現代サッカーは、昔に比べて「つまらなくなった」という声を多く聞く。ファンだけでなく、かつて世界で活躍したレジェンド選手たちからも、そうした言葉が出ているのだ。では、一体なぜ「つまらない」と感じるのだろうか。その理由を考えてみた。(文:小澤祐作)[3/5ページ]
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VARの誕生
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の誕生は、それまでのサッカー界を大きく変えた。
オフサイドの有無、レッドカードの有無、PKの有無、ゴールの有無…。試合結果を左右しかねない場面において、VARはその力を発揮する。人間の目では判断できない部分が鮮明になったことで、サッカー自体もクリーンになったのは確かだ。
しかし、VARの誕生がポジティブなことばかりかと言われればそうではない。
テクノロジーの進化により、ほぼ全てのプレーをスローで、完璧にチェックできるようになったことで、非常に細かい部分にまで確認がいくようになってしまった。そして、これに多くの時間を要していることが問題なのだ。
今年2月に行われたFC東京対浦和レッズでは、VARの介入で実に8分も試合が中断した。また、同月の清水エスパルス対京都サンガF.C.でも、VARチェックのため約10分間も試合が止まるということがあった。あまりに長い。
元スペイン代表のジェラール・ピケがイギリス『ザ・タイムズ』のインタビューで「子供たちは10分で(サッカー観戦に)飽きる」という発言をしていた通り、SNSが発達し、『TikTok』や『YouTubeショート』など、短い尺の動画で多くの情報を得ることが容易になったこの時代に、90分間もある試合をフルで見ることさえ過酷なのだ。
それに加えVARの介入で試合が長時間、あるいはたびたび止まっていては、サッカーを見るストレスは増幅する。VARの運用についてはまだまだ考える必要があるだろう。
またVARによって試合が止まるということは、当然ながらそれまでのゲームスピード感も失われるということだ。
元イングランド代表のダニー・マーフィーも「試合のためにもVARは廃止すべきだ。問題なのは、判定に到達するのにかかる時間が、試合やスペクタクルに与えている影響だ」と発言している。
もちろん、今後もVARの運用については変化があるだろう。どうなるにせよ、今のようにダラダラとチェックが行われるようなことはやめてほしい。

