「裕福な家庭に生まれたサッカー選手」と聞くと、どこか恵まれた特権階級のイメージを抱くかもしれない。しかし実際には、経済的に豊かな環境で育ちながらも、自らの意思で努力を重ね、世界のトップシーンに立った選手たちが存在する。今回は、異なる背景を持つ5人の“エリート育ち”の選手たちを紹介する。[4/5ページ]
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FW:ジャンルカ・ヴィアッリ(元イタリア代表)
生年月日:1964年7月9日
主な所属クラブ:サンプドリア、ユベントス、チェルシー
イタリアで「裕福な家庭出身のサッカー選手」と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、2023年に58歳でこの世を去ったジャンルカ・ヴィアッリだ。
ヴィアッリはサンプドリアでセリエA優勝やUEFAカップウィナーズカップ制覇を経験し、ユヴェントスではUEFAチャンピオンズリーグ(CL)制覇を果たしたストライカーだ。
1996年にはチェルシーへ移籍し、プレーヤー兼監督としてチームを率いた時期もあり、FAカップなど複数のタイトルをもたらした。
闘志と品格を兼ね備えた名ストライカーとして、行く先々で愛された存在だった。
その品格の背景には、「育ちの良さ」があったと言えるだろう。
父ジャンフランコ氏は、20代前半で建設会社を創業し、好景気の波に乗って会社を大きく成長させた実業家。ヴィアッリの実家は、北イタリア・クレモナ近郊のベルジョイオーゾにある、14世紀建造の城だった。
60室を有し、広大な庭園を備えるその邸宅で、彼は両親と4人の兄弟とともに幼少期を過ごした。
やがてその城を離れたが、休暇のたびに訪れるなど、家族にとって大切な拠点として長く親しまれた。
現在は結婚式などの会場として一般に開放されているという。
ヴィアッリは2023年1月に膵臓がんのため亡くなり、翌2024年11月には父ジャンフランコ氏もこの世を去った。
栄光と気品に彩られた人生は、多くの人々の記憶に今も刻まれている。
