フットボールチャンネル

サッカー日本代表、鈴木淳之介は何が凄かった? 完璧にこなした一人三役。冨安健洋らに鳴らす警笛

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

 サッカー日本代表は、14日に行われたガーナ代表との国際親善試合を2-0で制した。今年6月に初めて森保ジャパンに選出された鈴木淳之介は、代表4キャップ目とは思えない堂々たるプレーを披露し、存在感を示した。この試合での活躍により、ワールドカップ(W杯)本大会に向けたセンターバックの序列にも変化の兆しが見え始めている。
——————————

圧巻のプレーを披露した鈴木淳之介

サッカー日本代表、鈴木淳之介

【写真:田中伸弥】


 この日、3バックの左でスタメン出場した鈴木は、立ち上がりから相手選手と激しいバトルを展開。屈強なフィジカルを持つガーナの選手を前にしても当たり負けせず、1対1の局面で強烈な存在感を放った。

 また、守備だけにとどまらず、前進局面でも相手のプレッシャーを受けながら落ち着いてボールを運び、ビルドアップの軸として試合の流れを安定させる活躍を見せている。

 鈴木は元々ボランチを主戦場としてきた選手だけに、状況に応じて細かくポジションを調整する判断力も際立った。

 田中碧が最終ラインまで落ちる場面では、鈴木が素早くサイドバック気味の位置を取り、出口を作るようにボールを引き出す。そんな気の利いたポジショニングの細かな微調整が随所で光っていたのも評価が高い。

 さらに、特筆すべきは75分に左ウイングバック(WB)へポジションを移しても、高いクオリティを発揮した点だ。

 85分、左サイドでボールを受けると、スペースへ走り込む藤田譲瑠チマの動きをいち早く察知。利き足ではない左足で完璧なスルーパスを供給し、決定機を生み出す技術の高さを印象づけた。

 センターバックとWBを同じ試合の中で高いレベルでこなすユーティリティ性はまさに圧巻の一言。日本代表にとって、新たな武器となり得る多彩さが存分に示された90分だったと言える。


 試合後、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長は「落ち着き、対人、ボールの運び方、つけるところ、色んな意味でどんどんレベルアップしてるなと思います」と評価した。

 森保一監督も鈴木の起用について「3バックのサイドが適性かなとは思っています。相手の攻撃を止めながら、攻撃に出ていくという部分ではWBでもプレーできるというところを見させてもらったかなと思います」と語り、その万能性に太鼓判を押す。

 直近の日本代表は最終ラインに負傷者が相次ぎ、ワールドカップ(W杯)本大会までのチーム構築が懸念されていた。

 しかし、その状況下で突如台頭してきた鈴木は、日本代表の戦い方に新たなオプションをもたらす存在となった。

 それと同時に、この日のパフォーマンスは、これまで森保ジャパンの主力として扱われてきた伊藤洋輝や冨安健洋らの存在意義を大きく揺るがすほどのインパクトを持っていたと言っていいだろう。

 この活躍を見れば、W杯メンバー入りはもはや「当確」に近い。むしろ、日本代表の新たな核となるべき主力として、大会本番でスタメンを張っていても不思議ではない。

(文:編集部)

【関連記事】
英国人が見た日本代表対ガーナ「佐野海舟はW杯で…」「W杯で歴史を作りたいなら…」
足首がぐにゃっ…。サッカー日本代表、田中碧のファウルが大事になったわけ。ガーナ人MFの足の出し方は危険だった
日本代表、ガーナ戦全選手パフォーマンス査定


【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!