【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)ラウンド32、イングランド代表vsコンゴ民主共和国代表が現地時間1日に行われ、2-1でイングランドが勝利を収めた。試合は戦前の予想に反してDRコンゴ代表が先制。トーマス・トゥヘル監督率いるイングランド代表は75分までビハインドを背負う苦しい展開となった。指揮官はこの苦しい展開をどのような采配で勝利に導いたのだろうか。(文:安洋一郎)[2/2ページ]
右サイドからの攻撃に苦戦した理由

ノニ・マドゥエケとジェド・スペンス【写真:Getty Images】
ハリー・ケインが中盤の低い位置に下りてゲームを組み立てることが少なかったことから、基本的に両サイドからの仕掛けが攻撃の生命線だった。
左サイドはラッシュフォードとデクラン・ライス、ニコ・オライリーの3人でポジションを入れ替えながら効果的な攻撃ができていた場面も多かったが、右サイドは右WGノニ・マドゥエケと右SBジェド・スペンスの2名で攻略する必要があった。
左サイドに比べて人数が不足した要因は、ダブルボランチの右のアンダーソンがライスとのバランスを保つため、高い位置への進出を自重していたことにある。
DRコンゴ代表は右サイドの2人のイングランド代表の攻撃に対して、最低でも左SBと左SH、アンカーの3人が対応しており、数的不利を強いられる場面が大半だった。
そのため個人技に依存する形となり、前半終了間際のベリンガムのヘディングシュートの場面のように、マドゥエケが1人かわしたところから質の高いクロスを送ることができればチャンスとなったが、それ以外の場面ではほとんど決定機を作れなかった。
この機能していなかった右サイドにトゥヘル監督は修正を加えた。
試合の流れを変えたトゥヘル監督の修正

イングランド代表のトーマス・トゥヘル監督【写真:Getty Images】
61分に両WGを入れ替える形で、左WGにアンソニー・ゴードン、右にブカヨ・サカを投入。70分には右SBスペンスに代えて、エベレチ・エゼをピッチに入れた。
この交代を機にイングランド代表は、システムを[4-2-3-1]から[4-3-3]に変更。エゼは右のインサイドハーフに入り、ボランチで出場していたライスが右SBに回った。
この交代によって、サカ、エゼ、ライスの3人で右サイドに三角形を形成できるように。それまではDRコンゴの守備に対して数的不利だったのが、少なくとも同数で攻撃できる状況を作れるようになったのだ。
トゥヘル監督のシステム変更が功を奏したのが75分の得点シーンである。
右サイドでサカがボールを持ち、相手の左SBアルトゥール・マスアクを自らに引きつけてから背後へと抜け出したエゼにパスを出した。
エゼのカバーにDRコンゴ代表MFのノア・サディキが入ったことで、ライスが右SBの位置から空いたポケットへ進入。ゴールライン近辺から逆サイドに折り返すと、ボールを受けたゴードンのクロスをケインが頭で押し込み、同点に追いついた。
一連の崩しは70分の交代前まではなかった攻撃の形で、それまで見られなかった「右SBがポケットを突く形」が、この場面で初めて機能した。
最後はケインの個の力が勝敗を分けたものの、それまで停滞していた攻撃の流れは、トゥヘル監督の試合中の修正によって大きく変わった。
ラウンド16はメキシコシティのアステカ・スタジアムでメキシコ代表と対戦する。完全アウェイに加え、標高2240mの高地という厳しい条件も待ち受ける。
この難関を乗り越えるためには、再び指揮官の采配が重要になるだろう。
(文:安洋一郎)
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