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コラム 23時間前

「場違いだな」藤野あおばがマンチェスター・シティで人生最大の挫折。そのとき手を差し伸べた長谷川唯【コラム前編】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images
マンチェスター・シティWFC 藤野あおば

マンチェスター・シティWFCの藤野あおば【写真:Getty Images】



 弱冠22歳にして、女子サッカーの世界最高峰リーグのひとつ、イングランドのウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)で研鑽を積んでいる選手がいる。マンチェスター・シティWFCで2年目を迎えた藤野あおばだ。強豪での熾烈なポジション争いの中、ここまで12試合に出場し、5ゴール2アシストと結果を残している。海外挑戦時に残した「もっと強く、巧くなりたい」という理想に今どこまで近づけているのか、迫った。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]

【単独インタビュー/取材日:2月16日】

22歳になった藤野あおばの2026年は「結果を残せる年に」

マンチェスター・シティMF藤野あおば

2月1日のチェルシーFCウィメン戦で脳震盪の疑いで負傷交代した藤野あおば【写真:Getty Images】

 取材はちょうど藤野あおばが復帰戦でゴールを挙げた日から数日のことだった。

 2月1日のチェルシーFCウィメン戦で相手と接触した際に、頭部を強打し、脳震盪の疑いで負傷交代していただけに、藤野の復帰とゴールは喜ばしいものだった。

「年末、膝の内側を怪我してからリハビリしていた中で、チェルシー戦でアクシデントという形で出ることができた。チームのフィジカルスタッフやトレーナーたちも段階を踏んで、自分がしっかりプレーできる状態に戻れるようにとリハビリをしてくれた」

 1月27日には22歳の誕生日を迎え、気持ちも新たにしている。今季はマンチェスター・シティWFC加入2年目で、現在チームは16試合を消化し、首位を走る。

「優勝が近づいている状況で、自分も少しでもチームに貢献できるようにというのは去年から抱いていた目標でもあります。



 昨シーズンを経験したことを踏まえて、より自分がチームに還元していけるものや結果のところに今季はフォーカスして、できてきているところでもあるので、そういう意味では結果を残せる年にしたい、そういう気持ちはあります」

 シーズンは後半戦に突入し、残り6試合と終盤だ。藤野はここまでをこう振り返る。

「個人的には怪我とかで抜けている試合が何個かありますけど、今シーズン監督が(アンドリエ・ジェグラーツに)変わって、サイドのウイングのポジションからトップ下の10番のポジションや左サイドでプレーすることも増えました。自分的には慣れた環境の中でも新しい挑戦がより増えたところはすごくある」

 藤野の言う新しい挑戦とは、新たなポジションでのプレーの開拓だった。これまで藤野の主戦場は右サイドのウイングで、1対1を仕掛けてクロスを上げる場面が多かった。

 だが、今季は「左サイドをやったり、チームのプレースタイル的にウイングの特徴の中でも内側に入ってプレーして、サイドバックとも連係が求められたりする。インサイドにスペースが空いているときは、自分が内側に入ってボールを引き出したり、ボールを前に進めていく、スペースを有効活用していく」ところが求められているという。

加入2年目、心優しい藤野あおばに変化「ちょっと良いパスだったら決めてほしい」

マンチェスター・シティWFC 藤野あおば

マンチェスター・シティWFC加入2年目の藤野あおば【写真:Getty Images】

 トップ下でのプレーはウイングよりも自由度が高く、左右に顔を出して、効果的なポジション取りをしなければならず、難しさも感じている。

「ウイングと比較すると、相手が360度から来るところもまた、トップ下の10番のポジションで対応しなきゃいけないところだったので、いつもと違う感覚もありました。

 はじめから10番でプレーするよりも途中から選手交代の後にやる機会が多くて、練習でもほぼ10番のポジションでやる機会がなかったので、ぶっつけ本番でやってみてという感じでした」

 それでも、加入2年目ということもあり、時間の経過が藤野に自信を深めさせ、連係面含め順応してきている部分もあるようだ。

「シティの前線の選手は自分のやってほしいこととか、要求してくることがすごく多くて、それは海外選手ならではの、自分が見習わなきゃいけないところだと思います」と切り出し、こう続けた。



「クロスも絶対自分に合わせてくれみたいな、自分がやらなきゃいけないことを周りが主張してくれる。自分がフォーカスしなきゃいけないところも教えてくれることがいっぱいあったので、すごくやりやすい。自分が頑張らなきゃいけないところが明確で、すごくありがたいなと思う」

 今季は、そうしたこともあいまって、周りに要求されなくても、藤野自身がそのシチュエーションに応じて、自分がすべきことを見極めてプレーする場面が増えたという。

「ちょっと良いパスだったら決めてほしいとも思うし、それが自分の結果にも繋がってくるので、要求はしなきゃいけない。

 バニー(カディジャ・ショー)は、『自分が外したら絶対に怒ってこい』みたいなことを言うんですけど、外したくて外している人はいないと思いますし、いろいろ難しいなと思う。自分ができること、やらなきゃいけないことにフォーカスしてやっていくだけかなという感じです」

 藤野らしい優しさが垣間見えたが、トップレベルの選手たちとプレーする中で自身のすべきことが明確になったことはプラスだろう。

昨季1ゴールから今季は5ゴール。好調の要因とは?

藤野あおば

昨季はリーグ戦17試合に出場し、1得点にとどまっていた藤野あおば【写真:Getty Images】

 今季は怪我や脳震盪での欠場などもあり、リーグ戦12試合の出場だが、5ゴールをマーク。1年目の成績が1ゴールだったことを考えると、大幅に増えている。好調の要因は何なのだろうか。

「新しいチャレンジや出場機会が増えたりする中でも、土台としてメンタルは1年目と比較して、1番成長できた部分かなと感じている」と話し、自身の課題についても言及した。

「周りにもあんまり言われないんですけど、大きな試合や結果を求められる瞬間で、緊張もありますけど、自信がないところです」

 その課題に加えて、1年目は怪我人がいる状況で出番がきていたこともあり、自分で掴み取った出場機会ではないという焦りがあった。

「もらっているチャンスの中で何かを残さないと、もう後がない。でも、試合に出るためにチームに求められていることもやらなきゃいけないと、いろいろ焦っちゃって。すごく消極的なプレーが多かった。



 自分自身でもちょっとマンチェスター・シティは場違いだなと感じているところもあった中で、(長谷川)唯さんもいろいろ話を聞いてくれたり、アドバイスをくれたりして、徐々にチームの中でも自分が攻撃的な部分でもたらせるものが、去年の最後の方で出せるようになってきた。

 マンチェスター・シティはWSLの中でもトップ3に入るクラブ。その中で結果を出せているところは本当に自信に繋がった」

 藤野が加入2年目となった今季、チームメイトがプレーしやすい環境を作ったことで、より自身の良さを出すことができた。

「今シーズンは攻撃的な部分で、ゴール前でボールをもらったときにシュートという選択肢が、初めから持てている。そういう状況ができているのは、そういうマインドのおかげだと思うので、気持ちの部分が1番大きいと思っています」

 今でこそ、課題を克服しているようだが、そのメンタリティはどこからきているのか。

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