6得点でソシエダを撃破

【写真：Getty Images】

　UEFAチャンピオンズリーグ（CL）敗退の悪い記憶を払拭するかのように、バルセロナはゴールを重ねている。前節ではウエスカに4-1、そしてこの日はレアル・ソシエダに6-1。ここまで27試合で22失点と安定感のあるソシエダのディフェンスを崩壊させている。

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　メッシからパスを受けたジョルディ・アルバが左サイドから折り返す。ゴール前に入っていたウスマン・デンベレのシュートはGKに弾かれたが、アントワーヌ・グリーズマンがこれを押し込んで先制した。さらに、43分にはメッシがライン間でボールを受けて前を向き、右サイドにパス。セルジーニョ・デストはこれを豪快に振り抜いて、バルセロナは前半だけでリードを2点に広げた。

　バルセロナは後半も攻撃の手を緩めない。ペドリとグリーズマンのワンツーからジョルディ・アルバが左サイドを抜け出し、タッチライン際からラストパスを送る。右サイドからデストが走り込み、相手選手がクリアしようとしたところを詰めて3点目。その3分後にはセルヒオ・ブスケッツの浮き球パスにメッシが反応し、ワンタッチでゴールに流し込んだ。

　バルセロナは4点でも満足しなかった。プレスが緩くなった相手のライン間でデンベレがボールを受けると、そのままドリブルで運ぶ。左に持ち出して左足を振り抜くと、ボールはファーサイドのゴールネットに収まる。その6分後に1点を返されたが、きっちりとお返しをした。リキ・プッチとのワンツーでジョルディ・アルバが左サイドの深い位置に侵入すると、メッシが折り返しを左足で合わせてリードを再び5点とした。

ピケの代役を務めたのは…

　バルセロナは2試合で10得点をマーク。当然ではあるが、こういうときは攻撃陣がフォーカスされることが多い。しかし、攻守は一体で、いい守備がいい攻撃を生んでいる。

　バルセロナは3バックへの変更が復調のきっかけとなった。ラ・リーガ第25節のセビージャ戦を2-0でものにすると、4日後にはコパ・デル・レイ（スペイン国王杯）準決勝2ndレグで再びセビージャを撃破。CLパリ・サンジェルマン戦を除けば、ここ6試合すべてで複数得点を奪っている。

　しかし、コパ・デル・レイのセビージャ戦で120分を戦い抜いたジェラール・ピケが右膝の内側側副靭帯を負傷した。昨年11月に負った右膝の前十字靭帯の損傷から2月に復帰したばかりだったが、2週間足らずで再び戦線を離れている。

　クレマン・ラングレと若いオスカル・ミンゲサとロナウド・アラウホ、そして、コンディションのなかなか上がらないサミュエル・ウンティティ。残されたセンターバックは4人だったが、フレンキー・デ・ヨングがピケの代わりに3バックの中央に入った。中盤を本職とする23歳のデ・ヨングは、センターバックで高いパフォーマンスを発揮している。

CBとMF、二刀流のデ・ヨング

　ソシエダ戦でデ・ヨングは、1トップのアレクサンデル・イサクとマッチアップした。スピードとテクニックがあり、190cmの体躯を活かしたボールキープもできるイサクを止めるのは、本職のセンターバックでも簡単ではない。しかし、フィジカル面では劣るものの、予測を利かせた出足の速いインターセプトでイサクへのパスコースを遮断し、きっちりと危険なコースを塞いだ。

　空中戦では分が悪かったが、それはミンゲサがサポートすることで対応。24分にはサイドにつり出されて裏を突破されたが、ゴール前ではほぼイサクを封じていた。

　67分に2枚替えを行うと、デ・ヨングはポジションを1列前に上げた。セルヒオ・ブスケッツの代わりにパスワークの中継点となり、パスを淀みなくつないだ。この日はプレーしなかったが、インサイドハーフのポジションでも輝くことができる。長い距離を走る走力とボールを奪われないドリブル、そしてクロスに飛び込む力は、バルセロナの攻撃に厚みをもたらす。

　アヤックスで試合に出始めたころはセンターバックでマタイス・デ・リフトとコンビを組んでいた。その後はアンカーに移り、バルセロナではインサイドハーフでも高い能力を発揮している。1人で2役も3役もこなすデ・ヨングのユーティリティ性は、バルセロナを支えている。

（文：加藤健一）

【了】