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44人招集も7人は出場ゼロ。クロップ監督のドイツ代表、異例の選考で見えた収穫と課題。「サッカーは数学ではない」

text by 編集部 photo by Getty Images
ドイツ代表
ユルゲン・クロップ監督とドイツ代表MFトム・ビショフ【写真:Getty Images】



 ドイツ代表を率いるユルゲン・クロップ監督は、9・10月シリーズ期間中に計44人を招集し、途中でメンバーを大幅に入れ替える異例の策に出た。新戦力の台頭やスタイル確立が見えた一方、出場機会を得られなかった選手もいる。ドイツ現地メディアの評価を辿りながら、この実験の収穫と、短期間で選手を見極める難しさを考える。

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大幅な入れ替えでも見えた共通のスタイル

 2026年から国際Aマッチの日程が変わり、9月下旬から10月上旬の一つの活動期間に最大4試合を組めるようになった。ブンデスリーガも約3週間中断。FIFAワールドカップ 2026(北中米W杯)のラウンド32でパラグアイに敗れたドイツ代表にとって、新体制で多くの選手を試す機会となった。

 クロップ監督が招集したのは計44人。ドイツサッカー連盟(DFB)の発表では、最初の2試合に向けた24人に続き、後半の2試合へ別の20人が合流する計画だった。W杯出場組が16人いる一方、A代表での出場経験がない選手も16人含まれた。

 最初の2試合は、敵地でオランダと1-1、ホームでギリシャに0-1。その後、主将ヨシュア・キミッヒらが所属クラブへ戻り、メンバーを大幅に入れ替えた。続くセルビア戦は2-0で勝利し、敵地でのギリシャとの再戦は0-0。4試合の成績は1勝2分1敗、3得点2失点だった。

 独公共放送ARDのスポーツサイト『Sportschau』は、顔ぶれが変わっても、4-3-3を基本に相手へ圧力をかけ続ける戦い方は一貫していたと評価した。後半の2試合を無失点で終えたことも、収穫のひとつだ。

 新顔では、フライブルクの右SBフィリップ・トロイが3試合にフル出場。クロップ監督も、初招集とは思えない自信や攻撃の形への理解を評価した。同僚のウイング、デリー・シェアハントも存在感を示した。

 日本代表MF鈴木唯人も所属する同クラブは、現在リーグ3位。勢いに乗る選手が国際舞台でもクオリティを発揮している。

『Sportschau』は、バイエルン・ミュンヘンのアレクサンダル・パヴロヴィッチとトム・ビショフについても、11月の継続招集を有力視している。クロップ監督自身も、2週間で一緒に活動した選手たちが能力を示したとして、手応えを口にした。



「サッカーは算数ではない」

 一方で、全員に試合でのアピールの場を与えることはできなかった。MFのブラヤン・グルダが負傷で合流せず、実際に活動へ参加したのは43人。そのうち7人は出場機会を得られなかった。

 当初の発表で両方の招集リストに入っていた唯一の選手、GKフィン・ダーメンも出場ゼロ。ただし、機会を得られなかった理由は選手によって異なる。ジャマル・ムシアラはオランダ戦前のウォーミングアップで負傷し、カイ・ハヴァーツも同試合の前半に負傷交代した。

『Sportschau』は、44人で4試合なら計算上は全員に90分ずつを割り当てられても、「サッカーは算数ではない」と指摘する。GKだけで5人おり、ポジションや負傷などの事情もある。人数と試合数がそろえば、均等に見極められるわけではない。

 攻撃面にも課題が残った。3得点はいずれも中盤の選手によるもので、同メディアはハヴァーツに続くセンターフォワード候補が決め手を欠いたと評価する。

 フランクフルトで今季リーグ戦4試合4得点のユネス・エブヌタリブやチームメイトのヨナタン・ブルカルト、今夏にユベントスへレンタルで加入したニック・ヴォルテマーデらが最前線に立ったが、結果を残せなかった。

 ギリシャとの再戦では20本以上のシュートを放ったが、得点しやすい位置からの一撃は限られた。決定力だけでなく、好機のつくり方も改善が必要だ。

 大量招集を巡る議論は、活動前からあった。9月17日公開の『Sportschau』のポッドキャストでは、トビ・シェーファー氏が、選手の見極めはクラブでの成績で判断すべきだと批判している。

 その一方、アンネ・ヒルト氏は、長い活動期間をクラブの夏季準備のように使えると捉え、新監督が多くの選手を試す機会として理解を示していた。今回うまくいかなくても、EURO2028の出場が直ちに危うくなるわけではないという見方である。

 クロップ監督はDFB公式サイトを通じて、11月のセルビア戦とオランダ戦では招集人数を絞る方針を示した。ただし、今後は今回招集した選手とU-21代表の選手を中心に選考するが、それ以外の選手にも招集の可能性があると説明した。

 11月の2試合を終えると、次の活動は来年3月となる。今回の試みで候補は広がり、共通の戦い方も見えた。次に問われるのは、選んだ選手たちの連係を深め、それを結果につなげられるかだ。44人を招集した実験の成果は、絞り込まれたチームの戦いで、より明確になるだろう。

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