サッカー日本代表は、18日に行われた国際親善試合でボリビア代表を相手に3-0で勝利した。この試合では、遠藤航が9月シリーズのメキシコ代表戦以来の出場を果たしたものの、ベストパフォーマンスとは程遠い内容に終始した。
——————————
万全のコンディションではなかった遠藤航

【写真:田中伸弥】
この日、鎌田大地とボランチを組んでスタメン出場した遠藤は、約2カ月ぶりの日本代表でのプレーとなった。
懸念はあった。所属するリヴァプールでは試合に絡めておらず、10月30日に行われたEFLカップのクリスタル・パレス戦を最後に実戦から離れていたため、試合勘の部分が心配された。
遠藤は、昨季からリヴァプールの監督に就任したアルネ・スロットの影響により、急激に出場時間が減少。実際、加入1年目のリーグ戦の出場時間が1720分だったのに対し、昨季は260分と大幅に短縮されている。
今季も、状況は変わらず、リーグ戦4試合に出場してプレータイムはたったの36分と窮地に陥っている。
不安は的中した。試合勘の不足かコンディションの影響か、今回のボリビア代表戦を見ると、明らかにパフォーマンスは良くなかった。以前までなら中盤でインパクトあるプレーを残すが、どうにも目立たなかった。
遠藤自身は「ゲーム感みたいなところはそんなに落ちないと個人的には思ってる」とコメントを残したものの、随所で遠藤らしからぬ守備対応が見受けられたのは事実だ。
データサイト『Sofa Socre』によると、この日の遠藤はタックル成功数は3回、同成功率100%という記録を叩き出したが、その一方でデュエルは12回に対して勝利数が4回と、勝率が50%を下回る結果になった。
この大きな原因としては、システム上でのズレや、プレスのズレから生まれたリアクションディフェンスだったことが考えられるが、試合勘を失ったために起きた判断ミスも一因だ。
実際に25分のシーンを振り返ってみると、ハイプレスがはまらずサイドでボールを受けたフェルナンド・ナバに遠藤が遅れて対応。すると、細かいフェイントに思わず足を出してしまい簡単にかわされてしまった。
結果、スライディングで止めた菅原由勢にイエローカードが提示されてしまった。
遠藤の良さでもある“引かずに前に出る守備”は、高い位置かつ前向きでボールを奪うことが出来る反面、上記の様に判断を誤ってしまうと、一気にひっくり返されて運ばれてしまい、ピンチを招く恐れがある。
その一瞬のジャッジは試合勘を取り戻す他ないだろう。そのためにはこの冬に、出場機会を増やすことができるクラブへの移籍を考慮するべきではないだろうか。
W杯直前の新天地への移籍は、選手にとってはリスクのあることかもしれないが、今の遠藤にとっては、そのリスクを取らないといけない状況に立たされているのも事実だ。
遠藤が欠場していた10月シリーズの日本代表で、一気に株を上げた佐野海舟がダブルボランチの一角の最有力候補になりつつある。
このまま、リヴァプールに在籍し来年のW杯に挑むのか、他クラブに渡り試合経験を積んで挑むのか。
チームにとっても、遠藤自身にとっても後者の方が、W杯優勝という目標を達成するためには必要なのではないだろうか。
【関連記事】
英国人が見たサッカー日本代表対ボリビア「中村敬斗は非常に…」「冨安健洋の穴をよく埋めている」「イングランド代表も怖がる必要はない」
サッカー日本代表、ボリビア代表戦全選手パフォーマンス査定
W杯はもう絶望…? サッカー日本代表に呼ばれなくなった5人
【了】