マンチェスター・ユナイテッドWFCの宮澤ひなた【写真:Getty Images】
女子サッカーの世界最高峰リーグのひとつ、イングランドのウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)でマンチェスター・ユナイテッドWFCの一員としてプレーする宮澤ひなた。勝負の年と位置付けた3年目の今季は、前半戦を終え11試合すべてにフル出場し、チームに欠かせない存在となっている。「自分の居場所を見つけられた」と語る26歳の本音とはいかに。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
「やっと自分のプレーができる。自分の居場所を見つけられたかな」
マンチェスター・ユナイテッドWFCの宮澤ひなた【写真:Getty Images】
「上手くなったというか、今まで日本でプレーしていたときは海外の選手と試合をするのは代表戦しかなかったじゃないですか。スピード感や大きさを目の当たりにして、少し恐怖心があったと思うんです。世界大会とかに出ても慣れるまでに時間がかかっていた。
それが普段から(海外で)試合をするにあたって、身体が小さいながらもその人に対してどう当たるか、どのタイミングで当たるかをやっている。すごく楽しくリラックスしてできているという反面、もっとやらなきゃいけないところは求められていると思いますけど、やっと自分のプレーができる。考えを伝えて、味方もわかってくれてというところで自分の居場所を見つけられたかなというイメージはありますね」
だからなのだろうか。宮澤が今季、自信を持ってプレーをし、前への意識がより感じられるのは。何か変化があったのだろうか。
「変化というよりかは、なんでボランチなんだろうというところは正直、自分でも思うところがあります」と素直なまでに打ち明けてくれた。
「なんで今自分が、代表で例えると(長谷川)唯さんだとか、風ちゃん(長野風花)の後ろにいるんだろう。今までそこからパスをもらっていた側だったのに、変だなって思っていますけど、そこで新しい自分を見つけられたという意味では普通のボランチにはなりたくないなって」
以前の取材でも一般的なボランチ像の型にははまりたくないと話していた宮澤。確かにボランチと言えば、サイドにボールを振るなど、ゲームのリズムを作るのが通例かもしれない。
だが、宮澤はフォワードや1.5列目など前線のポジションを経験してきたからこそ、ボールを散らすだけではなく、チャンスがあれば前へ行くし、シュートだって打つ。
「ユナイテッドでは後ろから止められる声とかありますけど」前線でプレーしていた宮澤ひなただからこそ…
オフに開催した「宮澤兄妹サッカーフェスタ in 寒川町」で笑顔を見せる宮澤ひなた【写真:編集部】
「昨シーズン1点で終わっちゃったところはありますけど、より点が欲しい。試合に出ていても形に見える結果、その貪欲さはなくなってはいないので、チャンスがあれば行きたいという意味では、今まで以上に前に走っている回数は増えているのかな。ユナイテッドでは後ろから止められる声とかありますけど。
代表だったら上手くローテーションできているところはあるので、自分が前に行く機会も増やしていいかなと感じられているところではある。正直、ボランチでも得点を取りたい。スルーパスやゴールにつながるプレーをしたいという思いは、前でプレーをしていたときよりも強い。そういうのがプレーに表れています」
2025年は宮澤にとって、大きな変化の1年になったとも言えるだろう。もがき苦しみ、手にした居場所でさらに輝きを放つ準備はできている。
「後半戦も中々タイトなスケジュールで、間に1か月(AFC女子)アジアカップが入ったり、残り半分残っていますけど、今年(2025年)以上に良い状態を保たなきゃいけないなと。今年(2025年)はチャンピオンズリーグ予選から戦って、本選出場が決まって。これからが勝負だと思うんです。
リーグで今4位につけていますけど、上位との差を縮めなきゃいけない。上位に届かないと翌年のチャンピオンズリーグに絡んでいけない。去年(2024年)は3位でリーグも終わっているので、リーグ優勝を目指していますし、チャンピオンズリーグもやっぱり優勝したい。本当に獲れるものは獲りたい思いはある。
連戦でコンディションも難しいのは今年感じられたので、自分が改善できるところはあります。より強くならなきゃいけないですし、試合を決められるような選手にもっとなっていかなきゃいけないなとすごく思うので、まだまだやれることはいっぱいあるとは思います」
宮澤の力強い言葉には、着実に、貪欲に、自身のなりたい理想に近づくために労を惜しまないといったような印象を受けた。立ちはだかる壁が高くても、自身の力で登っていく姿を今後も見ていきたい。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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