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「本当にその通り」サッカー日本代表、佐野海舟が輝く理由。「それがないと一生奪えない」個の能力をより際立たせているものとは?

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

 サッカー日本代表は14日、国際親善試合でガーナ代表と対戦し、2-0で完勝した。この試合で圧巻のパフォーマンスを見せたのが、MF佐野海舟だ。彼の存在は、それまで鉄板だった遠藤航・守田英正のボランチコンビを揺るがすほどのものがあると言えるだろう。
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なぜここまで佐野海舟が輝くのか

佐野海舟
【写真:Getty Images】

 佐野はダブルボランチの一角で先発し、田中碧とコンビを組んだ。16分には、ボールをうまく運んで、最後はファーサイドでフリーになっていた南野拓実にピンポイントパス。アシストという形で、さっそく大仕事を果たした。

 その後の佐野も圧巻だった。読みと鋭い出足で、何度も相手からボールを奪う。ファウルにこそなったが、ガーナのエースであるアントワーヌ・セメニョを弾き飛ばすなど、インパクトあるプレーが多かった。

 データサイト『Sofa Socre』によると、この日の佐野はインターセプト数6回、タックル成功数5回を記録したという。これはともに、日本代表選手の中では最多の数字である。勝利の立役者と言っていいだろう。

 10月シリーズ以降、メキメキと存在感を高めている佐野。では、なぜ彼はここまで持ち味を発揮できているのだろうか。それは、本人の試合後の言葉から読み取れる。

「もう前線の選手の守備がないと、一生ボールは奪えないし、(前線の守備が効いているのではという質問に対し)それは本当にその通りだと思います。前線からの守備には感謝したいですね」

 上田綺世、南野拓実、久保建英。この3人の献身的なプレスが、佐野の能力をより際立たせている要因だ。彼らが頭と身体を使い、相手のプレーを制限することで、佐野はより的を絞りやすくなる。


 22分には、日本が敵陣ボックス内でボールを失い、ガーナのカウンターが始まりそうなところを、ファウルにこそなったが、佐野が素早く潰して、防いだ。

 この時、ボールを失った直後に久保がすぐに守備に切り替え、一瞬ではあるが、相手のプレーに制限をかけるかつ、球離れを急がせた。それにより、佐野がすぐにパスの受け手であった選手にプレスをかけ、カウンターを未然に防ぐことができた。

 佐野の準備ももちろん素晴らしかったが、久保の切り替えの早さがなければ、背番号21のボールハントは発揮すらされなかったかもしれない。

 足の鋭さとボールを奪いきるところは佐野個人の能力だが、そもそも前線の働きがなければ、本来の力は活きない。攻撃陣の連動がないと「一生ボールは奪えない」というコメントは、本心だろう。

 W杯まで残り7か月。佐野は自身初の大舞台に間違いなく近づいている。
「もうやるべきことは変わらない」というのは本人の言葉。前線のハードワークがある限り、佐野は輝き続けるだろう。

(取材:元川悦子、文・構成:小澤祐作)

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【了】

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