「裕福な家庭に生まれたサッカー選手」と聞くと、どこか恵まれた特権階級のイメージを抱くかもしれない。しかし実際には、経済的に豊かな環境で育ちながらも、自らの意思で努力を重ね、世界のトップシーンに立った選手たちが存在する。今回は、異なる背景を持つ5人の“エリート育ち”の選手たちを紹介する。[1/5ページ]
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FW:ロビン・ファン・ペルシ(元オランダ代表)
生年月日:1983年8月6日
主な所属クラブ:フェイエノールト、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド
元オランダ代表FWで、現在はフェイエノールトの監督を務めるロビン・ファン・ペルシは、芸術家の両親のもとに生まれた。
ファン・ペルシは地元ロッテルダムのエクセルシオールでサッカーを始め、1999年にフェイエノールトの下部組織へ加入する。
トップチームでは小野伸二とも共にプレーし、2002年にはオランダ最優秀若手選手賞を受賞した。
その後はプレミアリーグで2度の得点王に輝き、華々しいキャリアを築いた。
父のボブ・ファン・ペルシ氏は著名な彫刻家で、ロッテルダムの美術センターなどでスポーツを題材にした作品を発表してきた人物。母のジョゼ・ラス氏も画家であり、ジュエリーデザイナーとして活動している。
両親は離婚しており、ロビンは父のもとで育てられたが、経済的に不自由はなかったとされる。
少年時代の彼はとにかく活発で手のかかる子どもだったが、サッカーに対しては驚くほど集中し、父はその姿を温かく見守り続けた。
ボブ氏のアトリエには、息子の活躍を記録した新聞や雑誌の切り抜きがきれいに保管されており、深い愛情が感じられる。
マンチェスターで個展を開いた際、ボブ氏は英『インディペンデント』紙の取材に「サッカーの中には芸術がある」と語っている。
ロビンは「両親は木を見ただけで何かを感じ取れるけれど、僕にはただの木だった」としつつも「創造性の面では、確かにつながっているところがある」と話していた。
姉妹のキキとリリーもアーティストで、家族の中でロビンだけが異なる道を歩んだようにも見える。
だが、彼がピッチで描いた数々の美しいダイレクトボレーは、まさに“アート”として、人々の記憶に残り続けている。
