
イタリア代表【写真:Getty Images】
ロベルト・マンチーニが再びイタリア代表の指揮官に就任した。世代交代と再建を託された新生アッズーリは、どのような姿を見せるのか。各ポジションの候補を整理しながら、9月のネーションズリーグに向けた新チームの輪郭を探る。(文・佐藤徳和)[2/3ページ]
“ジョルジーニョ後”の中盤、トナーリが新たな軸になるか

イタリア代表 サンドロ・トナーリ(左) ジョルジーニョ(右)【写真:Getty Images】
ユーロ2020を制したときには、レジスタ(中盤の中央)にジョルジーニョがいた。2021年のバロンドールでは、ユーロでのパフォーマンスも高く評価され、リオネル・メッシ、ロベルト・レヴァンドフスキに続く3位に入ったほどだ。
今、ジョルジーニョに最も近い役割をこなせるのは、イタリア人史上最高額となる1億800万ユーロでニューカッスルからトッテナムに引き抜かれたサンドロ・トナーリだろう。ジョルジーニョよりも攻撃的だが、司令塔としての役割もこなせるプレーヤーだ。アッズーリでも、それだけの価値を示さなければならない。
今夏、ミランからコモ1907へ期限付き移籍したサムエーレ・リッチも、ジョルジーニョの後継者候補の一人だ。新天地で出場機会を得て存在感を示すことができれば、代表でも再び序列を高めていくだろう。
マヌエル・ロカテッリは、マンチーニに重宝された一人だ。アタランタの指揮官、マウリツィオ・サッリ監督が高く評価するジャンルーカ・ガエターノも、新天地でどのようなプレーを見せるか関心が高まっている。インパクトを残せれば、招集メンバーに名を連ねることになるだろう。
また、スペインに目を向けると、今夏の移籍市場でフィオレンティーナからデポルティーボ・ラ・コルーニャに移籍したロレンツォ・アマトゥッチがいる。昨季はレンタル先のラス・パルマスで主力の一人としてプレーした22歳だ。実績にとらわれないマンチーニなら、サプライズ招集することもあり得るだろう。
インサイドハーフでは、29歳ですでに代表70キャップを誇るニコロー・バレッラの名前がまず挙げられる。
それからフィオレンティーナのニコロ・ファジョーリ、トリノFCのチェーザレ・カザデイがいる。カザデイは2023年のU-20ワールドカップで最優秀選手に選ばれ、得点王にも輝いた。1メートル92センチと長身で、得点力も魅力だ。
ダヴィデ・フラッテージはインテルを去り、SSラツィオに移籍した。インテルでは途中出場が多かったが、ユース時代に慣れ親しんだビアンコチェレステでは、主力として期待される。
ASローマの生え抜き、ニッコロー・ピジッリも招集候補だ。今夏はふくらはぎの負傷で出遅れたものの、すでに戦列へ復帰している。いずれにしても、2列目から最前線へ飛び出す動きが魅力の21歳だ。
カリアリ・カルチョにレンタル移籍したヤーコポ・ファッツィーニは、かつてマンチーニがトレーニングキャンプに招集したことのあるプレーヤーだ。シェール・エンドゥールはバルディーニ暫定監督によって招集され、テストマッチの2試合にフル出場している。当然、マンチーニから声がかかってもおかしくない。
ウィングは人材豊富、ザニオーロの“復活”にも期待

