ロシア代表は政治的な理由により、2022年と2026年の2大会連続でワールドカップ(W杯)参加資格を失っている。挑戦することすら許されず、国内では新たな世代の選手たちが台頭しながらも、世界の舞台から切り離された状態にあると、スペイン紙『アス』が26日に指摘した。
ロシアで若手育つも、生まれた場所がチャンスを左右
ロシア代表は1958年のスウェーデン大会に初出場して以降、これまで11回もW杯でプレーしてきた。
最高成績は自国開催となった2018年のロシア大会で、ウルグアイ、サウジアラビア、エジプトと同組になったグループAを2位で突破すると、ラウンド16のスペイン戦では、なんとPK戦の末に優勝候補を下すというジャイアントキリングを成し遂げている。
準々決勝ではPK戦の末にクロアチア代表に敗れたが、史上初のベスト8という功績を残した。
また、UEFA欧州選手権では2008年にベスト4入りした経験があり、ヨーロッパ屈指のサッカー大国になり得る存在である。
FIFAランキングでは36位であり、決して弱いチームではない。予選に参加していたら、W杯出場を果たしていたかもしれない。
そんなロシア代表の希望を奪ったのが、2022年2月24日に勃発したウクライナ侵攻だ。
ロシアが当事国として紛争を仕掛けたことで、西側諸国を中心にロシアに対する経済制裁が課されている。
その動きに欧州サッカー連盟(UEFA)や国際サッカー連盟(FIFA)も同調し「追って通知があるまで、すべてのロシアのクラブおよび代表チームの大会参加を停止する」との声明を発表。
ロシアのチームは全面的に締め出され、国内の一世代の選手たちは、最高レベルで戦う機会を得られないまま歳月を重ねている。
それは本来であれば、将来ビッグクラブでプレーする可能性があった有望な若手選手の未来を奪っていることを意味する。
例えばアンドレイ・アルシャヴィンは、ロシア1部のゼニトで活躍したことがきっかけで、アーセナルに移籍することができた。
その後アーセナルに在籍した3年間で公式戦144試合に出場し31得点45アシストを記録している。
現状、ロシア国内のサッカー環境は以前とは大きく異なっている。
2022年から2024年までロシア1部のスパルタク・モスクワで監督を務めたギジェルモ・アバスカル氏は「国内リーグは財政的に非常に魅力的だ。
しかし、政治情勢のため、かつてヨーロッパの大会に出場するためにロシアに来た多くの選手が、代わりにトルコへ移籍している。
ガラタサライとフェネルバフチェは恩恵を受けていると言えるだろう」と述べた。
また、同クラブでスポールディレクター(SD)を務めるフランシス・カヒガオ氏は「NATOと緊密な関係にある国とは契約できない。
それは政治の問題であり、サッカー界主導でできることはほとんどない。
ここに来て以来、私はフランス、イタリア、オランダ、トルコのクラブと交渉してきたが、イングランド、ドイツ、米国、スカンジナビア諸国やバルト諸国のクラブとは交渉していない」と語っている。
外国人選手がほとんど来なくなった代わりに、ロシアの若い才能が次々と育ち、トップチーム入りへの障壁が少なくなっているという。
「今世紀初めて、先発メンバー全員がロシア人だった。
それはもともと彼らが十分な実力を持っていた証拠でもある。
例えば、ディナモ・モスクワのコンスタンティン・チュカヴィンやCSKAモスクワのイバン・オブリャコフ。
セリエAのクラブから関心を集めていたナイール・ウミャロフもいた。
チュカヴィンやアレクセイ・バトラコフのような選手は、きっと人々を驚かせる存在だろうね」と説明した。
ただし、ロシアから他のリーグへ移籍するのは簡単ではない。
一つはロシアのクラブには財力があるため、優秀な選手を高額な年俸で引き留めている。スペインのクラブがスパルタクのMF獲得を狙ったが、資金面で断念した例もあるようだ。
二つ目は経済制裁によって国際舞台での経験が限られているため、トップレベルの相手と対戦していないことが評価に大きく影響している。
三つ目は世間の認識や政治的な理由により、選手自身が恐怖心を抱いていることだ。
実際、紛争が起きる前の2021/22シーズンには、欧州5大リーグに6人のロシア人選手がいたが、現在はラ・リーガに一人(アルセン・ザハリャン)、リーグ・アンに二人(マトヴェイ・サフォノフとアレクサンドル・ゴロビン)。プレミアリーグ、ブンデスリーガ、セリエAにはロシア人選手が一人もいない状況だ。
それを踏まえ、アバスカル氏は「最大の問題は、W杯に2回出場できなかったことだ。
政治がスポーツにこれほど大きな影響を与え、選手たちが国際舞台で戦う機会を奪っているのは非常に残念。
ヨーロッパの主要リーグで活躍できたはずの若い才能がいたのに、今は門戸が閉ざされてしまっている。
今の時代、生まれた場所がチャンスを左右するのだ。
ヨーロッパの高いレベルに触れる機会がなければ、地元の選手はトップクラスの才能を持つ選手たちとトレーニングしたり、競い合ったりすることができない。
そこから学ぶことができず、全体的なレベルが過去の水準を下回る可能性がある」と懸念を示している。
最後にカヒガオ氏は「彼らは深刻な影響を受けている。
政治に発言権を持たないロシア人選手を罰するのは非常に不公平だ。
個人的には、この状況は不条理で不当だと思う。
ロシアには競争力のあるチームがあるし、それは現地で過ごせば、世間の認識が間違っていることに気づく。
彼らのレベルは、他の人々が想像するよりも遥かに高い」と評価した。
政治介入を嫌うFIFAだが、実際には政治的影響がサッカー界に暗い影を落としている。
