
北中米W杯を戦うフランス代表【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ北中米大会(北中米W杯)にて、フランス代表がモロッコ代表を2-0で下し、ベスト4進出を決めた。シュート23本、ゴール期待値2.92という圧倒的な内容での完勝。優勝を果たした8年前のロシア大会でも”個”の能力は際立っていたが、今や11人全員が独力で局面を打開できる怪物集団へと進化した。この”個の究極進化系”に対抗できるチームは、果たして残っているのか。
屈指の強豪・モロッコにワンサイドゲーム
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準々決勝、フランスはモロッコを2-0で下した。後半にキリアン・エムバペとウスマン・デンベレが決めて試合を決定づけたが、驚くべきは内容だ。
シュート23本(枠内9本)に対し相手はわずか5本(枠内1本)、ゴール期待値は2.92対0.2。大会屈指の強さを見せてきたモロッコ相手に、後半はほぼワンサイドゲームだった。
ロシア大会では、フィニッシャーのエムバペとアントワーヌ・グリーズマンにボールを集める”個”依存のチームだった。今大会でも背番号「10」がチーム内で最も多くのシュート(90分あたりで5.2本)を放っているが、前回優勝時と異なるのは各ポジションに彼に比肩する能力を有しているところだ。
11人全員が独力で局面を打開できる。多少パスがズレようが、ロングボールのカウンターを食らおうが、まったく問題にならない。誰か一人が特別なのではなく、全員が特別なのだ。
デジレ・ドゥエはトランジションで鋭さを見せ、難しい体勢でもボールを収められる。ミカエル・オリーズのバックヒールのパスをカットされ、モロッコがロングフィードを前線に供給しても、ダヨ・ウパメカノは難なく走り勝てる。
他のチームならば危険なボールロストも、今回のフランスではピンチにならない。なお、パスミスを喫したオリーズもデュエル勝利数「10」で両チームトップのスタッツを記録している。
組織的な”崩し”より先に、個の質でねじ伏せてしまう。モロッコの指揮官であるモハメド・ワハビ監督も、試合後のフラッシュインタビューで「前半までは良かった。良い形でハーフタイムを迎えられ、後半も開始直後は互角に戦えていた。お互いにボールをシェアする状態を続けられたが、エムバペの個人技でゴールを決めたあとはかなり変わってしまった」と述べている。
個の能力に依存することは再現性の乏しさに懸念を持たれるはずだが、今大会のフランスは違う。連動性が比較的少なくても、それを補って余りある圧倒的な身体能力・技術・判断力を持つ選手たちが前線から後ろまで揃っている。
モロッコはコーナーキックから84分にチャンスを作るが、これも防がれてしまう。アクラフ・ハキミがニアに放り込んでそこにニール・エル・アイナウイが合わせるというシーンは、ラウンド32・オランダ戦で見せたコンビプレーと全く同じだった。
相当準備したとみられる組織的な動きにも、全く動じずに対応できる胆力。果たして、この”個の集合体”に対抗できるチームは存在するのか。残された試合はわずか。いよいよ頂点に手がかかる国が絞られてきたが、今大会の“レ・ブルー”はあまりにも盤石だ。
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