
サンフレッチェ広島の中島洋太朗【写真:Getty Images】
アジア競技大会で開幕2連勝を飾ったU-21日本代表。U-23キルギス代表には7-0で大勝したが、アンカーのプレーには課題も見えた。中島洋太朗、保田堅心、そして間もなく合流する石渡ネルソン。中盤の底を担う3人の特徴をあらためて整理し、第3節のタイ戦で問われるポイントを探る。
大勝の中で見えたアンカーの課題
アジア競技大会グループA第2節、U-21日本代表はU-23キルギス代表に7-0で勝利した。ボール保持の際はアンカーを置く【4-3-3】。初戦のホンコン・チャイナ戦で先発した保田堅心(V・ファーレン長崎)に代わり、中島洋太朗(サンフレッチェ広島)が中盤の底に入った。
リズムよくボールを捌けているときはクオリティを見せるが、トランジションで気になるシーンもあった。たとえば11分前後のシーン。中島が立て続けに相手のプレスに捕まり、片方ではロングシュートに持ち込まれる場面があった。失点には至らなかったものの、相手の圧力を受けながらどうボールを前へ運ぶかという課題が見えた。
ホンコン・チャイナ戦の保田も、相手ゴール前に入っていく動きは随所で見せていたが、攻守の切り替えの部分では相当に負担が重かったように見える。結果的に2試合とも日本が圧倒する展開となったが、このポジションに誰が入るのかはさらに強度が高いチームと当たったときの懸念材料と言える。
というのも、所属クラブで目下の3人が主戦場としているのはダブルボランチ。アンカーの候補には今後合流する石渡ネルソン(シント=トロイデン)もいるが、2026年前半に行われたJ1百年構想リーグのセレッソ大阪所属時も、隣には田中駿汰という頼れるキャプテンが構えていた。
インサイドハーフ、あるいはセントラルMFを生業とする選手ばかりである。専業のアンカーと呼べる選手が見当たらない現状だが、チームが【4-3-3】で戦う以上、誰かがその役割を担わなければならない。AFC U23アジアカップなどでは小倉幸成(ファジアーノ岡山)がその重責を負っていたが、彼は怪我で長期離脱中だ。
現在の候補者の中では、誰が最もアンカー足り得るのだろうか。今季2026/27シーズンのクラブでのスタッツを『Sofascore』で比較すると、ボール保持の安定感で目を引くのは中島だ。以下、回数や本数は90分あたりの数値とする。
中島はJ1で7試合399分に出場。パス65.4本、パス成功率89.7%はいずれも3人の中でトップだ。100タッチあたりのボールロストは15.1回と最も少なく、相手にボールを奪われた回数も0.23回にとどまる。
今季のリーグ戦先発6試合の起用ポジションは、いずれも【3-4-2-1】の中盤。隣には常に経験豊富な実力者・川辺駿がいる。守備にも気を配りつつ、攻撃面で創造性を発揮している。ボール回収も6.77回と最多だが、ドリブルで抜かれた回数は2.03回あり、対人守備には改善の余地がある。
全勝同士で迎えるグループ最終戦
一方、守備に関する数値で目立つのが石渡だ。ベルギー1部リーグで5試合265分に出場し、タックルとインターセプトの合計は5.77回。クリア4.42回、空中戦勝利1.70回とともに、3人で最も多い。先発した3試合では、やはりダブルボランチの一角としてプレーしている。
ただし、ドリブルで抜かれた回数3.06回は最多。積極的にボールを奪いにいく強みを生かしつつ、相手を止め切れなかった際の対応が課題となる。
保田は今夏に長崎へ加入したばかりで、出場時間が限られている。今季はJ1での途中出場3試合とYBCルヴァンカップ1試合の計151分。唯一先発したルヴァン杯では、ディエゴ・ピトゥカと共にダブルボランチを務めた。
パス成功率は82.5%、100タッチあたりのボールロストは20.9回と、ボール保持の場面では中島の数字には及ばない。奪ってからの推進力が武器の選手だが、ゲームメイク力を上げられればさらに存在感を示せそうだ。
出場時間やリーグ、チームでの役割が異なるため、数字だけで序列は決められない。それでも、ボール保持と配球を重視するなら中島、守備でのボール奪取や空中戦を重視するなら石渡という、それぞれの持ち味は見えてくる。
中島は今日1ゴール1アシストの活躍を見せており、やはり強みは攻撃面にあると言える。得点はPKによるものだが、要因となった石井久継へのファウルは背番号「17」のラストパスが引き出したものだ。そのクオリティを担保しながら、守備やトランジションでも実力を発揮できるようになれば、自身の未来もより明るくなる。
第3節の相手は、グループ内で最も手ごわいとみられるタイだ。日本とともに2戦2勝で、全勝同士の対決となる。日本が2-0勝利をおさめたホンコン・チャイナを相手に5-1で大勝しており、油断ならない相手だ。これまで以上の圧力を受けた際に、中盤の底でどうボールを前進させるかは一つの注目点になる。
石渡の合流タイミングも含め、次戦が決勝トーナメント前の最後の試金石になりそうだ。
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