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J2 7時間前

ジェフ千葉と髙橋壱晟、“3年間の歩み”。「1年目はとにかく前へ」「2年目はぶれずに」「3年目は…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 photo by 松岡健三郎, Getty Images
17年ぶりにJ1復帰を決めたジェフユナイテッド千葉
17年ぶりにJ1復帰を決めたジェフユナイテッド千葉【写真:松岡健三郎】



 2025明治安田J1昇格プレーオフ決勝が13日、フクダ電子アリーナで行われ、ジェフユナイテッド千葉が、徳島ヴォルティスを1-0で退け、J1リーグへの昇格を決めた。小林慶行監督体制3年目の今季、“6度目の正直”で悲願を達成。殊勲の1アシストを決めた髙橋壱晟が胸の内を明かした。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]
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「やっとだなと。嬉しいよりもやり切った感じでした」

髙橋壱晟 ジェフ千葉

アシストでチームの勝利に貢献した髙橋壱晟【写真:Getty Images】

 J1昇格プレーオフ決勝に臨んだジェフユナイテッド千葉が徳島ヴォルティスを破り、17年ぶりのJ1復帰を決めた。

 試合終了のホイッスルが鳴った。その瞬間DF髙橋壱晟は倒れ込むようにピッチに両ひざをつくと、涙で頬を濡らしながら歓喜の瞬間を味わった。

「やっとだなと。嬉しいよりもやり切った感じでしたし、すぐに涙が出てきました」

 試合はホームの千葉ペースで進む。2分、DF日高大のクロスからFW石川大地がシュート。6分にはMF杉山直宏の突破からFWカルリーニョス・ジュニオが合わせチャンスを作る。

 なおも攻勢の千葉は33分に髙橋がアーリークロスを入れ、決定機を作ったが、J2最少失点を誇る徳島の堅い守備の前に跳ね返され続けた。



 徳島はウイングバックが下がり、千葉のサイドバックを引き出そうと駆け引きをするも、髙橋は状況を理解していた。

「徳島には、僕と(日高)大くんを引き出したい狙いもあるので、無理する部分ではなく(プレスを自重する)判断でした」

 スコアレスのまま迎えた69分に試合は動いた。

 スローインからボールを受けた石川が逆サイドに大きく展開。スペースに駆け上がった髙橋がタイミングを計り右足でクロスを送ると、飛び込んだカルリーニョス・ジュニオが頭で合わせてゴールネットを揺らした。

「壱晟のクロスは完璧だ」カルリーニョス・ジュニオも絶賛

ジェフユナイテッド千葉 カルリーニョス・ジュニオ
先制点をあげたカルリーニョス・ジュニオ【写真:松岡健三郎】

 その瞬間を見届けた背番号2は両手を挙げて、ベンチ前の輪に向かうとコーチやスタッフ、ベンチメンバーと抱擁し仲間と喜びに浸る。何事にも代えがたい幸せな瞬間となった。

 そのアーリークロスは間違いなく“絶対に勝ちたい、サポーターに勝利を届けたい”と切望した気持ちが、その右足に宿ったものだった。

「サイドに出そうとか、もう少し運ぼうとか、色々な選択肢があって、一番良いところにカル(カルリーニョス・ジュニオ)が走り込んでくれていたので上手く合わせられました」

 その判断もだが、練習に練習を重ねてきたクロスが、この大一番で実った形となった。

「練習を続けてきたからこそだと思いますし、シーズン途中で、それが出ていれば自動昇格もあったかもしれないですけど(笑)。それでも続けてきた甲斐というか、ここでうまく出せたので良かったです」



 一方、貴重な先制点を挙げたカルリーニョス・ジュニオは「壱晟のクロスは完璧だ」と口にし、頭に当たった瞬間にゴールを確信したという。

 その後、押し込まれる時間帯も続いたが1点を守り切ることに徹した。

 5バックに変え、高橋も「みんなで集中し、問題なく跳ね返せていたと思います」と語るように、ディフェンス陣が激しい闘争心をもって相手に体をぶつけゴールを最後まで守った。

 攻守に奮闘した27歳のサイドバックは、こう胸を張る。

分岐点となったコンバート「3年間積み上げたものなので」

山田奈央 昇格プレーオフ
徳島ヴォルティスの山田奈央と競り合う日高大【写真:Getty Images】

「粘り強くやれているからこそ1-0で勝てたと思いますし、リーグ後半戦は1-0の試合がたくさんあり、粘り強さも3年間積み上げてきたものなので」

 J2降格が決まったのは2009年。これまで千葉はプレーオフの高い壁に5回跳ね返され続けてきたが、その歴史を自分たちのプレーで変えて見せた。

 髙橋は2017年に青森山田高校を卒業し、千葉に加入。その後、レノファ山口FC、モンテディオ山形への期限付き移籍を経て、2020年に千葉へ復帰。今年でプロ9年目を迎える。

 ポジションも中盤のプレーメーカーから2023年途中から右サイドバックへとコンバート。公式戦で経験を積み、自身のポテンシャルが開花。自らのサイドバック像を作り上げてきた。



 その中、今シーズンはチーム最多となるリーグ戦37試合に出場(3330分)し攻守で牽引。今や右サイドでゲームを動かす背番号2は、チームにとって欠かすことのできない存在でもある。

「僕は試合に出られない時期も長く、その中で一生懸命にやってきたからこそ、こうやってポジションが変わったなか、1つ形を残せたと思っています」とコメント。加えて「腐らずやることは改めて大事だと思います」と続けた。

 髙橋個人だけでなく、小林慶行監督が指揮を執り3年目となるチームも成長を重ねた。

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