サッカー日本代表は18日、国立競技場で行われた国際親善試合でボリビア代表と対戦し、3-0で勝利した。2026FIFAワールドカップ(W杯)へ向けて、森保一監督が常々話してきたことが「2、3チーム編成できる選手層」だ。14日のガーナ代表戦から先発7人を変更したが、結果を残してみせた森保ジャパン。年内最後の強化試合で見えてきた現在のチーム作りはいかに。
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サッカー日本代表はW杯で戦い抜くために模索し続ける
ボリビア代表戦が森保一監督にとって、国際Aマッチ指揮100試合目であった。
「チーム一丸となって1戦1戦戦っていくという気持ちでここまで来たので、特に自分の中での感慨がない」と話すように、この数字は森保監督にとってはあくまでも通過点なのかもしれない。
すべては目標であるW杯で優勝するために。世界を相手にしても勝てるように。
森保監督がW杯を想定して、度々口にするのが「普段から1チームだけの強化ではなく、2、3チームぐらいチームを編成できる選手層でなければ、世界の舞台では勝っていけない」というものだった。
アジア最終予選終了後、新たな戦力を起用し、模索を続けてきた森保ジャパン。
9月から3か月連続で行われた国際親善試合では、メキシコ代表やアメリカ代表、パラグアイ代表と対戦し、2分1敗と勝利がなかったが、10月のブラジル代表戦での歴史的勝利からはガーナ代表、ボリビア代表と3連勝を飾った。
その中で各ポジションにおいて新戦力が台頭したことは、森保監督が就任して以降、積み上げてきたベースに上積みされたと言ってもいいのではないだろうか。
ゴールキーパーでは早川友基が特筆すべき存在だろう。ミスのない堅実なプレーはもとより、カバーリングの広さ、そして、左右両足の技術の高さでビルドアップにも貢献する。
今回の11月シリーズは鈴木彩艶の負傷によりまわってきたチャンスだったが、2戦連続で完封したことは大きな自信となったに違いない、
センターバックでは、ブラジル代表戦とガーナ代表戦でフル出場を果たした鈴木淳之介や谷口彰悟、渡辺剛の3人が計算できることがわかったのも大きい。
新戦力の台頭によって選手層が厚くなったポジションとは
中でも今年の6月に代表初招集となり、ここまで急成長を遂げている鈴木は、センターバックの序列を脅かしつつある。
対人での強さに、ボランチ出身の選手ということもあってか、前への推進力にも長けている。14日のガーナ代表戦では終盤にウイングバックで起用されたが、藤田譲瑠チマにスルーパスを入れ、決定的なシーンを生み出すなどユーティリティー性も示してみせた。
もちろん、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でインテルなど強豪クラブとの対戦を経験している板倉滉や負傷に苦しむ冨安健洋、伊藤洋輝、町田浩樹、高井幸大の存在も忘れてはならない。
コンディションが万全な状態であれば、いまやセンターバックが一番競争の激しいポジションになっているのかもしれない。
ボランチでは、ガーナ代表戦で先発した田中碧と佐野海舟の攻守にわたる献身性が光った。特に、佐野は相手の攻撃の芽を素早く察知し、何度もボールを刈り取ってみせた。
持ち味であるボール奪取に加えて、縦への意識も随所に見られた。自身が課題としている攻撃面で代表初アシストをマークするなど、佐野も存在感を放っているひとりだ。
この2人のほか、ボリビア代表戦に先発した遠藤航と鎌田大地、負傷で招集外となっている守田英正もいる。ボランチも激戦区のポジションだ。
遠藤に関しては、所属するリヴァプールでの出場機会が限られているとあって、試合勘が戻れば。守田に関しては、コンディションが上がってくれば、森保監督の言う「最強、最高のチームを作る」というW杯に向けた命題をクリアすることができるかもしれない。
年内最後のテストマッチを終えた森保監督は、報道陣から「9月以降、様々な選手が台頭した中で成果と課題を挙げるとすれば、それは何なのか」という質問を受け、このように答えている。
「メンバーは多少入れ替わりながらも…」森保一監督が口にした手応え
「メンバーは多少入れ替わりながらも、チームの戦い方や攻守におけるコンセプトを選手たちがピッチ上で表現するという部分のクオリティは上がっていったかなと思います」
森保監督のこの言葉に表れているように、コアメンバーのレベルアップと経験の場だけではなく、新戦力の起用によるチームの底上げを図り、チーム作りを進めてきたことへの自負が感じられた。
前回のカタールW杯の1次リーグは初戦から大幅にメンバーを変更し、コスタリカ代表に痛恨の敗戦を喫した。
9月には先発を総入れ替えしてアメリカ代表に惨敗。10月も控え組を多く入れたパラグアイ代表戦で引き分けに終わっていただけに、ボリビア代表戦は理想の形とも言える。
W杯まで残りおよそ7か月。ここに明記したポジション以外でもコアメンバーを脅かすほどのインパクトをどれくらいの選手が残せるのか。
ベスト16の壁、さらには目標とするW杯優勝へはさらに選手層に厚みを持たせることが重要である。
(取材・文:竹中愛美)
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