夏の移籍期間が終了し、各チームの編成がひと段落した。今夏も、マルティン・スビメンディがアーセナルに移籍するなど、近年ラ・リーガの中堅クラブからの国外移籍が増加している。資金力に乏しいクラブにとって、移籍金収入は貴重な収入源だ。今回のランキングでは、今夏十分な移籍金収入を得られなかったクラブを紹介する。※成績や移籍金などは『transfermarkt』を参照。[1/5ページ]
10位:バルセロナ

【写真:Getty Images】
移籍補償金等収入:2300万ユーロ(約39.1億円)
退団した選手例:パウ・ビクトル、パブロ・トーレ、イニゴ・マルティネス
昨季、国内3冠を達成したバルセロナが移籍金収入ワーストランキングで10位に入った。
今夏の移籍市場で得た移籍金収入はわずか2300万ユーロ(約39.1億円)にとどまっている。
今夏は例年に比べて静かな動きで、放出も限られた。最大の収入となったのはFWパウ・ビクトルの移籍だ。
昨季ラ・リーガで21試合に出場した23歳を、ポルトガルのSCブラガへ1200万ユーロ(約20.4億円)で売却。ジローナからの獲得額は550万ユーロ(約9.3億円)だったため、ビジネス面では成功と言える。
一方で、MFパブロ・トーレの売却は苦しい結果となった。ラシン・サンタンデールに所属していた3部時代に、リーグ戦31試合10得点9アシストを記録した逸材は、昨季ジローナへレンタルされた。
今夏バルセロナに復帰するも、厚い中盤の選手層を突破できず、マジョルカに完全移籍した。買い戻し条項や将来の売却益50%を確保したとはいえ、移籍金収入は500万ユーロ(約8.5億円)にとどまった。
さらに、昨季貴重な戦力となっていたベテランDFのイニゴ・マルティネスをフリーで放出。3月には2026年までの契約延長にサインしていたが、契約時に移籍に関する特別条項を結んでいたとされている。
年俸約1400万ユーロ(約23.8億円)を受け取っていた34歳を手放したことで、サラリーキャップに苦しむクラブにとっては新戦力登録の助けとなったが、戦力面での痛手は避けられない。
カンプ・ノウの改修工事延期などクラブを取り巻く混乱が続く中、選手売却益は今後も重要な収入源となる。
バルセロナは現有戦力の奮闘に加え、経営面でのバランスも突きつけられている。