現代サッカーは、昔に比べて「つまらなくなった」という声を多く聞く。ファンだけでなく、かつて世界で活躍したレジェンド選手たちからも、そうした言葉が出ているのだ。では、一体なぜ「つまらない」と感じるのだろうか。その理由を考えてみた。(文:小澤祐作)[2/5ページ]
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ファンタジスタの絶滅
現代サッカーのトレンドが「フィジカル」となり、迫力こそあるが面白みに欠けるという点は、本記事の最初に紹介した。
そうした変化とともに、サッカー界からはあるものが消えた。それが“ファンタジスタ”と呼ばれる選手たちだ。
ロベルト・バッジョやロナウジーニョ、ジネディーヌ・ジダン、ネイマール…。圧倒的なテクニックと創造性を兼ね備えた彼らは、今なお根強い人気を誇っている。その理由はただ一つ。プレー一つひとつが常に魅力的だったからだ。
しかし、現在はファンタジスタが絶滅危惧種になっている。「テクニックはあるがフィジカルに難がある」選手よりも「テクニックは平凡だがフィジカルに長けている」選手が優先的に起用される時代だからだ。
元ドイツ代表のメスト・エジルは、まさにファンタジスタだった。技術は世界最高峰のレベルに達していたが、彼はウナイ・エメリ率いるアーセナルで冷遇された。その理由が「守備能力の欠如」であり、このあたり(2019年頃)から、徐々にエジルのような選手が減っていった印象を受ける。
今の時代、テクニックや創造性で魅了してくれる選手の代表格は誰だろうか。スペイン代表のラミン・ヤマルはその一人かもしれないが、昔は数えるほどいたファンタジスタの候補が、これほどまでに思い浮かばない時代になってしまった。
元日本代表の柏木陽介も“現在のサッカー”を理由に引退した一人だ。『DAZN』の番組である『内田篤人のFOOTBALL TIMES』でこう語っている。
「最終的には今のサッカーのスタイルについていけないというか、面白くないというか。フィジカル重視になってきたけれど、フィジカルゼロの人間がフィジカルを求められたらしんどい。(中略)いくら上手くても、強度って言われたらそれまでかなと。だったら、遊びで楽しくサッカーをする方に走りたいなと思った」
またあの選手のプレーが観たい。そう思わせられるプレーヤーが消えてしまったのは、同時にサッカーというスポーツの面白さを消した証拠でもある。

