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だからサッカー日本代表は3バックが活きる。4バックでは不可能な得点の形。ガーナ代表戦の2段構えがW杯の必勝パターンに

text by 加藤健一 photo by Shinya Tanaka

 サッカー日本代表は14日、豊田スタジアムで行われたキリンチャレンジカップ2025でガーナ代表と対戦し、2-0で勝利した。この勝利はFIFAワールドカップ26(W杯)を戦い抜くうえで大きな手応えになるはずだ。
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サッカー日本代表の3バックが活きた試合

日本代表
【写真:田中伸弥】


 日本代表は2024年6月のFIFAワールドカップ26アジア2次予選、ミャンマー代表戦で3バックを採用。以降は状況によって限定的に4バックに可変することはあったが、基本的には3バックの布陣で戦ってきた。

 日本代表の3バックシステムのポイントは、ウイングバック(WB)にサイドバック(SB)ではなく、ウイング(WG)の選手を起用することにある。右は堂安律や伊東純也、左は三笘薫や中村敬斗が主に起用されてきた。

 もちろん欠点のないシステムなど存在せず、どんな布陣にも強みと弱みがある。

 たとえば、WBが最終ラインに吸収されて5バックとなったとき、最終ラインの選手として振る舞えるか。逆サイドからのクロスに対して絞る動きや、背後をケアする動きができるかどうかが失点に関わってくる。

 ガーナ代表戦では強みが出た。60分に2点目を奪ったシーンは、左サイドで鈴木淳之介が相手のパスをカットしたところが起点となった。


 そこから中村敬斗を経由して、上田綺世の落としを久保建英が運んでバイタルエリアへ。細かいタッチでためを作り、後ろから走り込んできた堂安律につなぎ、ペナルティーエリアに侵入した堂安が左足を振り抜いた。

 4バックでSBの選手があそこに飛び込んでいけるかと言われたら、難しいのではないだろうか。両ワイドの選手がゴールに絡む形は、この布陣だからこそ可能になると言っていい。

 日本代表は直近3試合連続で2失点を喫していたが、この日はシャットアウトに成功した。

 もちろん相手の特徴や力量の違いは考慮しなければいけないが、3バック布陣における守備面での不安もこの試合では露呈しなかった。堂安と中村の両WBの献身性がベースにあるからこそ、この攻撃的な3バックが活きると言い換えることもできる。

 ガーナ代表戦の終盤は菅原由勢をウイングバックに、安藤智哉を3バックの一角に入れ、高さや守備強度を補強した。2段構えの臨機応変な采配ができれば、弱点を最小限に抑えつつ3バックの強みを前面に出すことができる。

 これはW杯での必勝パターンになるかもしれない。

(取材・文:加藤健一)

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【了】

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