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タックル成功率100%。U-21日本代表・石渡ネルソン、北朝鮮戦で示したアンカーとしての価値

text by 編集部 photo by Getty Images
石渡ネルソン
U-21日本代表でプレーする石渡ネルソン【写真:Getty Images】



 U-23北朝鮮代表を1-0で下し、アジア競技大会のベスト4に進んだU-21日本代表。押し込まれる時間が続く中、途中出場の石渡ネルソンが中盤で存在感を示した。球際でボールを奪う強さと、中央を空けない判断。その働きから見えたのは、チームにおける重要性と、持ち味をさらに引き出すための課題だった。

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途中出場でタックル成功数は両チームトップタイ

 アジア競技大会に臨むU-21日本代表にとって、北朝鮮戦は決して楽な試合ではなかった。9月26日の準々決勝は1-0で勝利したものの、シュート数では9対20で相手を下回った。開幕から4試合目にして、今大会初めてのことである。

 中盤の中央をどう守り、奪ったボールをどう前進につなげるか。その対応力が問われる90分だった。

 こぼれ球奪取数は北朝鮮の39回に対し、日本は30回。相手の激しいプレッシャーと球際の強さに苦しみ、中盤で主導権を握りきれず、押し込まれる時間が続いた。

 その中で存在感を放ったのが石渡ネルソンだ。60分に中島洋太朗に代わって登場し、アンカーに入った。後半途中からの出場ながら、タックル成功数は両チームトップタイの3回。成功率も100%を記録し、強度でチームを支えた。

 特筆すべきは、球際での強さだけではない。ボールを追う場面と、中央にとどまる場面を使い分けていたことだ。

 中盤の底に1人を置く【4-3-3】では、アンカーがボールに向かう際、背後や周囲のスペースにも気を配る必要がある。石渡は、奪いに出ることと中央を守ることのバランスを慎重に取っているように見えた。

 たとえば66分前後の場面だ。北朝鮮がロングフィードを起点に二次攻撃を仕掛け、ボールが左右に動いた。ここでアンカーの選手がサイドへ追いかければ、中盤の中央が空きかねない。石渡はボールにつられすぎず、中央の位置を保った。

 直後の67分には中央でボールを受け、相手のファウルを誘って一息つく時間をつくった。守備では持ち場を守り、ボールを持てば相手の圧力を受け止める。劣勢の時間帯に必要な落ち着きを、チームにもたらした。



守備の安定と推進力をどう両立するか

 攻撃面でも好機に関わる。68分には相手のペナルティエリア付近で縦パスの受け手となり、右サイドの梅木怜、石橋瀬凪と三角形をつくった。一連の連係は、石橋のシュートにつながっている。

 ボールを奪った後の推進力に加え、味方との短いパス交換でも攻撃を助ける。守備の強度を高めるだけにとどまらない働きだった。

 一方で、石渡の持ち味をさらに引き出す余地もある。セレッソ大阪でプレーした百年構想リーグでは、田中駿汰とボランチでコンビを組んでいた。現在所属するシント=トロイデンでも、ピッチに立った際には中盤の底を2人で担当している。 隣の選手と補い合う場合と、中盤の底を1人で担う場合では、前に出る際の判断や周囲との関係が変わる。

 相手を追って持ち場を離れたりする際には、インサイドハーフや最終ラインが中央を補う連係が欠かせない。石渡個人の慎重さだけに頼らず、チームとして動き出せる条件を整えることが重要になる。

 23日のU-23タイ代表戦でも出色のクオリティを示した石渡だが、その試合ではフル出場の保田堅心がアンカーに入っており、背番号「7」はインサイドハーフとして途中投入。ドリブル回数は「3」に達した一方、中2日で迎えた北朝鮮戦では「0」に減った。

 できることが増えているのは事実だが、本来のストロングを発揮しにくくなっている側面はあるだろう。

 問いたいのは、中央の守備を安定させながら、石渡が前へ出られる場面をどれだけつくれるかである。ボールを奪い、そのまま攻撃を前進させる力は、彼の大きな武器だ。守備の役割を担わせると同時に、その推進力を生かす周囲の支えも求められる。

 北朝鮮戦は、その両面を考えるうえで貴重な一戦になった。相手の圧力を受ける展開の中で、球際で戦い、中央を守れる石渡の価値が浮き彫りになったからだ。

 今大会の残りの試合、そして2028年のロサンゼルス五輪を目指す過程でも、こうした対応力は必要になる。アンカーとしての守備の安定と、攻撃に出ていく持ち味をどう両立させるか。勝利をつかみながら、その課題を確かめられたという意味で、北朝鮮戦は有意義な試金石だった。

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