9月9日にノッティンガム・フォレストは大きな決断を下した。30年ぶりの欧州カップ戦出場権獲得の立役者であるヌーノ・エスピーリト・サント監督を解任し、アンジェ・ポステコグルーを新監督に招聘したのだ。なぜ、この監督人事が行われたのか。真反対とも言えるスタイルの違いも含めて一連の人事を考察する。(文:安洋一郎)
ノッティンガム・フォレストがヌーノ監督を解任
2025/26シーズンのプレミアリーグで最初に解任となったのは、開幕前の時点では予想もしていない“意外“な人物だった。
9月9日、ノッティンガム・フォレストがヌーノ・エスピーリト・サント監督の解任を発表した。
彼がフォレストに残した功績を振り返ると、冒頭に“意外”と書いた理由がわかるだろう。
2023/24シーズン途中の12月に就任すると、当時リーグ19位に沈んでいたチームを残留に導くことに成功。続く2024/25シーズンは7位でフィニッシュし、30年ぶりとなる欧州カップ戦出場権を獲得した。
残留争いを演じていたチームを上位争いに導いたヌーノの手腕は、今年2月に執筆した『効率的なサッカーの極み? 数値データが示すノッティンガム・フォレスト躍進の理由。重要なポイントは3つ【コラム/前編】』にも書いた通りだ。
課題だった「セットプレー」を改善し、ボールを奪った直後から始まる「質の高いカウンター」と、先制に成功すれば高い確率で逃げ切ることができる「堅守」で多くの勝ち点を稼いだことが、躍進の主な理由である。
久々に欧州カップ戦出場に導いた実績とフットボールの内容では、ヌーノが解任される理由は見当たらない。シーズン終了後の6月21日には、新たに3年契約を結んだばかりだった。
なぜ、彼は監督の職を解かれたのだろうか。
