
なでしこジャパンの藤野あおば【写真:Getty Images】
FIFA女子ワールドカップ日本人史上最年少ゴール、なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)のオリンピック最年少ゴールと、記憶に残るゴールを決めてきた藤野あおば。決定力の高さをみせてきた印象もあるが、本人の中では理想と現実に乖離があった。まもなく迎えるAFC女子アジアカップ2026、その先のW杯で22歳のアタッカーが見据えるものとは。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
【単独インタビュー/取材日:2月16日】
W杯出場権をかけた女子アジアカップで藤野あおばが代表で担うもの

なでしこジャパンの藤野あおば【写真:Getty Images】
その世界の大舞台であるW杯は来年ブラジルで開催される。W杯の切符をかけたAFC女子アジアカップ2026が3月1日に開幕した。日本の初戦は4日、チャイニーズ・タイペイ女子代表だ。
「ヨーロッパの相手とかと比較すると、スピード感がそこまでない。日本人みたいな選手同士の繋がりで数的優位を作られてみたいな試合になるのかなと、予想しながらの話になりますけど、そういう相手は1人で相手1枚を剥がせる選手が絶対に必要だと思います」
藤野の武器であるゴールへ向かう推進力、状況を打開できる力は代表でも活きてくるはずだ。
「その役割は自分が担えるところだと思っていますし、そこは(マンチェスター・)シティで取り組んできた部分でもあるので、前線のチャンスメイクしていく部分はチームに還元できたらいいなと思います。
チャンスメイクしつつも、得点する機会を逃さないところは自分がおそらく課題になるところだと思うので、そういう部分は意識的にやっていけたらなと思います」
女子アジアカップの先には、自身2度目のW杯が待っているが、藤野の中で現在、W杯までの道のりはどこまで描けているのだろうか。
「実際、W杯でどうなっているか、全然想像つかないですけど」とはにかみながらも答えを導いていく。
「初めてのW杯ですごくワクワクする気持ちがあったり、W杯を経験できて嬉しいみたいな、素直な気持ちがあったりしたけど、2度目のW杯にもし行けることになれば、ワクワクした気持ちよりは、1回目の雪辱を晴らすための大会になるなというのはある。ベスト8の壁を超えたいというチームとしての目標はあると思います。
でも、個人的には、W杯のような大事な場所で、大事な瞬間にフリーキックを蹴る機会があったら、そういう大事な瞬間に自分を信じてくれた人たちや自分を応援してくれる人たちの期待に応えたい」
そこには先述したように、藤野が前回大会の大事な場面でゴールを外し、自身に落胆した瞬間があったからだ。
アジアカップ、W杯の先に…。「自分がしっかり取り組めていたら、おのずと結果は繋がってくる」

本サイトのインタビューに答える藤野あおば【画像:スクリーンショット】
「大きな舞台で結果を残してこそだと思うので、今やっている1対1、個人で状況を打開するとか、ミドルレンジ、ペナルティエリア外からカットインして、シュートを決められるようにするとか。
自分ができるようになりたいタスクを1つずつ潰していくところは、先を見据えるよりも今の自分のレベルにフォーカスしてやらなきゃいけないところだと思っている。今できることをやりながら、今後の結果に繋げていけるように、常に自分と向き合ってやっていけたらいいなと思います」
柔らかな物腰の中にも、藤野にはしっかりと目標に向かって励むことができる芯が備わっているように見える。22歳にして、この達観ぶりには驚いたが、ひとつひとつ自身のやるべきタスクを潰していった先には、自身が掴みたいものが待っているはずだ。
「バロンドールはいつか取りたいなと思っているところなので、それが1番大きいところかな。W杯で優勝したいとかももちろん、オリンピックで優勝したいとかもありますけど、それはサッカーをやっていたら誰もが描く目標だと思う。
今の自分と向き合って、より高いレベルに日々成長していけるように自分がしっかり取り組めていたら、おのずと結果は繋がってくると思うので、大きい目標は置きながらも、今の自分を見失わないでやっていきたいなと思っているところです」
前回のW杯で置き忘れてしまったものを取り返すための戦いはすでにはじまっている。藤野が納得して、大舞台で結果を残すことができれば、なでしこジャパンが再び世界の舞台で輝きを放つまでに時間はそう掛からないだろう。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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