
日本代表、ブラジル戦のあとの様子【写真:田中伸弥】
FIFAワールドカップ北中米大会・ラウンド32、日本代表はブラジル代表に前半でリードしながら後半に逆転を許し、2-1で涙をのんだ。伊紙『ガッゼッタ・デロ・スポルト』記者ファビオ・リーカリ氏が、前半の完成度と後半の失速、そして日本が次のアジアカップのために向き合うべき課題を分析する。(文:ファビオ・リーカリ(『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』記者)、翻訳:佐藤徳和)[2/2ページ]
少なくともベスト16に値する

日本代表を率いる森保一監督【写真:田中伸弥】
例えば田中は、95分に自陣ペナルティーエリア前で失ったボールへの反応が鈍く、その場面で菅原由勢もほとんど動けていなかった。また途中出場した鈴木淳之介も、左サイドの中村ほどの存在感を示すことはできなかった。
後半、上田は完全に孤立していた。日本は前へ運べず、上田はマルキーニョスとガブリエウの挟み撃ちに遭い潰された。
森保監督自身も、それまでの試合ほど冴えてはいなかったように映る。交代カードは流れを変えるどころか逆効果となり、選手たちの雰囲気を変え、奮い立たせることもできなかった。チームはあまりにも受け身だった。
この日本代表の平均的な実力は、少なくともベスト16に値するものだった。そして決勝トーナメント1回戦ですぐにブラジルと当たったことは決して幸運ではなかった。
それでも、注目に値する堅実な守備陣であった。ブラジル戦ではビルドアップにやや課題を残したものの、95分までは相手に突破口をほとんど与えなかった。ボールを奪って一気に攻撃を仕掛けられる機動力のある中盤もある。
上田という得点源を擁し、ゴールへ向かう動きやラストパスを供給できるトレクアルティスタもいる。それでは何が足りなかったのか。
新たなスタート地点になり得る敗退

ブラジル戦後の日本代表【写真:田中伸弥】
間違いなく、もう少しの気持ちの強さと勇気だった。これこそが最大の過失であり、おそらくコンディション面にも問題があった。実際、後半の日本はまったく前へ出られなくなっていた。
最大の誤りは、後半で守備だけに頼ってしまったことだ。このチームは引いて守り、ひたすら耐え続けることを得意とするチームではない。1対1の肉弾戦を信条とし、その戦い方で闘志を燃やすパラグアイのようなチームではないのである。
日本は質の高いサッカーができるチームだ。ワイドでスケールの大きな攻撃を展開し、選手たちが盤上の駒のように巧みに動き回る。中村、伊東、上田、佐野、堂安、グループステージの田中、鈴木彩艶といった選手たちは、いずれも世界で通用するレベルの実力を備えている。
だからこそ、日本はこのワールドカップの経験を次へ生かさなければならない。より高い攻撃力を持つオランダを相手に2度追いついて引き分けた。しかも2度目は試合終盤であり、そこには確かな精神力があった。
チュニジアには自分たちの強さを自覚した戦いで危なげなく勝利した。スウェーデン戦では引き分けを冷静にコントロールし、もし勝ちにいこうと思えば勝利を手繰り寄せることができたかもしれない。
だが、グループ2位での突破は引き分けで確実だった。あらゆるミスが命取りとなるノックアウトステージで、日本は45分間だけ判断を誤った。この悔しさはゆっくりと消えていくだろう。
しかし、この敗退は日本にとってすべてを否定される敗北ではない。むしろ、新たなスタート地点になり得る敗退なのである。
(文:ファビオ・リーカリ(『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』記者)、翻訳:佐藤徳和)

【著者プロフィール:ファビオ・リカーリ】
1967年生まれ。『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』特派員、20歳から同紙に所属。国際分野担当、イタリア代表取材班の主筆記者。ワールドカップ6大会、欧州選手権7大会、オリンピック1大会を取材。1996年ユヴェントスのチャンピオンズリーグ制覇を題材とした小説、モウリーニョ、プラティニ、バッジョ、インテル、ユヴェントスの伝記を執筆。
『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』『コッリエーレ・デッラ・セーラ』付録コミックシリーズ編集担当。マーベル・コミック関連書籍も手がけている。
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