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イタリア代表はW杯に出場できるのか。イラン代表に代わる繰り上がり出場は受け入れるべきでない【コラム】

イタリア代表
W杯2026欧州予選プレーオフに臨むイタリア代表【写真:Getty Images】



 FIFAワールドカップ2026欧州予選プレーオフが今月開催される。それに先立ち、イタリア代表のメンバーが発表。ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督は、抜かりない準備を進めている。そんな中、アッズーリには、アメリカ合衆国との関係が悪化し、大会参加を拒否する可能性もあるイラン代表の代わりとしてW杯に出場できるという噂がある。しかし、それは受け入れるべきではない。その理由とは。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]

ガットゥーゾ監督の抜かりない準備

 レーガが示した譲歩は、第30節の各試合を可能な限り前倒しで実施するというものにとどまった。

 その結果、20日金曜日に2試合、21日土曜日に3試合が組まれ、さらに欧州カップ戦を戦ったアタランタ、ASローマ、ボローニャFC、フィオレンティーナも22日の日曜日に試合が設定されている。

 これが、レーガにとっての最大限の妥協であった。

 もっとも、FIGCからも協力的な姿勢は見られず、代表強化という観点において、ガットゥーゾが不憫でならない。

 それでもガットゥーゾは、右腕であるジャンルイージ・ブッフォン代表団長とともに精力的な視察を重ね、選手との夕食会を設けるなど、あらゆる手段を尽くしている。



 ガットゥーゾによる選手との“面会ツアー”はイタリア国内にとどまらず、レテーギがプレーする中東、さらにはドンナルンマ、トナーリ、カラフィオーリらが所属するイングランドにまで及んでいる。

 自ら各地へ足を運び、選手との結束を高めるべく対話を重ねており、準備に抜かりはない。

 ガットゥーゾは、家族の絆を重んじるイタリア南部カラーブリアの出身である。

 現役時代には黄金期のミランでプレーし、強固な結束力を体現してきた。

 その経験を代表にももたらそうとしていることは明らかである。

 対話を重ねることで、トレーニング期間が限られている現状を補おうとしているのであろう。

アメリカとイランの関係悪化でイタリア代表にも影響が?

 プレーオフを前に、2022年カタール大会時と同様に、イタリア代表がイラン代表に代わって代替出場する可能性があるのではないかとの噂が報じられている。

 すでに本大会出場を決めているイランは、昨年12月5日にワシントンで行われたW杯組み合わせ抽選会において、アメリカが代表団の複数の関係者にビザを発給しなかったため、式典に参加していなかった。

 さらに、その時点よりも米国とイランの関係は悪化している。

 3月に入り、アメリカとイスラエルによる攻撃を受けたことで、イランが大会をボイコットする可能性があるとの報道も浮上した。

 この報道を最初に伝えたのは複数のイラン系メディアである。

 ただし現時点で確定的な情報は一切なく、この点についてFIFA事務総長マティアス・グラフストロームはアメリカ・メディア『ESPN』に対し、次のように説明している。



「この問題に関してはすでに最初の会合を行ったが、現段階で詳細に踏み込むのは時期尚早である。今後の情勢の推移を極めて注意深く見守っていく。

 今後数か月にわたり、これまでと同様に開催国3か国と連携を取り続ける。最優先事項は、すべての人々の安全である」

 イランはグループステージでG組に入り、ベルギー、エジプト、ニュージーランドと対戦するが、試合はいずれもアメリカ国内で開催される。

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は「イラン代表の出場は歓迎するが、彼らの生命や安全を考えれば適切ではない」と述べ、代表団の安全を保証できないとの認識を示したことで、事態は動きを見せた。

 これを受け、イランサッカー連盟は、自国の試合を開催国の一つであるメキシコで実施できないかFIFA(国際サッカー連盟)に打診したとされる。

 しかし現時点では、FIFAはこの要請に難色を示しており、試合会場がアメリカからメキシコへ変更される可能性は低いとみられる。

イタリア代表は繰り上がり出場を受け入れるべきではない

 アメリカと昵懇の関係にあるFIFAではあるが、それにとどまらず、大会開幕まで3か月を切った現状を踏まえれば、今から会場を変更することは現実的に困難と考えるのが妥当であろう。

 その場合、イランが大会参加をボイコットする可能性が現実味を帯びることになるが、規定上、その出場枠はアジア予選終了時点で最も上位に位置する代表に割り当てられることとなる。

 現段階では、ボリビア代表またはスリナム代表とのプレーオフに臨むイラク代表、そして最終節でそのイラクに敗れたアラブ首長国連邦(UAE)代表が有力候補とされている。

 一方で、プレーオフを突破できなかった場合に限り、イタリアにも可能性が生じるとの見方がある。

 これはFIFAランキングが基準とされた場合、アッズーリが現時点で未出場国の中で最上位となる13位に位置しているためである。

 興行面の価値を重視する現在のFIFAであれば、イタリア代表を出場させる特例措置が講じられる可能性も完全には否定できない。



 欧州選手権では、1992年大会において、本大会出場を決めていたユーゴスラビア代表が内戦に伴う国際試合出場禁止の制裁を受けて出場権を剥奪され、予選で同国に次ぐ2位だったデンマーク代表が代わって出場した例がある。

 そしてデンマークは、そのまま奇跡的な優勝を成し遂げた。

 ただし当時の予選では、デンマークはユーゴスラビアと2試合で1勝1敗と拮抗した戦いを見せていた。

 それではイタリアはどうか。ノルウェーに対しては2戦2敗、計7失点という体たらくである。

 仮にイタリアがプレーオフに敗れ、イランのボイコットによって繰り上がり出場という“救済”措置が講じられたとしても、それは受け入れるべきではない。

「本大会に進めばイタリアは勝てる」といった根拠に乏しい楽観論も聞かれるが、仮にイランの代替として同組に入る場合、ニュージーランド代表との対戦となる。

 格下であるニュージーランドとは2010年大会で引き分けているのだ。

 欧州予選およびプレーオフを勝ち抜けなかったアッズーリが、本大会で結果を残すことは期待し難い。さらに醜態をさらすだけであろう。

 いずれにせよ、今はプレーオフを最後のチャンスと捉え、実力で本大会の切符をつかみ取るほかない。

(文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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【了】

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