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ポルトガル代表にクリスティアーノ・ロナウドって必要なの? その答えは明確である【北中米W杯コラム】

ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド
ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】



 41歳となった今も、ポルトガル代表の中心に立ち続けるクリスティアーノ・ロナウド。一方で、近年は「不要論」も絶えない。2022年W杯、2024年EUROでは期待された結果を残せなかったが、ロベルト・マルティネス監督は今なお絶対的エースとして信頼を寄せる。なぜロナウドは必要とされるのか。最後のW杯へ挑むレジェンドの現在地に迫る。(文:安洋一郎)[2/2ページ]

クリスティアーノ・ロナウドと共存できる戦力層

 W杯へ向けて参考になるのが、2025年6月のUEFAネーションズリーグ準決勝と決勝での戦い方だ。

 ドイツ代表、スペイン代表という強豪相手に先制を許しながらも、ポルトガルは後半にギアを上げて逆転勝利(スペイン戦はPK戦勝利)を収めている。

 この連勝を支えた要因の一つが、ポルトガル代表最大の武器とも言える“選手層の厚さ”だ。

 中盤には試合を支配できるヴィティーニャやブルーノ・フェルナンデス、ジョアン・ネヴェス、守備強度を担保するパリーニャ、展開力に優れるルベン・ネヴェスらが並ぶ。

 WGにもペドロ・ネト、ラファエル・レオン、ジョアン・フェリックス、フランシスコ・トリンコン、フランシスコ・コンセイソン、カルロス・フォーブスらスピードやテクニック、ドリブルなど多彩な強みを持つタレントが揃う。

 さらに、複数ポジションを高水準でこなせるベルナルド・シウヴァも絶対的な存在だ。



 ロベルト・マルティネス監督は、この豊富な戦力を生かし、試合展開に応じて攻撃的な采配と守備的な采配を柔軟に使い分けている。

 例えば、準決勝のドイツ戦では、1点を追う58分に3枚替えを敢行。途中出場のコンセイソンが63分に個人技から同点弾を決めると、その5分後には、ヌーノ・メンデスの折り返しをロナウドが押し込み、逆転勝利を収めた。

 ボックス内で仕事をする“フィニッシャー”のロナウドに対し、そこへボールを届けるまでの形を複数用意できることこそが、現在のポルトガル代表の強みである。

 そして、途中出場の選手たちが次々と結果を残せる背景には、チーム全体の献身性がある。

 その土台にあるのが、今大会が3度目のW杯となる経験豊富なマルティネス監督のマネジメント力だ。

クリスティアーノ・ロナウドを活かす指揮官のマネジメント

 イギリス『The Guardian』によると、2016年から2022年までベルギー代表を率いたマルティネス監督は、2023年のポルトガル代表就任時、候補選手32人全員と直接面談を行ったという。

 各選手に対して、代表チームに懸ける思いやサッカーを始めたきっかけ、憧れの選手などを丁寧にヒアリングし、人間性を把握した上でチーム作りをスタートさせた。

 2022年カタールW杯では決勝トーナメント以降にベンチスタートとなっていたロナウドを、再び中心選手として据え直したのもマルティネス監督だった。



 レアル・マドリードとポルトガル代表でロナウドと共闘したリカルド・カルバーリョをコーチングスタッフに迎え入れたのも、同監督の発案である。

 マルティネス監督はロナウドについて「彼はペナルティエリア内で真価を発揮する9番だ。彼にスペースを与えてゴールを決めてもらうことを期待しているよ」と語り、今なお絶対的な得点源として高く評価している。

 さらに、「毎朝、その日を成長の機会として捉え、あれほど集中している選手を私は見たことがない。クリスティアーノが代表にいる限り、若手選手たちにとってこれ以上ない手本になる」と、そのプロフェッショナルな姿勢についても称賛を惜しまない。

 若手にとって、ロナウドは単なるエースではなく、日々の振る舞いを示す“メンター”でもあるのだ。

合言葉は「ロナウドのために」

 冒頭に言及した通り、北中米W杯はロナウドにとって最後のW杯となる可能性が高い。

 W杯に向けたインタビューでは、ポルトガル代表の多くの選手が「ロナウドのために」という言葉を口にしている。

 4月にイギリス『BBC』でウェイン・ルーニーと対談したブルーノ・フェルナンデスは、「クリスティアーノとともにW杯を優勝できれば、本当に素晴らしいことだ。ポルトガルのためだけでなく、彼がサッカー界に捧げてきたすべてに報いるためにも、その夢を実現したいね」と語った。



 また、ポルトガルのラジオ局『Mega Hits』に出演したゴンサロ・ラモスも、「W杯に出場するだけでも夢だけど、クリスティアーノに“贈り物”(優勝)を届けられれば、それはさらに大きなモチベーションになる」とコメントしている。

 W杯開幕が近づく中で、問われるべきはロナウドの“不要論”ではない。

 今のポルトガル代表は“ロナウドを外すチーム”ではなく、“ロナウドを勝たせるチーム”になっているとも言える。

 2006年大会でジダンが見せたように、最後のW杯で母国をどこまで導けるか。

 世界中の子どもたちが憧れた男の“ラストダンス”を、その目に焼き付けよう。

(文:安洋一郎)

【著者プロフィール:安洋一郎】
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。現在は『フットボールチャンネル』をはじめ複数のwebメディアや欧州名鑑などに寄稿。12歳からアストン・ヴィラを応援し、プレミアリーグを中心に海外サッカー全般を追っている。Xアカウント:@yoichiro_yasu

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【了】

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