J1百年構想リーグ第7節、ジェフユナイテッド千葉対FC東京が18日に行われた。千葉は1-2で敗れたが、GK鈴木椋大は24本ものシュートを浴びながらもビッグセーブ連発するなど、その存在感を示した。「無理だと言われても、それを止める」。彼の矜持とは。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]
「色々な思いが入り混じった」J1デビュー
プロキャリア15年目。ジェフユナイテッド千葉に加入し8年目となる32歳が、J1百年構想リーグ第7節のFC東京戦でJ1初出場を果たした。
敗戦を告げる試合終了のホイッスルが鳴り響くとGK鈴木椋大は、ピッチにしゃがみ込んだまま、しばらく動けなかった。
「一番は悔しさですし、平日のナイターにも関わらず、あれだけ多くのサポーターが来てくれて、勝ちを届けられなかったことに対し、悔しい思いがあります。
どこか自分の中では新しい一歩というか、踏みたかった階段のステップを踏めたこともあったので、色々な思いが入り混じっていた感じですね」
ホームの千葉は、立ち上がりから主導権を奪われると、8分には仲川輝人のスルーパスを受けた長倉幹樹に至近距離からシュートを放たれたが、鈴木が反応する。
15分には遠藤渓太のシュートを横っ飛びで抑え、18分には長倉のクロスに合わせた室屋成のヘディングを鈴木が右手一本で阻んだ。
しかし、31分にスコアは動いた。
鈴木椋大が大事にしている言葉
押し込まれる中で常盤亨太のシュートブロックに入った津久井匠海の手にボールが当たり、一度、主審がペナルティーエリア外からのFKと判定したが、VARの結果、PKを献上。アレクサンダー・ショルツに沈められてしまう。
1点のビハインドでハーフタイムを迎えた。
前半だけでFC東京に14本ものシュートを浴びる形になったのだが、鈴木のファインセーブがなければ、勝敗の行方は簡単についていただろう。
「もちろん攻め込まれていましたし、難しい状況ではあったんですけど、僕だけではなく出ているメンバーが、しっかりとハードワークをして、コースの限定であったり、そういった部分で戦ってくれたおかげで、PKでの1失点で折り返せたと思います」
失点は一人では防げない。フィールドプレイヤーのハードワークに支えられているのも事実だ。
だからこそ「感謝」と言う言葉を大切にしている。
「チームメイトの頑張りに感謝をしています」という思いは、鈴木の本音だ。
成功につながったある「チャレンジ」
60分には、長倉にペナルティーエリア内に持ち込まれシュートを打たれるも、ここでも鈴木が立ちはだかり両足でブロック。こぼれ球を仲川に詰められたが、これも左手で止めてみせた。
このビッグセーブを、鈴木はこう振り返る。
「自分の間合いに入れていたので、あとはボールを見て先に動かないことだけを意識しました。自分から仕掛けるというより、じっくりと待って対応することが上手くいったと思います」
相手の運動量が落ちてきたこともあるが、次第にアジャストしたことが反撃の狼煙となった。
「自分たちがやりたいこと、ラインブレイクや前線にぶつけて、そこからセカンドボールを拾っていく攻撃とか。
一人ひとりがボールを持った時に後ろ向きから前向きにターンをして逆サイドに展開することだったり、チャレンジをし続けてくれたことで後半はリズムも出ましたし、そのチャレンジが、より成功としてつながったと思っています」
すると78分、イサカ・ゼインがルーズボールを拾ってシュートを放つと、相手キーパーが弾いたボールを安井拓也が右足で蹴り込み振り出しに戻した。
だが喜びもつかの間、直後の80分には味方のクロスに反応した佐藤龍之介に右足で捻じ込まれ、再び、突き放されてしまう。
自分の後ろには誰もいない。ゴールを死守することが仕事だからこそ自身のプレーに物足りなさを感じている。



