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WEリーグ 2か月前

「世界に行く」高橋はなが浦和レッズレディースで叶えたい夢「堀監督のもと今のメンバーでしかできないサッカー」【コラム後編】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Editor

 今季から三菱重工浦和レッズレディースのキャプテンに就任した高橋はなは開幕からここまで11試合すべてにフル出場し、チームの勝利に貢献している。SOMPO WEリーグで2季ぶりの優勝を狙う浦和は現在2位。主力の移籍に新戦力の加入と新たなチームに変貌を遂げている中でも高橋はチームのために変わらぬ姿勢を貫く。(取材・文:竹中愛美)

【単独インタビュー/取材日:10月19日】

「最強のレッズレディースを」新キャプテン高橋はなに今できること

三菱重工浦和レッズレディース 高橋はな

【写真:編集部】


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 昨季はAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)でベスト8敗退。シーズン終盤には楠瀬直木前監督から堀孝史監督へ交代となった。リーグ3連覇を狙ったが、優勝争いで失速し、3位に終わった三菱重工浦和レッズレディース。

 オフには塩越柚歩や猶本光、石川璃音、遠藤優、栗島朱里らクラブの主力や生え抜きが移籍。一方で、加藤千佳や榊原琴乃、エスタ・マイ・キスら新戦力が加わり、熊澤果歩と髙橋佑奈がユースから昇格を果たした。

 このような大きな変化があった中で、新たなキャプテンに就任したのが下部組織出身の高橋はなだ。

「シーズンごとにチームが少し変わるというのはたくさんある話なので、そこは仕方ないなと思う部分はありますけど、チームにとっては本当にいろんなポジティブな要素はたくさんある」とクラブの転換点について切り出した。

「常にこのクラブは世界を目指してますし、その中で今自分たちに何ができるか、何をしなければならないのかというところに目を向けていたので、クラブの期待にも応えられなきゃいけないですし、もうやるべきことがたくさん本当にありすぎて、変に後ろを向くことはなかったです。

 だから、今できることを全力でやろうと思って。堀監督のもと今のこのメンバーでしかできないサッカー、そして、作れないチームが私にはあると思うので、最強のレッズレディースをまた新たに更新できればなと私は思ってます」

 高橋の眼差しはまっすぐで、言葉にも力がこもった。

 シーズンが開幕してからおよそ2か月が過ぎたが、その言葉通り、浦和は既存戦力と新戦力の融合に加え、若手の台頭もあり、新たな浦和のサッカーを築いている。

「チームとして徐々にやれることが増えていっている」

三菱重工浦和レッズレディース 高橋はな

【写真:©URAWA REDS】

 丹野凜々香や櫻井まどか、平川陽菜ら若手と高橋や池田咲紀子、伊藤美紀、長嶋玲奈、島田芽依ら主力、そして、これまでチームを支えてきたベテランの安藤梢や菅澤優衣香らが良いバランスで噛み合っていることも追い風だ。

 浦和らしいつなぐサッカーやリーグ最少失点を誇る守備だけでなく、今季は前からのハイプレス、ワイドにダイナミックな攻撃的サッカー、流動性を持った守備陣形と攻守においてバリエーションが増えている。

 高橋は前半戦についてこう振り返る。

「自分たちがやろうとしている堀監督の目指すサッカーの積み上げが段々時間とともに成熟してきていて、内容・結果ともにそれが表れてきているのは非常に嬉しいことでもあります。チームとして徐々にやれることが増えていっているのは非常にポジティブかなと思いますし、日々仲間が頼もしくなっているのをすごく感じます」

 前半戦の成績は8勝2分1敗、勝ち点26の2位。首位のINAC神戸レオネッサとの勝ち点差はわずか2である。

 充実したシーズンを送っている高橋だが、先述したように今季は7シーズンにわたってチームを牽引してきた柴田華絵からキャプテンを託された。その意味もしっかりと理解している。

「浦和レッズレディースでキャプテンマークを巻けるのは誰しもができることではないですし、非常にありがたいことではありますけど、それとともに責任であったり、覚悟であったり、自分自身がどうプレーするか、どう行動するかが非常に大事になると思うので、そこの責任のところはより気が引き締まりました」

