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コラム 2時間前

サッカーU-22日本代表MF小倉幸成は悔しさも危機感も力にする。「それを無駄にしてはいけない」「鹿島アントラーズはレベルが違う」【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images, Editors
サッカーU-22日本代表MF小倉幸成
法政大学に所属するサッカーU-22日本代表MF小倉幸成【写真:編集部】



 IBARAKI Next Generation Cup2025に出場するサッカーU-22日本代表は24日にU-21関東大学選抜と対戦する。このチームの中心的存在でもある小倉幸成は様々な経験を糧に、さらなる高みを目指しチームを勝利に導く。(取材・文:加藤健一)[1/2ページ]
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勝つ準備と勝つ姿勢

U-20日本代表MF小倉幸成
【写真:Getty Images】

 2028年のロサンゼルス五輪を目指すU-22日本代表は、様々なカテゴリーでプレーする選手で構成されている。

 すでにサッカー日本代表(A代表)でもプレー経験のある佐藤龍之介や、Jリーグで主力として活躍する市原吏音のような選手もいれば、土屋櫂大のようにJ1クラブでなかなか出場機会が得られていない選手もいる。また、森壮一朗や齋藤俊輔のようにシーズンの中で大きく成長する選手が出てくるのも、この世代ならではと言える。

 そして、大学生もこのチームを構成する1つの勢力と言える。法政大学でプレーする小倉幸成は、大岩剛監督が就任する前からこの世代で主力を担ってきた選手だ。

「勝つ準備、勝つ姿勢を全面に出していきたい」


 年末に行われるIBARAKI Next Generation Cup2025の2試合に向けて、小倉はそう語った。限られた機会ではあるが、本人の視線は年明け早々に開幕するAFC U23アジアカップ、さらにはロサンゼルス五輪に向けた競争へと向けられている。

 小倉にとって2025年はサッカーキャリアに大きな影響を与えたシーズンになった。

「ロス世代はもっと強くなる」現役大学生が世界で感じたもの

U-20日本代表
【写真:Getty Images】

「あの舞台でやれたっていうのは本当に非常に大きな経験だった」と言うように、今秋に行われたFIFA U-20ワールドカップでの経験は大きな転換点だった。

 グループステージでは手応えをつかんだが、決勝トーナメントでは悔しさも味わった。フランスとの決勝トーナメント1回戦ではPK戦直前の失点でチームは敗退。試合後、誰よりも悔しさを露わにした姿が印象に残っている。

「本当に、自分自身にとって忘れられない試合になったと思う。ただ、それを無駄にしてはいけないと思っています」


 経験を振り返る言葉は冷静だ。だが、その裏には「知っている側」として次の世代を引き上げなければならないという自覚がある。

「その経験を発信できれば、ロス世代はもっと強くなると思う」

 小倉は個人の糧にとどめず、チーム全体に還元しようとしている。

 このチームの練習を見ていると、ピッチの中央から頻繁に声が聞こえる。声の主は小倉である。

「自分自身もそこのところは、売りにしてるところではある。こういう即席チームは馴染むのが難しいし、自分も初招集のときは多少入りにくさもあった。それを経験しているからこそ、初招集の選手も入りやすい雰囲気を作るのはとても大事だと思っている」

小倉幸成が果たすフォロワーシップの役回り

サッカーU-22日本代表DF市原吏音
この年代のチームでキャプテンを務めてきた市原吏音【写真:編集部】

 ロス五輪までは2年半ある。この世代の強化において難しいのは、本番までにメンバーがどんどん変わっていくことにある。おそらく、今のメンバーのほとんどは五輪本番のピッチに立っていないだろう。

 だからこそ、この即席チームには小倉のような選手が必要になってくる。

「アジアカップもあるが、そういう一体感が大事になってくる。チーム全員が同じ気持ちで入れるような声は自分自身も意識している」

 チームには市原というキャプテンシーを持った中心がいる。だが、それを下支えする選手がいるかどうかが重要になる。


「吏音がやってくれる部分もあるし、それに乗っかっていかないといけない」

 小倉の言葉はフォロワーシップという言葉に集約される。そのメンタリティに影響を与えたのは、鹿島アントラーズで過ごした時間になるだろう。

 鹿島つくばジュニアユースから鹿島ユースに進み、法政大学に進んだ。ユース時代は小笠原満男の指導を受けた。また、今年1月には自ら志願し、鹿島のトップチームのキャンプに帯同している。

「鹿島はレベルが違うと改めて感じました。自分も鹿島で育ってきましたが、勝者のメンタリティ、常勝軍団というものを、もう一度再確認できた」

 プロの強度や要求水準を間近で体感したことは、代表活動に臨む現在の姿勢にもつながっている。

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