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コラム 3週間前

宮澤ひなた「1番大事なのはW杯で優勝する道が見えていること」。なでしこジャパンは「すごくやりやすい環境になっている」【コラム後編】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images,Editor
なでしこジャパン 宮澤ひなた

なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の宮澤ひなた【写真:Getty Images】



 イングランドのウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)のマンチェスター・ユナイテッドWFCに所属するなでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の宮澤ひなたは、2025年最後の公式戦を終えて日本に一時帰国した。先日、ユナイテッドとは2029年まで契約を延長したばかりだが、クラブで中心選手としてのポジションを掴んだ自信は、なでしこジャパンでも十二分に活かされている。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

【単独インタビュー/取材日:12月23日】 

宮澤ひなたがニルス・ニールセン監督就任1年目のなでしこジャパンを総括

なでしこジャパン

2025年2月、SheBelieves Cup(シービリーブスカップ)で優勝したなでしこジャパン【写真:Getty Images】

 これはあくまでも偶然だが、宮澤ひなたがマンチェスター・ユナイテッドWFC加入3年目を勝負の年と位置付けた今シーズンは、なでしこジャパンの新体制とも重なった。

 2024年12月になでしこジャパン初の外国人監督として就任したのは、デンマーク出身のニルス・ニールセン監督。代表で中盤の主軸としてプレーする宮澤はこの1年をこう振り返った。

「初めての外国人監督ということで難しさは正直あったと思うんです。言語だったり、考え方の違いだったり。スタッフが新しくなった中でまたイチからと言ってしまったらあれですけど、今まで積み上げてきた中でも新しい監督が求めることをやらなきゃいけない。

 SheBelieves Cup(シービリーブスカップ)で優勝して以来、前回の長崎(開催のカナダ女子代表戦)までずっと勝てていなかった時期もあった。日本を背負っている以上、選手としては勝たなきゃいけない、結果を残さなきゃいけないという責任は感じてはいましたけど、そこまで焦ってはなかった。



 そんなに全員が全員、完璧にずっと勝てるわけではないと思いますし、そういう時期があるからこそ、失敗を経て、みんなが感じることがそれぞれあるんじゃないかなと。それはスタッフもそうだと思います」

 ニールセン監督の初陣となった2025年2月のシービリーブスカップでは13年ぶりにアメリカ女子代表を破り、初優勝を飾った。幸先の良いスタートを切ったが、4月以降に行われたコロンビアやブラジル、スペイン女子代表との親善試合では4試合白星から遠ざかった。

 10月のヨーロッパ遠征でもイタリア女子代表に引き分け、ノルウェー女子代表には完敗を喫するなど、アジア以外の国から勝利を挙げることができず、一抹の不安を覚えたサポーターは少なくないだろう。

 それでも、宮澤は言う。なでしこジャパンとして日本のために勝たなければいけないという軸はぶれていなかったと。

「1番大事なのはW杯で優勝する道が見えていること」

なでしこジャパン 宮澤ひなた

2025年6月、スペイン女子代表との国際親善試合でプレーするなでしこジャパンの宮澤ひなた【写真:Getty Images】

「少しずつ形になって、カナダ戦も勝てた。1番大事なのは(AFC女子)アジアカップで勝って、優勝してワールドカップ(W杯)に出て、W杯で優勝する道が見えていることだと思う。そういった意味ではしっかり自分たちが積み上げてきている自信はあるので、直近ではアジアカップで優勝して、W杯に繋げる。4年前の悔しい経験をしたくないので、優勝を目指すところは本当に全員が思っていることだと思う」

 アジアでの戦い方が難しいことは百も承知しているが、新たに外国人監督が加えるエッセンスがプラスとなることにも期待している。

「ニルスさんもよく言っていると思うんですけど、ファウルで意地でも止めろとか、あんまり日本人では出ないようなプレー。例えば、勝ちにこだわるところはすごく求められているのは練習をしていて感じるところではある。そういう元々あったものプラス、良いものを積み上げられていければ、もっと良いチームになるんじゃないかなと思います」



 現在進行形でチームの成熟度を上げている段階ということは頷けた。だが、前回W杯王者のスペインやブラジルなどの強豪国との間には大きな差があるように思う。

 スペイン遠征の最後には、佐々木則夫女子委員長から世界一に向けてはデュエル(対人)勝率やボール保持率を上げていく必要があるという指摘を受けていたが、宮澤自身、その差を埋めるために必要なことをどのように考えているのか。

「技術とかは日本は優れているものもあると思いますし、スピードやフィジカルは1対1で勝てなくても人数をかければ(ボールを)取れるところが多くあると思います。それは戦ってきて、なでしこジャパンがしっかり示せたものは間違いなくあったとは思う」と切り出して、持論を展開した。

宮澤ひなたの中で自然と植え付けられる勝ちにこだわる姿勢

なでしこジャパン 宮澤ひなた

2025年11月、カナダ女子代表との国際親善試合でプレーするなでしこジャパンの宮澤ひなた【写真:Getty Images】

「攻撃面ですごく攻めているのに点が入らない。技術もそうですけど、勝ちたい気持ちがすごく相手の選手にある。1対1でボールを取られて、すぐ諦める選手もいれば、引っ張ってファウルしてでも止めにくる選手がいる。

 感情を表に出すというか、みんながキレろというわけじゃないですけど、勝ちにこだわる姿勢はすごく大事だというのはWSLで戦っていても感じることではあります」

 ユナイテッドにはUEFA欧州女子選手権(ユーロ)でイングランド女子代表として戦ったチームメイトがいる。どれだけ点を奪われても取り返しに行く姿勢を見て、宮澤なりに勝ちにこだわる姿勢が自然と植え付けられていったのだろう。

「今、海外に所属している選手がなでしこにはたくさんいるので、そういう経験はもっと還元しなきゃいけないなと思う。そういうところで日頃から揉まれているからこそ得ているものもあると思うので、1人ずつちゃんとできればもっと大きいチームになるんじゃないかなという感じです」

 そして、以前、ニールセン監督や佐々木委員長が課題にしていたコミュニケーションについて、選手目線では実際にどのように感じていたのか聞いてみた。



「正直、たぶんみんな日本語の方がすんなり入ってくるし、話しやすいところでスタッフ陣での共有もより密になっているかと思います。ニルスさんが英語で喋って通訳してだとどうしてもちょっと遅れて入ってくることや、ちょっとニュアンスが違うようなことを、日本人のスタッフの方が喋ってくれることによって、スムーズになったかなとすごく前回のカナダ戦では感じました。

 でも、全然その前からスタッフと話す機会はありましたし、やりづらさは正直、自分は感じてはなかったですけど、チーム全体として見て何がスムーズに行くのか、しっかりスタッフが話してくれて、そうなったところはあったので、選手としてはすごくやりやすい環境になっているかなと」

 さらに、今までの代表と違うというのが、選手とスタッフでどういうサポートをして、何が足りないのか、どんな評価をしているのか、密にミーティングを行っている点だという。

 今や海外で活躍する選手が大半を占めているなでしこジャパン。代表活動期間は短いため、その限られた時間でよりコミュニケーションを大切にできるかは重要だろう。

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