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コラム 13時間前

レアル・マドリードの闇。シャビ・アロンソはむしろ被害者なのではないか。甘やかされすぎた選手と独裁体制の限界【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤彰太 photo by Getty Images

レアル・マドリード、シャビ・アロンソ
元レアル・マドリード監督のシャビ・アロンソ【写真:Getty Images】



 スーペルコパ・デ・エスパーニャ決勝で宿敵バルセロナに敗れてから2日後、サッカー界に衝撃的なニュースが駆け巡った。満を持してレアル・マドリードに帰還したシャビ・アロンソが、シーズン半ばにして監督の座を追われることになったのだ。退任後に次々と報じられたのは、クラブ内部に蔓延していた問題の数々。急転直下の退任劇となった責任は、果たして誰にあるのだろうか。(文:佐藤彰太)[2/2ページ]
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続々と浮かび上がる問題点

レアル・マドリード、アントニオ・ピントゥス
レアル・マドリードのコンディションコーチを務めるアントニオ・ピントゥス【写真:編集部】

 次に挙げられるのはフロント陣とのすれ違いだ。

『マルカ』の報道によれば、シャビ・アロンソはマドリーの監督就任にあたり、自身が強い信頼を寄せるスタッフを引き連れてクラブにやって来たという。

 なかでも、レヴァークーゼン時代から共に仕事をしてきたイスマエル・カメンフォルテをフィジカルトレーナーに据え、ジネディーヌ・ジダン政権やアンチェロッティ政権で同職を務めてきたアントニオ・ピントゥスを、パフォーマンスマネージャーという別の役職へ配置転換した。



 しかしクラブ側は、カメンフォルテを経験不足と判断し、ピントゥスを本来のメディカル部門のトップに戻すようシャビ・アロンソに働きかけたとされる。

 これに対し、シャビ・アロンソは自身のコーチングスタッフに手を加えることを拒否。この人事を巡る対立もまた、急転直下の退任劇に大きな影響を及ぼしたと伝えられている。

 さらに挙げられる理由として、補強の失敗がある。

アンチェロッティ時代から続く問題も解消されず

レアル・マドリード、フランコ・マスタントゥオーノ

今夏加入したレアル・マドリードのフランコ・マスタントゥオーノ【写真:Getty Images】

 マドリーは今夏、約300億円を超える資金を投じて大型補強に踏み切り、将来性豊かな若手を次々と獲得した。しかし、現状で戦力と呼べるのはアルバロ・カレーラスくらい。

 ディーン・ハイセンやフランコ・マスタントゥオーノ、さらにはリヴァプールから物議を醸して獲得したトレント・アレクサンダー=アーノルドは、怪我の影響もあり、期待を大きく下回る出来に終わっている。

 加えて、アンチェロッティ政権最終年から続くトニ・クロース引退後の“ゲームメーカー不在問題”も、いまだ解消されていない。

 とりわけ、マスタントゥオーノの移籍金自体は4500万ユーロ(約81億円)とされるが、税金や手数料を含めると実際には6300万ユーロ(約113億円)にのぼると伝えられている。



 この金額が、今夏レアル・ソシエダからアーセナルへ移籍し、出色のパフォーマンスを披露しているマルティン・スビメンディの移籍金とほぼ同額であることを踏まえれば、現地でクラブの補強方針に疑問の声が噴出しているのも無理はない。

 また、ルカ・モドリッチ退団後に後釜として期待されたアルダ・ギュレルはここまで、守備面の脆さに加え、ビッグマッチでの勝負弱さが目立つ。

 マドリーで2シーズン目を迎えたエンドリッキも、リーグ戦出場はわずか1試合にとどまり、リヨンへのレンタル移籍を余儀なくされるなど、有望株の戦力化という重要なミッションは失敗に終わっている。

 こうした問題が積み重なった末に導き出される結論は、シャビ・アロンソは“被害者”だった、という見方だろう。

ペレス会長の独裁体制はもう限界…

レアル・マドリード、フロレンティーノ・ペレス

レアル・マドリード会長のフロレンティーノ・ペレス【写真:Getty Images】

 長年クラブの会長を務めるフロレンティーノ・ペレスの独裁体制は、もはや世界中の誰が監督を務めても難しいものになっている。

 選手獲得の際にはチームへの適合性を重視せず、「とりあえず連れてきたから、あとは現場に任せる」という手法では、すでに誤魔化しが利かない段階に来ているのが現状だ。

 加えて、選手を甘やかし続けてきたクラブの体質や、会長自身の好みで人事に介入する振る舞いも、1シーズンすら持たなかったシャビ・アロンソの短期政権を生み出す根源だったことに違いない。

 後任には、カスティージャ(Bチーム)を率いていたクラブOBのアルバロ・アルベロアが就任した。

 しかし、初陣となったコパ・デル・レイ ラウンド16ではセグンダ(2部)で17位に沈むアルバセテ・バロンピエにまさかの敗戦。

 シャビ・アロンソのラストゲームとなったスーペルコパ・デ・エスパーニャのクラシコから間もないゲームではあったが、わずか4日間で2つのタイトルを失ってしまった。

 それから3日後、サンティアゴ・ベルナベウで行われたラ・リーガ第20節レバンテ戦では、マドリディスタたちが自チームの選手に対して強烈なブーイングを浴びせる光景が広がっている。



 なかでもヴィニシウスへの反応はひときわ大きく、解任の引き金を引いた存在と受け止められている選手に対するスタンドの意思は明確だった。

 ここからシーズン後半戦に突入するなかで、アルバロ・アルベロア率いるマドリーがどのような戦いを見せるのか。

 2015/16シーズンのマドリーも、今回と同様に1月にラファエル・ベニテスを解任。空中分解の最中にあったチームは、ジネディーヌ・ジダンの招聘を機に持ち直し、最終的にはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)制覇という結果を手にしている。

 些細なきっかけひとつで、良い方向にも悪い方向にも大きく転がり得る。それがこのクラブの宿命だ。

「Así, así, así gana el Madrid!」(こうしてマドリーは勝つ!)

 ベルナベウで幾度となく響いてきたこのチャントが示すように、最後まで勝利を信じ、戦い抜くマドリディスモ(クラブの姿勢や哲学)をピッチ上で体現する存在の出現は、いまのマドリーにとって不可欠と言えるだろう。

 “新生マドリー”の行方に、世界中の視線が注がれている。

(文:佐藤彰太)

【著者プロフィール:佐藤彰太】
1997年兵庫県生まれ、広島育ち。2025年よりフットボールチャンネル編集部に所属。2011-12シーズンのUEFAヨーロッパリーグ決勝でラダメル・ファルカオのプレーに心を奪われて以来、アトレティコ・マドリードのファンとなり、そこからラ・リーガの世界に深く魅了される。これまでの現地観戦は恐らく30試合以上に及ぶ。現地での交流を通じて、ラ・リーガ複数クラブと関係を築き、元アルゼンチン代表MFエベル・バネガと食事を共にしたほか、元スペイン代表DFセルヒオ・ラモスとも親交を深めるに至った。なお、スペインの空気を吸った瞬間に人格が変わると周囲から評されており、前世はスペイン人であることが有力視されている。

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【了】

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