
【写真:Getty Images】
Jリーグと日本サッカー協会(JFA)は29日、レフェリング環境向上に向けたメディアブリーフィングを開催した。藤枝MYFCの槙野智章監督が判定を批判した24日の徳島ヴォルティス戦について、JFAはハンドの反則を取るべきだったと認めた。一方、槙野監督には2試合のベンチ入り停止と罰金10万円の処分が科されている。
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VAR導入には「最低でも6~7億円」
問題となったのは、藤枝が0-1で敗れたJ2第13節の徳島戦。ペナルティエリア内で相手選手の腕付近にボールが当たった場面でハンドの反則が取られず、槙野監督が強く抗議。試合後のインタビューでも審判のレベルを批判した。
29日の説明会で、JFA審判委員会の扇谷健司委員長は「ハンドと判断すべき事象」との見解を示し、「残念ながら審判員は正しい判定を導き出すことができなかった」と述べた。
ただし、判定を誤った審判員については、1度のミスで処分するのではなく、毎試合の評価を積み重ねて指導や担当カテゴリーの変更を判断するという。
一方、Jリーグ規律委員会は槙野監督の試合後の発言を「審判員の判定に対する悪質な抗議」と認定。試合中にも異議による警告を受けていたことなどを加重要素とし、10月31日のブラウブリッツ秋田戦、11月3日のジュビロ磐田戦でのベンチ入りを禁じた。両試合は太田吉彰ヘッドコーチが暫定的に指揮を執る。
J2のリーグ戦に導入されていないVARについて、Jリーグの窪田慎二執行役員は、本格的に導入するには「最低でも6~7億円くらいの費用がかかる」と説明した。
J1では約12台の中継カメラをVARの運用に活用している一方、J2では実装できるとしても現状3~4台程度にとどまる。通常のVARを導入するには、映像設備への投資やスタジアム環境の整備が必要になるという。
人材面でも課題は残る。窪田氏によれば、J2への導入にはVARやAVARを担当できる有資格者をさらに増やす必要があるが、育成できるのは年間10人程度。さらに、VARを担当する審判員を増やせば、現在ピッチ上で試合を裁く審判員が映像審判に回るため、他のカテゴリーを含めた審判員の確保も必要になる。
FIFAが用意する簡易型の「VAR Light」や、監督が映像確認を要求する「FVS」についても検討を続けている。ただし、通常のVARよりカメラ台数が少なく、同等の判定支援効果が得られるとは限らないことなどを課題に挙げ、現時点で導入には至っていない。
扇谷委員長は、J2・J3では仕事を持ちながら審判を務める人も多く、研修機会の確保が課題だと説明。「VARを導入すれば全て解決するわけでもない」との認識も示し、審判員一人ひとりの質を高めるための育成と支援を継続する考えを強調した。
今回、JFAは問題となった判定の誤りを認め、その一方で槙野監督の発言には処分が科された。判定の正否と、審判員に対する言動の適切さが、切り分けて判断された形である。
J2へのVAR導入には費用と人材の壁が立ちはだかるなか、リーグと協会はどのような道筋を描くのか。今回の問題は、槙野監督への処分だけで幕を閉じるものではなさそうだ。
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