてみると、この試合で生まれた2失点のいずれにも関与してしまった。
最初の失点シーンでは、パラグアイ代表FWミゲル・アルミロンに裏抜けを許し、決められてしまった。同選手はオフサイドをとりにいったが、他選手とタイミングが合わなかったことが原因だ。
2失点目も、ディフェンス陣の連係不足からゴールネットを揺らされている。渡辺とポジションが被ったことで、両者とも中途半端な位置取りとなり、ディエゴ・ゴメスに簡単にヘディングシュートを許してしまった。
全体的に代表経験が浅く、若いラインナップになったとはいえ、この2失点は明らかに個人の判断ミスとコミュニケーション不足が原因である。
特に1失点目の瀬古の判断は非常に危険だ。右CBの瀬古にアルミロンの巧みなラインブレイクが見えていても、中央CBの渡辺にとっては死角からの不意打ちである。
このようなシチュエーションでは、瞬時に高度な連係が求められるオフサイド狙いよりも、相手に食らいつき、体でシュートコースを塞ぐ判断の方が賢明だっただろう。
瀬古に限らず、全体的にパラグアイ代表戦は守備の甘さが非常に目立った。守備陣が対応する前段階の、中盤や前線の選手の守備対応も然りである。
しかし、渡辺と鈴木は10月シリーズの目玉であるブラジル代表戦にも先発出場。強力なアタッカーにも臆せず対応し、歴史的な勝利に貢献した。
一方の瀬古にはチャンスが回ってこず、パラグアイ代表戦の挽回は叶わなかった。
この2試合の結果を見ると、瀬古だけが評価を落とした感が否めない。絶好のアピール機会で、非常に苦しいパフォーマンスとなってしまった。