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コラム 2週間前

「日本の高校ではたぶん初めて」京都橘は高校サッカーの新たなトレンドになるか?「ヨーロッパをモデルに日本流にアレンジ」【コラム】

シリーズ:コラム text by 北川信行 photo by 京都橘,スクリーンショット
京都大会を制し、3大会連続の出場を決めた京都橘イレブン(京都橘提供)_

京都大会を制し、3大会連続の出場を決めた京都橘イレブン【写真提供:京都橘】



 第104回全国高校サッカー選手権大会が12月28日に開幕する。小屋松知哉や岩崎悠人など多くのJリーガーを輩出してきた京都橘は、12度目の挑戦で悲願の頂点を目指す。チームをバックアップするのがスペイン1部リーグで日本人初のプロトレーナーとして活動した株式会社Amistad社長の山田晃広氏だ。2001年の創部以来、チームを基礎から作り上げてきた米澤一成監督と強力なタッグを組み、高校サッカー界に新風を吹き込んでいる。(取材・文:北川信行)[2/2ページ]
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監督とプロトレーナー…異なる立場でも共通する選手の見方とは

京都橘 米澤一成監督 スクリーンショット

オンラインで取材に応じる京都橘の米澤一成監督【画像:スクリーンショット】

「共通点が多い。考えているところ、目指すところもそうですが、そこに向かってやらなきゃいけないときに、これは絶対必要、これは別にやらなくていい。そこが合致しています」(米澤監督)

 例えば、選手の見方はこうだ。

「いろんなタイプの選手がいますので、型にはめても仕方がないのですが、礼儀や人としてのところが欠けている選手は伸びないと思います。サッカー以外のところもできるから、サッカーができるというところが一番大事じゃないでしょうか」と米澤監督が言えば、山田社長も同調する。

「この選手がこの先に伸びるとかはトレーナーの立場では分かりませんが、例えば、メンバーを外されたときに誰よりも声を出すとか、チームに何が必要かというのを理解している選手はすごく大事だと思います」

 その上で「コーチや監督、チームメートの仲間から応援される選手が大切。応援されない選手は、トレーナーから見ていても勝手にすればとなる」と山田社長。



 米澤監督も大きくうなずいた。

「これはめちゃくちゃ大事だと思っていますね。周りの人に応援されない選手はプロになってもお客さんを呼べないのではないでしょうか。例えば、ルーキーイヤーに試合を観に来てくれるのは関係者が多いと思います。

 高校時代のクラスメートとか。そういうのがないと、広がっていかないように思います。高校サッカーで優勝しても、誰も応援してくれていないのであれば、価値はないと思っています」

 米澤監督は京都橘を目指す中学3年生にこんな話をしているのだという。

京都橘の躍進は強い絆で結ばれた監督とプロトレーナーのコンビにかかっている。「優勝したら、たぶん泣きますね」

オンラインで取材に応じるプロスポーツトレーナーの山田晃広社長

スクリーンショット

オンラインで取材に応じるプロスポーツトレーナーの山田晃広社長【画像:スクリーンショット】

「自分が先に私学の高校の推薦入学が決まった。でも、クラスにはこれから公立高校の受験をする生徒がいる。『自分はもう決まっているから』みたいな空気で学校に来られたら、周りはどう思うでしょう。後々、それが中学校の最後の記憶になる。この生徒は中学時代のクラスメートに応援してもらえるだろうか」

 京都橘への入学が決まった生徒に「まず何をしたらいいでしょう」とよく尋ねられるという米澤監督は「たぶんサッカーのことを教えてほしいと期待されていると思いますが、やらなければならないことは身の回りの一番近いところにあります」と断言した。

 最後に、米澤監督と山田社長に全国高校サッカー選手権大会に向けた意気込みを聞いた。



「京都橘が優勝したら、たぶん泣きますね」という山田社長は「そのためには嫌なことも言います。監督には耳が痛いことも言います。目標を達成するためには、誰かが言わなければならない」ときっぱり。

 米澤監督は「けが人をどうするか決めないといけない。バランスを整えるのは私の仕事です。メンバーが決まれば、一番効果的な方法を考える。キャラクターが変わると、アレンジしなきゃいけない部分も出てくると思います。最後の調整はやらなきゃいけません。ミーティングも含めて選手に伝えることができれば、選手は思い切ってプレーできると思います」と意気込みを語った。

 強い絆で結ばれた監督とプロトレーナーのコンビ。京都橘の躍進が「部活にトレーナーをつけるのは当たり前」という高校サッカーの新たなトレンドを生み出すきっかけとなるかもしれない。

(取材・文:北川信行)

[プロフィール]
米澤一成(よねざわ・かずなり)
1974年生まれ、京都府出身。京都府立東稜高校から日体大。卒業後、東京・世田谷学園高校、三重・近畿大学工業高等専門学校を経て2001年に創部された京都橘高校の監督に就任。

山田晃広(やまだ・みつひろ)
1974年生まれ、東京都出身。2000年にスペインに渡り、20023年にスペイン1部リーグのラシン・サンタンデールでトップチームのトレーナーを務める。帰国後、湘南ベルマーレやINAC神戸で勤務し、会社を設立。スポーツトレーナーの養成や派遣事業を展開している。

【著者プロフィール:北川信行】
きたがわ・のぶゆき/1968年生まれ、広島県出身。京都大学卒。産経新聞社で運動部長、編集委員などを務め、2024年に退職。IT関連企業で働くかたわら、フリーランスのスポーツライターとして執筆活動を続けている。2006年と2010年のW杯、2004年と2008年の欧州選手権を現地取材。2007年に英国留学。FIFA FOOTBALL AGENT、日本協会C級指導者資格と4級審判資格を保持。

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【了】
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