フットボールチャンネル

リバプール対マンC、王者が見る影なく完敗した理由は…。圧巻のデブルイネ、勝負を分けた細部の質

プレミアリーグ第32節、マンチェスター・シティ対リバプールが現地時間2日に行われ、シティが4-0で勝利した。前節に30年ぶりとなるリーグ優勝を決めたリバプールはベストメンバーでこの試合に臨んだが、その強さは見る影もなく完敗。両チームにとってこの試合の結果はどういう意味を持つのだろうか。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

消化試合となった頂上決戦

0703LiverpoolMancity_getty
【写真:Getty Images】

 前節でマンチェスター・シティがチェルシーに敗れ、リバプールの30年ぶりとなるリーグ優勝が決まった。ピッチ入場の際に相手選手たちが花道を作って優勝チームを出迎えるガード・オブ・オナーは、運命のいたずらか、皮肉にもシティの選手がエティハド・スタジアムで行うことになった。

【今シーズンのリバプールはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


 リバプールは前節から中7日が空いたこともあり、シティ戦にはベストメンバーを送り込んでいる。コンディション的には万全だったが、試合へのモチベーションという意味ではシティと開きがあったと言わざるを得ない。

 国内のカップ戦はともに敗退しており、8月に行われる予定のUEFAチャンピオンズリーグもラウンド16でアトレティコ・マドリードに敗れた。最多勝ち点などのプレミアリーグ記録達成や個人タイトルの可能性は残されているものの、消化試合に変わりはない。

 勝敗の行方は、決定機のクオリティによって決した。リバプールはサラーがチャンスを決めきれなかったのに対し、シティは決定機を逃さなかった。とりわけ、トップ下に入ったデブルイネのプレーは圧巻で、5つのラストパスを供給してシティの攻撃を司った。

精彩を欠いたリバプール

 シティは24分、スローインをボックス内で受けたラヒーム・スターリングがジョー・ゴメスに倒されてPKを獲得。ケビン・デブルイネがこれを決め、シティが先制に成功した。

 2点目は相手のパスをバンジャマン・メンディが自陣でカットしたところからカウンターを開始し、最後はスターリングが決めた。45分にはデブルイネとのワンツーで抜け出したフィル・フォデンが右足でゴールを決めて3-0。頂上決戦は前半で勝敗の興味を失う展開となった。

 とはいえ、リバプールの攻撃が悪いわけではなかった。立ち上がりからシティのボールホルダーに襲い掛かり、ボールを奪い切れば素早く敵陣に攻め入った。4分にはフィルジル・ファン・ダイクのフィードにモハメド・サラーが反応して胸トラップから左足を振り抜いたが、GKエデルソンがセーブ。19分にはロベルト・フィルミーノのスルーパスを受けたサラーがカットインから左足のシュートを放ったが、ボールはポストに阻まれた。

 先制点はスローインでゴメスの対応が後手に回ってPKを与え、2点目と4点目は敵陣でボールを失ったところから失点した。失点にはつながらなかったが、トレント・アレクサンダー=アーノルドのスローインがスターリングに渡ってしまうシーンもあった。ボール保持率もタックルの数もリバプールが上回ったが、精彩を欠いたプレーがことごとく失点につながっている。

この試合が持つ意味

 シティに大敗したことが、リバプールの今後になにかしらの影響をもたらすことはない。来季は来季で横一線からのスタートが始まる。ユルゲン・クロップは「次のシーズンのことは次のシーズンに考える」と言っている。クリスタル・パレス戦でジョルジニオ・ワイナルドゥムを左サイドバックで起用したり、この試合でファビーニョを後半からセンターバックで起用したように、いくつかの実験をこなしながら、残りのシーズンを消化していくだろう。

 シティはイルカイ・ギュンドアンをロドリの横に置く4-2-3-1の布陣が戦術的にはまった。力が拮抗する相手に対して採用することが多いが、リバプール相手でも効果をあげたことは大きな収穫だったかもしれない。4-2-2-2のコンパクトなブロックでボールを奪い、前線の4人でカウンターを仕掛けた。カウンターから奪った2点は狙い通りの形だっただろう。

 ただ、シティも3位との差を11ポイントつけており、2位はほぼ確実となっている。8月にはCLを控えているので、ここまでは選手のコンディションを優先した起用が続いている。復帰したエリック・ガルシアやフィル・フォデンの活躍はチームに厚みをもたらすグッドニュースとなるが、リバプール同様にこの大勝が大きな意味を持つわけではない。

 シティがチェルシーに勝っていれば、もう少しエキサイティングな展開になっていたかもしれない……。そう思わずにはいられないほど、もどかしく、またもったいない試合だった。

(文:加藤健一)

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top