ジャパンフットボールスポーツアカデミー高等学園（JFSA高等学園）が中学生・高校生を対象に18日に開催した「特待生・準特待生選考セレクション」を取材。特別選考員として訪れた人気YouTuberグループ「LISEM」に話を訊いた。（取材・文：加藤健一）

「セレクションとなると、そういう子たちが上に行く世界」

　10月18日、埼玉県飯能市の天然芝グラウンドに、数名の声が響いた。

　声の主はYouTube登録者数31万人超えを誇る人気グループLISEM（リゼム）。ジャパンフットボールスポーツアカデミー高等学園（JFSA高等学園）が中学生・高校生を対象に「特待生・準特待生選考セレクション」を開催していた。

　LISEMのメンバーはこのセレクションに特別選考員として参加しながら、プレーヤーとしてセレクション参加者とともにプレーした。20分ハーフのゲーム形式でセレクションは行われ、たかはGKとして前後半、りくは前半、けーごは後半のみ出場している。

　セレクションが行われたJFSAフィールドはJFSA高等学園が所有する天然芝グラウンドで、同じ飯能市内には学生寮も完備されている。サッカーに思う存分取り組める環境があるJFSA高等学園が行った今回のセレクションには、中学生だけでなく現役の高校生も参加している。

　セレクション後のLISEMメンバーに感想を訊いた。

けーご「球際には強くいったり、自分のプレーを出そうとしている子は何人もいましたね。セレクションとなると、そういう子たちが上に行く世界だと思うので、もっとみんながそういう要求をできるといいなと思います」

たか「（セレクションで大事なのは）エゴイストというか、自己中というか。でも、自分のプレーを出すのがセレクションだから。自分が目立つことが一番大事。自分のときはもっと我を出していたかな」

　そう話すLISEMメンバーにとって、少し寂しく映った部分があった。

けーご「ちょっと静かだなと思いましたね。もう少し『俺が、俺が』っていうのを見せてほしいなという気持ちはありました。盛り上げる子が何人かいても面白いかなと思います。まだ隠しているのかもしれないですけど」

　もちろん初めて会う選手とプレーするという環境も影響したのかもしれないが、参加した中学生や高校生が声を出してコミュニケーションをとるシーンが少なく、対照的にLISEMメンバーの声が響いた。

りく「前半プレーしましたけど、なるべく後ろから声を出そうと思っていた。僕が喋れば喋ってくれるかなっていう期待も込めながら」

「槙野君が練習に来たとき…」

　声を出す重要性を感じたのはサンフレッチェ広島ユース時代だったという。

しょうへい「ユースのとき槙野（智章）君が練習に来たときがあって、槙野君の声かけだけでミニゲームのチームがマジで変わった。声だけで変われるし、マジで凄いなっていうくらい声って大事」

　どんなことを喋ればいいか分からない選手もいたかもしれないが、たかは「別にプレーに対することでも、チームの士気を上げる言葉でも、とにかく喋らないと」と言う。

たか「サッカーって自分がボールを持つ時間って短いので、えぐいインパクトを残すプレーか、常に喋っているかしないと、セレクションでは目立てないと思う。もっと声を出せたら達成感があっただろうし、たぶんほとんどの選手が後悔していると思う。この後悔を次に活かすためにも、ここに入学したら持っている力をまだまだ出せると思うので、その力を出して欲しい」

　ともにプレーしながら選考をおこなったけーご、たか、りくとは異なり、ベンチから選手たちの様子を見ていたしょうへいは、選手たちの些細な行動を見逃していなかった。

しょうへい「前半終わったときに何人かはチームメイトと話し合ってましたね。自分のプレーをちょっとしか出せなかったとしても、何人かはしっかりチームをまとめようとしているのが見えましたね」

　LISEMメンバーの働きかけの効果もあって、少しずつではあるがコミュニケーションは増えていったようにも見えた。今回はセレクションという特殊な環境ではあったが、参加者にとってはこれからサッカーを続ける上で貴重な経験となったはずだ。

（取材・文：加藤健一）

【取材協力：JFSA高等学園】
埼玉県飯能市に施設を置くJFSA高等学園、学校法人 益田永島学園 明誠高等学校の「広域通信制課程」に則った科目履修が可能。サッカーでは、南米の名門BOCA JUNIORSの育成メソッドを継承するBOCA JAPANとの提携しており、天然芝フィールドや学生寮などの設備も整っている。