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J1 4週間前

FC町田ゼルビアが今すべきことは何か問いかける。黒田剛監督けん責処分の余波。「再発防止に向けてガバナンスを改善したい」

text by 竹中愛美 photo by Editor
FC町田ゼルビア 黒田剛監督

新シーズンに向け始動したFC町田ゼルビアの黒田剛監督【写真:編集部】



 FC町田ゼルビアは1月7日、2026年のチーム活動をスタートさせた。昨季は天皇杯でクラブ初タイトルを獲得した町田。より一層の躍進に期待が高まるが、この日は不適切な指導や発言があったとして、昨年末にJリーグからけん責処分が下されていた黒田剛監督の言動に注目が集まる形となった。
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けん責処分が下されて以降、初の取材対応に応じた黒田剛監督は…

 2026年初の練習にはファンやサポーターも見学に訪れていた。冒頭には黒田剛監督から以下の挨拶があった。

「今年は百年構想リーグの中で昇降格はないものの、(参戦中の)ACL(AFCチャンピオンズリーグエリート)など、いろいろチャレンジのできる半年にもなってきます。我々がJ1上位に定着できる常勝チームとして、ずっと君臨できるようにチームを確立させる重要な年でもあると思います。

 皆さんにまた夢や感動を与えられるように1試合1試合、精一杯頑張ってやっていきたいと思いますので今シーズンもどうぞよろしくお願いいたします」

 去年の12月23日、Jリーグは「黒田監督は2023年頃からFC町田ゼルビアに所属する選手らの前で、自らの意向に沿わない選手がいれば、造反者といった表現を用いて排除する意図を持った発言や、練習中に選手およびチームスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でのスタッフに対する暴言等の不適切な発言があった」として、黒田監督とクラブに対して処分を発表した。

 Jリーグはけん責処分(始末書をとり、将来を戒める)に加えて、町田に対しては再発防止のため「必要な措置の実施を依頼した」としている。

 これを受け、クラブは発表当日「失った信頼を回復するため、クラブ一丸となって誠意ある行動を積み重ねてまいります」とコメントを出したが、翌日、「黒田監督及び弊クラブへの懲罰につきまして、パワハラについては認定されておりません」と声明を発表していた。

 その後、黒田監督による対応がないまま、この日の始動を迎え、練習後の取材ではこの件に関する質問が飛んだ。

 黒田監督は「それ(説明)はなしになったので、なしということで」と話し、クラブの判断で監督自らの言及は控えるということだった。

 だが、黒田監督は話をこう続けた。

「いや、俺が喋ればいろんなものが(記事の)タイトルになったりする。別に今やる必要はない。(きょうは)新チームの日、過去を振り返ることなく、新たに頑張ろうという日なので、逆にそういうような効果を生むことは、あんまり我々にとっては意味のないことなので。それはそれで終わったこととして、それはそれでノーコメントで」

 クラブの判断で黒田監督による対応はしない、本人の判断ではないため、本人によるコメントは控えたいというクラブの意思だったが、報道陣からの質問はやまなかった。

 黒田監督は「ノーコメント」と言いながらも記者の質問にこう答えた。

「クラブで判断しているので、私はクラブの指示に従います」

FC町田ゼルビア 上田武蔵COO

キックオフミーティングでファン・サポーターに謝罪するFC町田ゼルビアの上田武蔵COO【写真:編集部】

「来年に向けてのことの方が我々にとっては必要なことだと思っているので、終わったことは、それで終わったということで、線引きをして今年に入っているわけだから、そこにまたもう1回戻って何かをするということはクラブとしてもいいことではないと思う。

 選手たちにも迷惑のかかることなので、そこはあえてやる必要はないというふうにして、クラブで判断しているので、私はクラブの指示に従います」

 クラブとしては、黒田監督含めクラブも反省の上、これからの新シーズンに向けて、気持ちを新たに前進する姿勢ということなのだろうが、起きてしまった事案に関して、何があったのか、具体的な調査はもちろん、説明責任を果たすべきなのではないだろうか。

 黒田監督による説明がなされないまま、クラブは同日、キックオフミーティングを開催した。

 出席したクラブの最高執行責任者である上田武蔵COOは参加したファン・サポーターに向けた挨拶の中でけん責処分について触れた。



「皆様にもご不安を与えしてしまって本当に申し訳なかったというふうに思っております。クラブとしてもリーグからご指摘いただいたところにつきまして、しっかり黒田監督と向き合い、リーグにもご協力いただきながら、再発防止に向けてガバナンスを向上、改善していきたいなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします」

 さらに、原靖フットボールダイレクター(FD)もこの件に関して言及している。

「ご心配をおかけしましたし、そういう点についてはすごく我々は真摯に受け止めています。監督・コーチ・スタッフを集めて、我々は勝つために集まっている集団で、すべてのパートが100%でコミットしていかないと中々こういうスピード感で物事をやり遂げられない。

 一方、スタッフ、各パートで齟齬があった場合には小さなことでもすぐに言ってほしいと。勝つことにプラス、コミュニケーションを取って進めていこうという話を僕からさせてもらいました。ただ、次のシーズンもすぐ来ますので、そこのところはしっかり反省をしつつ、また信頼回復、誠意を持って対処していこうという話はしました」

 始動日となったこの日の練習前には監督やコーチ、スタッフを集めてミーティングをしたという。

誠意とはいったい何か。FC町田ゼルビアに今問われる説明責任

FC町田ゼルビア 原靖フットボールダイレクター(FD)

キックオフミーティングに登壇したFC町田ゼルビアの原靖フットボールダイレクター(FD)【写真:編集部】

 黒田監督の続投について再検討したのか問われると、「当然、(処分が出される)その前から契約更新の話はしていたので、その経緯の中で処分が出ましたが、それによって変化があったことはあんまりなかったです」とし、クラブ独自での処分について「それはないです」と明言した。

 監督含め、クラブの体制自体が問われている本件、本来であれば、当事者やクラブのトップが説明責任を果たすべきだが、クラブの強化や選手の獲得、チームとクラブの調整など、監督と経営陣の間を取り持つ役割を担う原FDが取材対応をしているという事態だ。

「ちょっと角度が違った問題も出てきますので、いろんな人がバラバラに話して、ちょっと違った出方もしたりすると、ご迷惑がかかる人もたくさん出てくるので、あんまり発言しないということもご理解いただきたいと思います」と話すにとどめた。

 クラブ内部の話といえばそれまでかもしれない。だが、応援しているファン・サポーター、スポンサーからすると、クラブの不誠実な対応に納得することができるのだろうか。



 誠意とはいったい何か。本当に誠意をもって対応するのであれば、Jリーグから発表が出された時点で然るべき人間がすみやかに対応すべきではなかったか。
 
 Jリーグから「けん責処分に加えて、再発防止のため必要な措置の実施を依頼した」とされている町田。新シーズン開幕に向けて、サッカーだけに集中できる環境を作ることが喫緊の問題だ。

 そうでないと、黒田監督が始動日冒頭の挨拶でファン・サポーターに伝えた「夢や感動を与えられるように1試合1試合、精一杯頑張ってやっていきたい」という言葉は夢のまた夢の話に終わるだろう。

(取材・文:竹中愛美)

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【了】

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