
【写真:Getty Images】
サッカーのオフサイドが、大きく変わるかもしれない。カナダのプロサッカーリーグでは今季、国際サッカー連盟(FIFA)と協力し、新たなオフサイドルールの実証実験が行われ、従来なら認められなかったはずのゴールが生まれている。いったい何が変わり、どのような狙いがあるのだろうか。
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「体の一部」が残っていればオンサイド? 新ルールが生んだゴール
これがオンサイドになるのか――。カナダのプロサッカーリーグで生まれたあるゴールが、話題を呼んでいる。
現地時間10月10日に行われたカナダ・プレミアリーグ(CPL)のFCスプラ・デュ・ケベック対バンクーバーFC戦。後半59分、バンクーバーのテラン・キャンベルが同点ゴールを決めた。
守備ラインの裏に抜け出したキャンベルの位置は、従来のオフサイドルールなら得点が認められないように見えた。しかし、映像による確認の結果、ゴールは認められた。
その理由は、CPLで今季から試験的に導入されている新たなオフサイドルール「デイライト・オフサイド」にある。
従来は、攻撃側の選手の頭、胴体、足の一部でも、ボールと後方から2人目の相手選手より相手ゴール側にあれば、オフサイドポジションとなる。
一方、新ルールでは、頭、胴体、足のすべてが、ボールと後方から2人目の相手選手より相手ゴール側に出ていなければ、オフサイドポジションとは判定されない。つまり、得点に使える体の一部でも相手選手と並んでいれば、従来ならオフサイドとなる位置でもプレーを続けられる。
攻撃側の選手と守備側の選手の間に、光が差し込むほどの隙間ができて初めてオフサイドとなる。この考え方から「デイライト(昼光)・オフサイド」と呼ばれている。
CPL公式Xも、「デイライトのおかげで同点!」とこのゴールが新ルールによって認められたことを紹介した。
今年4月に導入されて以降、従来のオフサイドの常識を覆すような判定は、SNSを中心に議論を呼んでいる。
この変更を推進してきたのが、元アーセナル監督で、現在FIFAのグローバル・フットボール・ディベロップメント部門の責任者を務めるアーセン・ヴェンゲル氏だ。
近年はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の普及により、わずかな体の位置の違いでゴールが取り消される場面も珍しくない。新ルールには、攻撃側の選手を有利にし、より攻撃的で流れのある試合を実現する狙いがある。
今回の実験はFIFAが主導し、サッカーの競技規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)の承認を受けて実施されている。CPLは、この方式を試験導入する世界初のプロリーグとなった。
ただし、攻撃側に有利なルール変更が、必ずしも得点の増加につながっているわけではない。
カナダのサッカーメディア『Waking The Red』が報じた9月24日時点の集計では、今季90試合の1試合平均得点数は2.99点。昨季全112試合の3.00点とほぼ同じだった。
ただし、今季はシーズン途中の数字であり、新ルールが得点数に与える影響を判断するには、さらなる検証が必要だ。
もっとも、守備側が相手の抜け出しを警戒して最終ラインを下げるなど、戦術面での変化も指摘されている。攻撃側が有利になるはずのルール変更が、実際にどのような効果をもたらすのかは、引き続き検証が必要だ。
新ルールの実験は2026年シーズンを通して行われ、その結果はFIFAなどによって検証される予定だ。現時点で世界共通の競技規則として採用されることが決まったわけではない。
オフサイドの常識を覆す大胆な変更は、サッカーをより攻撃的で魅力的なものにするのか。カナダで進む実験の行方が注目される。