 さらに、このように続けた。

高橋はなが前主将・柴田華絵に抱く思い「その背中に少しでも追いつけるように」

三菱重工浦和レッズレディース 高橋はな

【写真:©URAWA REDS】

「ずっと7シーズン柴田選手がキャプテンマークを巻いてくださって、今でもチームを支えてくれる本当に貴重な選手なので、その背中に少しでも追いつけるようにしっかり頑張っていきたいなとは思ってます」

 その前任の柴田から何かアドバイスのようなものはあったのだろうか。

「上の選手たちが普段からいつもチームも私自身のことも助けてくれるので、非常にありがたいというか、心の支えになっている。何かがあってもすごく声を掛けてくれますし、それこそ柴田選手もチームをずっと変わらず支え続けてくれている。そういった選手たちのおかげで私も私らしく伸び伸びやらせてもらっている」と言葉があったというよりも日々の支えが大きいようだ。

 先輩たちの存在ももちろん大きいが、高橋も気付けば浦和レッズレディースジュニアユースから数えると今年で在籍14年目になる。生え抜き選手としての思い、これまでお世話になってきたクラブへの思いは当然増すばかりだ。

「うーん、語るのが難しいぐらいですけど」と笑ってみせたが、徐々に真剣な表情に切り替わってこう答えた。

「このクラブに入ることができなければ今の私はない」高橋はなは後半戦も全力で走り抜ける

三菱重工浦和レッズレディース 高橋はな

【写真:編集部】

「私はこのクラブに入ることができなければ今の私はないので、本当にいろんな面でサッカー選手として、人として育てていただいたこのクラブに対して何ができるかって考えたときに、まずは私自身が今まで教わったことを、サッカーの部分ではサッカーでしっかり表現すること。

 そして、人として大切なこともたくさん学んできたので、この浦和のエンブレムを背負うところ、サッカーだけでなく人間としても育成選手たちの手本となれるような選手で居続けたいなっていうのは日々思ってます」

 なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)でも国際経験を着実に積む25歳は、名実ともにクラブの顔として、掲げた国内3冠を達成するべく後半戦も全力で走り抜ける覚悟だ。

「前半戦は悪くない立ち位置を保てているとは思うので、後半戦は自分たちが積み上げてきたことの継続と前半戦で出た課題にしっかり向き合って、また力強いレッズレディースを見せていけたらなと思います。ひとつも落とさずに後半戦突っ走っていけるように自分自身がまずやるべきことをしっかりチームのためにやっていきたいなと思ってます」

 クラブでも代表でも着実に成長してきた高橋。その活躍を支えているものがある。

高橋はな、25歳の原動力と夢「本当にたくさんありますけど」

三菱重工浦和レッズレディース 高橋はな

【写真:©URAWA REDS】

「本当にたくさんありますけど、私自身は家族の存在が大きいかなと思います。いつも応援してくれてるので、家族のためにまずは頑張りたいなって。いつも応援してくれているからこそ喜んでくれるのがすごく嬉しい」と家族の存在が原動力になっているようだ。

 家族のため、チームの勝利のため、ここまで献身的な姿勢を貫ける25歳の等身大の夢は何なのだろうか。ひとつくらい自分のためのものであってもいいのかと思ったが、「夢?ハハハ!」とこの取材で何度飛び出したかわからないくらいの笑顔ではにかんでこう答えた。 

「世界にレッズレディースの名を轟かせること、レッズレディースで世界に行くことが今の大きな目標です」

 高橋の夢はすごくシンプルなものだったが、その言葉からは強い思いが感じられた。この目標を達成したら、自分のための夢が聞けるのだろうか。またその屈託のない笑顔で答えてくれるのか、楽しみだ。

(取材・文:竹中愛美)

【NEXT HOME GAME】
2025/26 SOMPO WEリーグ 第13節 
三菱重工浦和レッズレディース対INAC神戸レオネッサ
11/8(土)14時キックオフ 浦和駒場スタジアム
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【了】

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