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天野純、後輩・三好康児の大活躍に脱帽「違いを作ったのは彼」。ロケレンで試行錯誤続く

text by 編集部 photo by Getty Images

天野純
ベルギー2部のロケレンでプレーするMF天野純【写真:Getty Images】

 2人の日本人選手が所属しているベルギー2部のロケレンは、なかなか結果を出せずに苦しんでいる。リーグ戦では前節、7試合目でようやく今季初勝利。26日に行われたクロキー・カップ(ベルギーカップ)のラウンド32で1部のロイヤル・アントワープFCに延長戦の末、2-4で敗れた。

 これまで絶対的な主軸としてプレーしてきたロケレンの日本代表MF天野純は、「出るつもりで準備していた」が、「スタメンじゃないと前日にわかった」とアントワープ戦はベンチスタートになっていた。

 しかし、先制ゴールを奪ったMFギオルギ・ベリーゼが機能せず、さらに危険なタックルを繰り返して暴走気味となって交代に。天野が本人も「まさかのタイミング」という前半の38分から急きょピッチに送り出された。

 試合の主導権をアントワープに握られながらも粘り、後半も終了に近づいていた85分にロケレンが同点に追いつく。お膳立てしたのは天野だった。左サイドでボールを受けると、ペナルティエリア内を一瞬確認して速いクロスを上げる。そのボールにゴール前でフリーになっていたFWフラン・ナバーロが合わせた。

「アントワープは相手を1回押し下げたらプレッシャーであまり前に出てこないので、ああやってスペースが結構空くなとわかっていた。あとはちょこちょこやっていても点は取れないので、1回あそこのタイミングで(クロスを)上げてみようと思って上げたら、うまくいきました」

 ただ、ナバーロがフリーになっているのは見えておらず、「感覚で上げた」と天野は明かす。仲間を信じて放った渾身のクロスだった。

 この1点により試合は延長戦に突入する。しかし、勝利には繋がらなかった。延長前半に勝敗を決定づけるアントワープの勝ち越しゴールを奪ったのは、横浜F・マリノス時代の後輩・三好康児だった。

 天野は「あいつだけにはやらせちゃいけないですね。日本で笑い者にされるのは俺だから、悔しいですね」と素直な気持ちを口にする。そして「やっぱりスペースを取る動きはうまいし、(自分と)結構マッチアップしていたので、やっぱり違いを作っていたのは彼だと思うし、しかもこのビッグクラブでやれているのはすごく羨ましいなと思いました」と後輩に称賛の言葉を送った。

 三好の活躍を目の当たりにした天野自身は、「全然ダメっすよ」と試行錯誤の日々が続く。最近は本来得意とするポジションではなく左サイドでの起用が続き、監督からもその起用について明確な答えを得られないでいる。

 そんな状況でも1部クラブ相手に記録したアシストを追い風に、前向きな成果を見つけながら、これから続いていくリーグ戦につなげていきたいところだ。

「勝てない中で自分が何をしなければいけないか。しっかり守備のところで頑張ってサボらないで戻って、そこから前に出ていくというマリノスではやっていなかったような仕事をやっているので、すごく難しいです。あんまり今は自分のストロング(長所)を出せていない状況ですけど、今日のゲームを転機というか、自信を持ってさらにできるようになるのかなと思います」

 次のリーグ戦は中2日でやってくる。前節の初勝利から「この流れを殺さないようにしっかり、次はアウェイですけど勝ち切って、日本人2人で頑張りたいと思います」と、天野は同僚の小池龍太とともに全力で戦い抜く意思を示した。

(取材・文:舩木渉【ベルギー】)

【了】

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