UEFAチャンピオンズリーグ(CL)2025/26のノックアウトフェーズ・プレーオフが終了。イタリア勢は、大会優勝経験のあるインテルとユヴェントスが敗退した。アタランタがなんとか生き残ったことで、ベスト16前にセリエAクラブ全滅という最悪の結末は回避できたが、大喜びできる結果ではない。イタリア代表にも通じる、カルチョの課題が浮き彫りとなった。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]
——————————
CLでイタリア勢があわや全滅の危機
UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)ノックアウトフェーズ・プレーオフは、驚きに包まれた。
ファーストレグに続き、セカンドレグでも沈黙したインテル。第1戦の醜態を第2戦で挽回したユヴェントス。アウェイでの敗戦を見事に覆し、ホームに歓喜をもたらしたアタランタ。三者三様の結末であった。
昨季のCLファイナリスト、インテルは、難攻不落の地ノルウェーのボデにおいて、伏兵FKボデ/グリムトの“餌食”となり、ユーヴェは、トルコの強豪ガラタサライSKに屈した。
しかし、アタランタだけは異なった。ボルシア・ドルトムントを逆転の末に撃破したのだ。
この結果、チャンピオンズカップからチャンピオンズリーグへと名称やフォーマットが変更された92/93シーズン以降、初となる「イタリア勢ゼロ」のベスト16という非常事態は回避されたのである。
もっとも第1戦は、イタリア勢にとって無様で恥ずべきもので、そして希望はなかった。
3チームの合計スコアは3得点10失点。初戦はすべてアウェイでの戦いとはいえ、かつて堅守を誇った“カテナッチョの国”の威光はもはや見る影もなかった。
イタリア・サッカー界の重鎮、ファビオ・カペッロは、『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューでこのように分析した。
「レベルが上がるとイタリア勢は…」
「3つの鍵がある。フィジカルの強さ、ボールを扱うスピード、そしてプレーの継続性だ。インテル、ユーヴェ、アタランタのすべてに当てはまる。レベルが上がるとイタリア勢は苦しむ。3試合で10失点するということは、守備におけるイタリアの能力もまた欠けつつあるということを意味する。
すなわち、これまで我々のDFたちが常に備えてきた集中力と、その水準がないのだ。クラブのレベルは代表にも反映され、その逆もまた然りだ。私はイタリアはワールドカップへ行くと確信している。攻撃陣は悪くない。しかし、真のマンマーカーが不足しているのだ」
まさに、これが近年のイタリアの課題だ。
ボールポゼッションのトレーニングに時間を割くばかりで、基本的な守備のイロハを疎かにしている。それは、ユース世代から指摘されていることだ。それが、今のイタリア勢、あるいはイタリア代表で問題視されている点だ。
さらに、カペッロは続ける。
「もう一つの問題はインテンシティーだ。インテルの選手は不満を口にしていたが、FKボデ/グリムトの選手は走っていた。イタリア国内では接触や小突きに対する言い訳が常にある。倒れ込む選手と、それに騙される審判の双方に責任がある。仮に私が倒れ、有利な判定を得ると、すべてが許されているということだ。欧州ではこうはいかない」
セリエAでは、わずかに触れられただけで、まるで銃で撃たれたかのように倒れ込む選手が後を絶たない。イタリアでは審判を“欺く”ことができるが、欧州の舞台ではそうはいかない。
頭では理解していても、染みついた習慣が無意識に体を反応させてしまうのだろう。
2月18日の第1戦、気温は氷点下。ピッチはインテルにとって不慣れな人工芝であった。
さらに、エリテセリエン(ノルウェー1部リーグ)は厳冬期を避ける日程のため、2025シーズンを昨年11月30日に終え、現在はオフ期間中である。2026シーズンは3月14日に開幕する。
そのため、彼らはこのインテル戦に照準を合わせ、入念な準備を進めてきた。
一方のインテルは過密日程の只中にあり、その4日前には“イタリア・ダービー”を戦っている。疲労の蓄積という点でコンディションが不利であったことは否定できない。
しかしながら、戦力差を考えれば敗戦は正当化できない。
インテル、ユヴェントスの屈辱的敗戦
FKボデ/グリムトの先発は、デンマーク代表CFカスパー・ホイとロシア人GKニキータ・ハイキンを除けば全員がノルウェー人で構成されていた。
そのうちノルウェー代表経験者は、左SBフレドリク・ビェルカンとセントラルMFパトリック・ベルグの2名のみである。ちなみに左アタッカーは、20/21シーズンにミランでプレーした経歴を持つイェンス・ペッター・ハウゲだった。
移籍情報サイト『Transfermarkt』によれば、インテルのチーム総市場価値は約6億6600万ユーロ(約1188億円)。対して、FKボデ/グリムトは約5700万ユーロ(約103億円)であり、実に10分の1以下である。
このような条件下で、敗れてはならなかった。マンチェスター・シティをホームで破り、アトレティコ・マドリーを敵地で下した相手とはいえ、セリエAで独走態勢に入ったチームが、2戦2敗という結果に甘んじることは許されない。
ユーヴェの第1戦は、残酷なまでに叩きのめされる結果となった。しかし実のところ、ガラタサライSKとの相性は決して良好とは言えない。
両者が初めて対戦した98/99シーズンのCLでは、グループステージ(GS)で2試合とも引き分け。03/04シーズンはGSで1勝1敗。13/14シーズンもGSで1分け1敗であった。
とはいえ、数々の栄光に彩られてきたクラブの歴史の中でも、今回の敗戦は屈辱的である。前半を2-1とリードして折り返しながら、後半に4失点。3失点は、自陣後方からのビルドアップの局面でボールを奪われ、そのまま失点に直結したものだった。
プレッシャーの強いエリアで確実に繋ぐ力がないのであれば、無理をせず前方へフィードすべきであった。いずれも回避可能な失点である。
もはや一縷の望みすら残されていないように見えた。リーグ戦でもインテル戦に続き、コモ1907に覇気なく敗北。今のユーヴェに、第1戦の敗戦を覆す力はない。そう映った。1点のリードで迎えた後半開始直後の47分、ロイド・ケリーが退場処分となり、万事休すと思われた。
ところが、ここからが真骨頂であった。
