かつてセリエAの常連だったパレルモFCが蘇る日はくるのか。シティ・フットボール・グループ(CFG)への加入から、フィリッポ・インザーギ監督の招へいまで。彼らは、また新たな挑戦に足を踏み込むことになる。シチリアの誇りを取り戻せるか。(文:佐藤徳和)
パレルモの本拠地が大熱狂
8月2日、パレルモ・フットボール・クラブの本拠地、レンツォ・バルベーラは、熱狂と興奮に包まれた。
フィリッポ・インザーギ率いるパレルモとジョゼップ・グアルディオラのマンチェスター・シティが対戦した『アングロ・パレルミタン・トロフィー』は、プレシーズンマッチとは思えない盛り上がりを見せた。
その中でも主役となったのが、パレルモFCのウルトラス「クルヴァ・ノルド12」。壮大なコレオグラフィーを披露し、マンチェスター出身の「オアシス」へのオマージュを捧げた。サポーターによって、ギャラガー兄弟がパレルモのユニフォームを着用する姿が描かれ、スタジアムに足を踏み入れた選手たちが、感嘆の表情でスタジアム全体を見回していた。
3万6215人を収容するスタジアムは満員でスター軍団を迎えた。照明が落ち、幻想的な雰囲気が作り上げられたが、シティ・フットボール・グループ(CFG)をオーナーに持つ両チームの力の差は明らかだった。
インザーギが「火星人」と形容したシティを相手に、セリエBのパレルモFCは序盤こそ粘りを見せたものの、25分にアーリング・ハーランドにゴールを許して先制点を献上。さらに59分と82分には、今夏ミランから加入したタイアニ・ラインデルスに追加点を奪われ、0-3で完敗を喫した。結局、ゴールでサポーターを熱狂の渦に巻き込むことはできなかった。
それでも、敵将ペップは、パレルモに賛辞を送った。
