2026 FIFAワールドカップ(W杯)は、アメリカ合衆国、メキシコ、カナダが共同で開催する。だが、出場権を獲得しているイラン代表は、現在、開催国の一つであるアメリカとの間で軍事的な緊張が急激に高まっており、大会参加を見送る可能性が浮上している。サッカーを愛する人の夢の舞台「W杯」。過去に出場権を得ながらも辞退という苦渋の決断に至った背景とその理由を紹介する。[3/5ページ]
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インド代表
辞退したワールドカップ:1950 FIFAワールドカップ(ブラジル大会)
最新FIFAランキング:141位
インド代表は、1950 FIFAワールドカップ(W杯)・ブラジル大会の出場を辞退した。
このとき、インドは予選で同組だったインドネシア、フィリピン、ビルマ(現ミャンマー)が参加を拒否したことで、自動的に本大会の出場権を獲得した。
しかし、インドも開幕直前に出場を辞退した。
長年、この辞退の理由は「国際サッカー連盟(FIFA)が裸足でのプレーを禁じたため」という説が定説化していた。
背景には、1948年のロンドンオリンピック(五輪)において、大半の選手が裸足で出場しながら、フランス代表を相手に1-2と接戦を演じた事実にあった。
当時のインドにとって、裸足でのプレーはアイデンティティの一部であったのかもしれない。
しかし、2011年に『LAタイムズ』が報じたところによると、真の理由は異なっていた。
当時のインドサッカー連盟(AIFF)による認識不足と財政的判断であった。
当時の主将、サレイン・マナは「五輪こそが最高峰であり、W杯の重要性を理解していなかった」と証言している。
ブラジル側が渡航費の大部分を負担する提案を行っていたにもかかわらず、連盟は五輪への集中を優先し、世界への扉を自ら閉ざしたのである。
その後、1952年のヘルシンキ五輪に裸足で臨んだインドは惨敗を喫し、以降、競技規則によりシューズの着用が義務化された。
絶好の機会を逸したインドは、現在に至るまで一度もW杯のピッチに立っていない。当時の誤った判断が、同国のサッカー文化の発展に落とした影は計り知れない。

