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経験者が語るワールドカップの教訓と後悔【中澤佑二/松井大輔/柿谷曜一朗】「極論を言えば」「モチベーションは変わる」「差があった」

シリーズ:コラム text by 川原宏樹 photo by Editor
柿谷曜一朗、松井大輔、中澤佑二
初開催となったFリーグフェスタのエキシビジョンマッチで監督を務めた松井大輔理事長と、出場した中澤佑二、柿谷曜一朗【写真:編集部】



 FIFAワールドカップ26開幕の瞬間が、刻一刻と迫る。8大会連続で本大会の出場権を獲得したサッカー日本代表は、優勝を目標に最高の景色を目指す。過去にこの大舞台でピッチに足を踏み入れた3人の経験者が、ワールドカップならではの経験を語ってくれた。(取材・文:川原宏樹)[1/2ページ]
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「それでも今の自分ができる精一杯なプレーを」

初開催となったFリーグフェスタ。男女Fリーガーに加え、中澤佑二、柿谷曜一朗、矢部浩之がプレーした
Fリーグフェスタ2026が行われ、中澤佑二や柿谷曜一朗がエキシビジョンマッチで現役男女Fリーガーとともにプレーした【写真:編集部】

 FIFAワールドカップ26に挑むサッカー日本代表は早くに予選突破を決めて、これまでは個の強化やメンバー選考に重きをおいてきた。12月に行われた抽選会で対戦相手が決まり、これからは具体的な戦術の理解や浸透にも力を入れていくことになる。

 仮に、優れた戦術が考え出されてもそれを実行するには選手の理解力が必要であり、共通理解のもとで実行に移せるチームワークが欠かせない。これまでも強大な個の力を持ったチームでも、戦術を完遂できずに散っていったチームは数多くある。一方、日本代表は練り込んだ戦術を初志貫徹して勝利した実績もあり、チームワークの重要性をよく知るチームのひとつである。

 1月17日に開催された『Fリーグフェスタ2026』に参加していた一般社団法人日本フットサルトップリーグの松井大輔理事長、中澤佑二氏、柿谷曜一朗氏といったワールドカップを経験した歴代の日本代表戦士らに、チームワークやメンタルなど技術や戦術以外にパフォーマンスの出来を左右する要因について話を聞いた。


 現役引退後はサッカーにかぎらず多くのスポーツイベントに参加する中澤氏は、この日30分ハーフという特別ルールで行われた現役エキシビジョンマッチで現役Fリーガーらと対戦した。初見の人たちが多くいるなかでもチームワークを発揮するためには、「一生懸命に取り組むことが大事」と主張し、一人ひとりがそういった心持ちで参加することが結果的にチームの和を良くすることになると訴えた。

「疲れているから、動けないからやらないではなく、一生懸命にやることが大事だと思っています。多少のトレーニングはしていますが、もうアスリートとはほど遠い状態です。それでも今の自分ができる精一杯なプレーを一生懸命にやらなければならないと思っていますし、それが最低限のマナーかなと考えています。

 そこは現役のときから変わってないというか、現役のときは負けず嫌いだったので、もっとガチでやっていたはずです」

「その歯車をもとにしたシステムは簡単に狂うことはありません」

松井大輔Fリーグ理事長
Fリーグフェスタ2026のエキシビジョンマッチで松井大輔理事長は監督を務め、矢部浩之がプレーした【写真:編集部】

 このエキシビジョンマッチでは負傷のため監督という立場で参加した松井氏は、2010年の南アフリカ大会に出場している。「誰が出ても変わらない」というチームづくりも勝ち上がるうえで重要なことだと訴えつつも、「個人の能力を最大限に生かせるようにする」というALL FOR ONEの精神も必要になると自論を話した。

「南野拓実など負傷者が出てくるなかでも、森保監督が言うように誰が出ても変わらないサッカーができるといったチームとしての質を保つことはすごく大事だと思います。そのなかでも個人の能力を最大限に生かせるようにすることもチームづくりとしては大切です。


 自分の役割を理解してチームの1ピースになれている実感を持てることでモチベーションは大きく変わると思います。それにチームの歯車であることを理解できていれば、その歯車をもとにしたシステムは簡単に狂うことはありません。

 それでいて一人ひとりがストロングポイントを発揮して輝いていると、そのチームはやはり強いですよね」

 一方、一昨年に引退した柿谷氏は2014年のブラジル大会での経験を振り返り、意識の格差があって同じ気持ちで戦えていなかったことを悔い、「覚悟」の重要性を説いた。

「差があったことは否めず、今でも申し訳ない気持ちが残っています」

元サッカー日本代表FW柿谷曜一朗
元サッカー日本代表FW柿谷曜一朗は、Fリーグフェスタ2026のエキシビジョンマッチで現役男女Fリーガーとともにプレーした【写真:編集部】

「当時は、今のようにほぼ全員が海外クラブに所属しているわけではありませんでした。ヨーロッパを主戦場として常に厳しい環境で戦っている選手と、日本国内で戦っている選手の割合は半々くらいで、大舞台に対する経験値のようなものが違いました。海外でプレーしていた選手たちはワールドカップに向けて4年間準備してきていて、いつもどおりのプレーをしようと臨んでいました。

 ですけど僕は、ワールドカップという舞台や有名選手に圧倒されるような気持ちになっていました。準備をしてこなかったわけではないですし、やってやろうという気持ちもありましたが、振り返ると覚悟や自信といったところで差があったことは否めず、今でも申し訳ない気持ちが残っています」

 中澤氏も同様にメンタル面での準備の重要性についてコメント。ワールドベースボールクラシック2023の決勝前に言った大谷翔平の名言「あこがれるのをやめましょう」を引用して、現日本代表メンバーへエールを送った。


「大会に向けては、コンディションを整えるだけですね。あとは大谷選手が言ったように、相手のことをリスペクトしすぎないようにすることですね。それができれば結果もついてくると思います。

 90分間ひたむきに日本の勝利のためにプレーしてほしいです」

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