イタリア代表 ニコロー・ザニオーロ(左) ジャコモ・ラスパドーリ(右)【写真:Getty Images】
ウィングは、アタランタのジャコモ・ラスパドーリ、SSCナポリのマッテオ・ポリターノ、ボローニャFCのリッカルド・オルソリーニらがメンバー入りするのではないか。パリFCのルーカ・コレオショは、マンチーニの下でぜひ見てみたい選手だ。
イタリア人の中では貴重なドリブラーの一人であり、機動力のあるウィンガーでもある。SSCナポリのアントニオ・ヴェルガーラは、昨季注目を集めた23歳。今夏はすねの負傷に見舞われたものの、すでに復帰を果たしている。クラブで見せる推進力は、代表チームでも武器となるだろう。
そして、ニコロー・ザニオーロだ。まだセリエAでデビューする前にマンチーニによって代表に招集され、ブレイクを果たしたアタッカーである。いまだにピッチ内外でのトラブルが絶えない27歳だが、その才能は依然として際立っている。
昨季のセリエAでは、当時ボローニャFCを指揮していたヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督が、2月24日のウディネーゼ戦後にDAZNイタリアのインタビューでザニオーロについて言及。
「繊細なところもある青年だ。もしひざを2度も手術していなかったら……。今はすべてを乗り越えたように見える。本当に彼のことを凄いと思っている。イタリア人選手として非常に重要な存在だ」と高く評価した。
ジェンナーロ・イヴァン・ガットゥーゾ監督からは招集されなかったが、マンチーニによって再び招集されるだろうか。
コモ1907のセスク・ファブレガスの強い要望によって移籍が実現したマッティーア・リベラーリは、多くのファンが代表でのプレーに期待を寄せる19歳だ。6月のテストマッチ2試合には招集されず、前所属先のUSカタンザーロを率いていたアルベルト・アクイラーニ(現USサッスオーロ監督)が「代表入りに値した」と疑問を呈していた。
ユヴェントスのジェフ・エカトール、ドルトムントでプレーする18歳のサムエーレ・イナシオも有望株だ。後者は、SSCナポリなどでプレーしたブラジル人のピアを父に持つ。
アンダー世代ではイタリア代表としてプレーし6月のA代表のテストマッチにも出場したが、ブラジル代表が招集を検討しているとの噂もある。これほどの逸材であれば、早い段階でA代表の公式戦に出場させて“確保”しておくべきだろう。
最大の課題はセンターフォワード。誰が得点源になるのか

インテル ピオ・エスポージト【写真:Getty Images】
最後のポジションは、最も人材難であるセンターフォワードだ。昨季のセリエAで、イタリア人選手の最多得点は10ゴール。オルソリーニ、クレモネーゼのフェデリコ・ボナッツォーリ、アタランタのジャンルカ・スカマッカの3人だ。
このうち、純粋なセンターフォワードと言えるのは、スカマッカだけである。スカマッカは最も好調だった時期に前十字靭帯を損傷し、長期間にわたって戦列を離れざるを得なかったことが悔やまれる。ただ、昨季から復調の兆しを見せており、今季再びブレイクする可能性は高い。
マンチーニが発掘し、イタリアに帰化させたマテオ・レテギは、サウジアラビアのアル・カーディシーヤに移籍し、明らかにパフォーマンスを落としている。
昨季のサウジ・プロリーグでは15得点を挙げているが、決してレベルが高いとはいえないリーグでプレーしているオリウンド(外国生まれでありながらイタリアにルーツを持ち、イタリア国籍を取得してイタリア代表でプレーする選手)を、あえて招集する必要があるだろうか。
今夏、フィオレンティーナからコモ1907へ移籍したモイーズ・キーンは、FIFAワールドカップ2026欧州予選プレーオフの2試合でゴールを決めている。昨季は不調のチームとともに精彩を欠いたが、イタリアにとって貴重な得点源であることに変わりはない。
SSラツィオのアンドレア・ピナモンティ、SSCナポリのロレンツォ・ルッカ、ボローニャFCのロベルト・ピッコリ、ジェノアのロレンツォ・コロンボも、希少な“メイド・イン・イタリー”のセンターフォワードであるが、今ひとつインパクトに欠ける。
カリアリ生まれのニコロー・トレソルディは、2025-26シーズンのベルギー・プロ・リーグで19ゴールをマークし、得点王になった22歳だ。ただ、13歳のときにドイツへ移住しており、これまでドイツのアンダー世代で代表招集を受けている。イタリアからの招集に応じるかは不透明だ。ASローマからの関心も噂されており、去就にも注目が集まっている。
最後は、イタリアの未来を担うインテルのピオ・エスポージトとミランのフランチェスコ・カマルダの2人だ。前者は21歳、後者は18歳。
ピオ・エスポージトは、6月のテストマッチ2試合で2戦連続決勝ゴールを決めており、ストライカーとしての役割を果たした。まだクラブで定位置を確保できていない2人だが、これまで若き俊英を数多く代表に招集してきたマンチーニであれば、この2人を見逃すことはないだろう。