
アジア競技大会を戦うU-21日本代表【写真:Getty Images】
グループステージから先発を入れ替えて戦ってきたU-21日本代表は、負ければ終わりの準々決勝でも前の試合から9人を変更した。それでも基本布陣は【4-3-3】を維持。大岩剛監督は、なぜ選手を替えながら同じ形で戦うのか。過去大会の起用と比較しながら、勝負どころでも続ける選択の意味を考える。
準々決勝でも9人変更
アジア競技大会・愛知に臨むU-21日本代表は、グループステージから先発メンバーを固定せずに戦ってきた。
初戦のU-23ホンコン・チャイナ代表戦から第2戦のU-23キルギス代表戦では7人、第3戦のU-23タイ代表戦ではさらに8人を変更。それでも2-0、7-0、3-0と勝利を重ね、3戦全勝、12得点無失点で首位通過を決めた。
もちろん、こうした起用には海外組の合流時期が異なった事情もある。市原吏音はキルギス戦で途中出場し、タイ戦で今大会初先発。小杉啓太、石渡ネルソン、ンワディケ・ウチェブライアン世雄もタイ戦で大会初出場を果たした。単なる休養のための入れ替えではなく、合流した選手を組み込む過程でもあった。
そのうえで注目したいのは、一発勝負に移っても先発を固定しなかったことだ。9月26日の準々決勝・U-23北朝鮮代表戦では、直前のタイ戦から9人を変更。続けて先発したのは、市原と中島洋太朗だけだった。
北朝鮮戦の先発は、キルギス戦と8人が共通していた。GK荒木琉偉に加え、梅木怜、佐藤海宏、大関友翔、中島、嶋本悠大、横山夢樹、福永裕也が再び先発。そこに市原、岡部タリクカナイ颯斗、ンワディケを組み込んだ。
ホンコン・チャイナ戦とタイ戦で前線に並んだ道脇豊、古谷柊介、石橋瀬凪は、そろってベンチスタートとなった。ただし、道脇はキルギス戦にも先発している。ふたつの固定された組を交互に使っているわけではなく、試合ごとに組み合わせを調整している点に注目したい。
試合は、北朝鮮の激しいプレスと球際の強さに押される時間が続いた。それでも39分にンワディケが先制し、荒木や最終ラインの選手たちを中心にリードを守り切った。
後半には石橋、石渡、石井久継、道脇、永野修都が途中出場。交代選手も加わって1-0の勝利をつかんだ。
杭州アジア大会とU23アジアカップにも見られた選手起用
大岩監督が決勝トーナメントで先発を入れ替えた例は、今回だけではない。2023年の杭州アジア大会と、今年1月のU23アジアカップでも、勝ち進みながら顔ぶれを変えていた。
杭州大会では、グループステージ最終戦からラウンド16のミャンマー戦で先発を10人変更。そこから準々決勝の北朝鮮戦で8人、準決勝のホンコン・チャイナ戦で8人、決勝の韓国戦で9人を入れ替えた。
ラウンド16から決勝までは、いずれも中2日。決勝トーナメント4試合すべてに先発したのは、主将の馬場晴也だけだった。大幅な入れ替えを続けながら決勝まで勝ち進んだのである。
一方、今年1月のU23アジアカップでは、軸となる選手を残した。準々決勝から決勝までの3試合すべてに先発したのは、GK荒木、DF梅木と市原、MF小倉幸成と佐藤龍之介の5人。準々決勝から準決勝で5人、準決勝から決勝で4人を替え、優勝を果たした。
大会ごとに変更の規模も、継続して起用する選手の数も異なる。ただ、一発勝負になったからといって同じ11人に固定せず、選手を入れ替えながら勝ち進もうとする点は共通している。
今大会では、これだけ先発を入れ替えながら、アンカーの前にインサイドハーフを2人置く【4-3-3】を基本としている。
変えない基本布陣に、どんな意味があるのか
キルギス戦では途中出場の選手も含めて6人が得点し、タイ戦ではDFの小杉もゴールを決めた。多くの選手を起用しながら、チームとして結果を積み重ねている。
アンカーがどこでボールを受けるのか。インサイドハーフが前に出たとき、誰が中央を補うのか。ウイングが相手に寄せた際、後方の選手がどこまで連動するのか。形を機能させるには、こうした判断基準の共有が欠かせない。
基本布陣を維持する意味は、その共通理解を積み重ねやすくすることにあるのではないか。組み合わせが替わっても、選手が周囲に求める動きや、自分が果たすべき役割を把握していれば、連係をつくり直す負担は小さくなる。
中2日、中3日の試合が続く大会では、一部の選手に出場時間が集中すると疲労が蓄積し、強度を維持しにくくなる。選手を入れ替える必要がある一方で、そのたびにチームの戦い方やシステムまで大きく変えていては、連係の安定を得にくい。
人を替えながら、共通の形と判断基準を保つ。今回の招集メンバーのうち、所属クラブでアンカーを専門とする選手はゼロ。それでも【4-3-3】の陣形を崩さない起用法には、そうした狙いもあるのかもしれない。
もっとも、北朝鮮戦では相手の圧力に押され、思うように前進できない時間が長かった。勝利は収めたが、基本布陣を維持するだけでは、目指す戦いを十分に表現できていない部分もある。
選手を入れ替えても、強度の高い相手に対して連動してボールを奪い、攻撃につなげられるか。共通の形を実際のプレーに結びつける点では、まだ課題が残っている。
準決勝は9月30日、大阪の長居陸上競技場でU-21ウズベキスタン代表と対戦する。大岩監督は次の11人をどう選ぶのか。
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