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第13回「サッカー本大賞 2026」 受賞者のコメントを公開!


【写真:武馬怜子】


サッカー本大賞2026受賞者のコメント

 13回目を迎えたカンゼン主催の「サッカー本大賞2026」優秀作品7作品の受賞者よりコメントが届いたので一挙公開!

【大賞】

『ブラックアーセナル』
クライヴ・チジオケ・ヌウォンカ(編纂) マシュー・ハーレ(編纂) 山中拓磨(翻訳)
カンゼン刊



 この賞を受賞したことは、大変光栄です。『ブラックアーセナル』はもともと、アーセナルというクラブの広範な文化の中で、黒人の人々が歴史的に果たしてきた貢献や、そこにある個人的な物語や経験について考えるための構想でした。

 その結果として生まれた本書は、世界的にも予想以上の影響をもたらし、本書で語られる経験は世界中のさまざまな場所で共感を呼びました。この本とそのアイデアが、日本のアーセナルファンコミュニティでも評価されていることを非常にうれしく思います。

(クライヴ・チジオケ・ヌウォンカ)

『ブラックアーセナル』がこの賞を受賞できたことは光栄です。本書は、ロンドンのブラック・コミュニティやカルチャーとのクラブの関係性が、いかにしてアーセナルの現代的なアイデンティティを形づくってきたのかを、実際の生活に根づいた経験や歴史を通して描いたものです。

 この作品が国際的に読者の共感を呼び、日本のサポーターの皆さんにも評価されたことを、非常に喜ばしく思います。

(マシュー・ハーレ)

 いちアーセナルファンとして、アーセナルに関する本がサッカー本大賞を受賞したことを非常にうれしく思います。

『ブラックアーセナル』はひとりの著者によるものではなく、アンソロジー形式で、アーセナルファンや元選手、クラブスタッフなど、コミュニティに関わるさまざまな人々の声を収めた一冊です。

 翻訳者というあくまでメッセンジャーの立場ではありますが、本書の日本での刊行に携わり、彼らの言葉を日本の読者に届ける一助となれたのであれば幸いです。

(山中拓磨)


【大賞】

『なぜ超一流選手がPKを外すのか サッカーに学ぶ究極のプレッシャー心理学』
ゲイル・ヨルデット(著) 福井久美子(翻訳)
文藝春秋刊

 言葉ではとうてい言い表せないほど感謝しております。サッカー本大賞2026を受賞できたことを、この上なく光栄に思い、深く謙虚な気持ちです。

 本書を執筆するうち、これは私にとって単なる知的エクササイズというだけではないことがはっきりしてきました。この考えを世に発信することが、極めて重要であると。これがそれほど重要である理由とは、サッカー界において、50年にわたり、選手たちがPK戦の犠牲として捧げられてきたからです。

 文字通り、ほとんど、あるいは全く練習を行わず、ストレスへの対処法も教えず、準備もさせず、サポートもほとんどないままに、選手たちをPK戦へと送り出してきたのです。これは単に、指導者が選手に寄り添っていないという問題ではありません。サッカー業界全体の問題なのです。

 この本を通じて、私はこの現状を変えたいと願っています。サッカーに関わるすべての人々が、より多くの知識と体系的なアプローチ、そして思いやりを持って、この極めてストレスの多い局面に臨めるよう手助けしたい。

 私はサッカーという世界が、すべての人にとってより良い場所になることを願っており、本書で提示した洞察は、その方向への一歩となるでしょう。また、煎じ詰めれば、この本はPKについてだけのものではありません。

 これは、私たち一人ひとりが人生で直面するプレッシャーに満ちた瞬間と、いかに向き合うべきかについての本です。本書がまさにその助けとなることを願っています。

 その意味で、本書が日本でこれほど好評を博していることに心から感謝しており、このテーマについて、読者の皆様や日本の方々との活発な交流を続けていきたいと思っています。

 2022年のPK戦の敗戦に対して、森保一監督がどのような対応をしたかを知って、私は深く感銘を受けました。彼が示した心構えと学びは、こうした状況に対処する上での素晴らしい手本です。そして、この夏のワールドカップで、特に試合がPK戦に持ち込まれた場合に、森保一監督と日本代表チームが健闘することを願っています。

 遠藤保仁さん、ありがとうございました。本書のためにインタビューさせていただき、光栄でした。また、そのインタビューの手配にご協力いただいた荒木香織さんと山中拓磨さんにも感謝いたします。

 最後に、多大な貢献をしてくださった翻訳者の福井久美子さんに感謝し、この栄誉を分かち合いたいと思います。この本をまとめ、日本で出版するという素晴らしい仕事をしてくださった日本の出版社、文藝春秋にも感謝申し上げます。ありがとう。

(ゲイル・ヨルデット)

 この度は、『なぜ超一流選手がPKを外すのか』をサッカー本大賞に選んでいただき、心より感謝申し上げます。

 本書は、スポーツ心理学者のゲイル・ヨルデット教授が、長年のPK研究を基に書き上げた集大成です。PK×心理学という異色のサッカー本で、いわゆる王道ものではないこともあり、大賞を受賞したと聞いて驚きました。ありがとうございます。翻訳者としてこの本の制作に関われたことを光栄に思います。

 PKは、実にシンプルな勝負に見えます。ゴールからわずか11メートルの距離からボールを蹴り込むだけ。ディフェンスはいない。障害はゴールキーパーただ1人。キッカーに圧倒的に有利な状況です。にもかかわらず、世界最高峰の名選手ですら、成功率は100%には遠く及びません。なぜか? PK失敗の最大の原因はプレッシャーにあるとヨルデットは主張します。

 PKを蹴る直前、蹴る瞬間、蹴った後のキッカーの心理状態はどのようなものか? キーパーや対戦チームはどんな心理戦を仕掛けてくるのか? PKのプレッシャーに打ち勝つために、チームや監督にできることは何か? ヨルデットはさまざまな研究結果や独自の分析を織り交ぜながら、こうした疑問の答えを模索し、PKの成功率を上げるために何ができるかを追究しています。サッカー好きの読者だけでなく、選手や監督もたくさんの洞察が得られる良書です。

 今年はいよいよFIFAワールドカップ北中米大会が開催されます。サッカーを盛り上げるのに、この本が少しでも貢献できればうれしいです。

 最後になりますが、選考委員のみなさまと、本書の制作に携わってくださった大勢の方々に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。

(福井久美子)


【特別賞・読者賞】

『早稲田サッカー 百年の挑戦』
伊東武彦(著)
徳間書店刊

 アイスホッケーを題材にした前作で賞を受け、選者だった作家の故・高橋三千綱さんに「賞は褒美ではなく次作への糧だから、ちゃんと次を書くよう」と釘を刺されてから11年、会社員生活にかまけてきましたが、ようやく次の書き下ろし作品を「ホーム」で出すことができました。

 その間もなお冷え込む活字の世界で、正統なノンフィクションをハードカバーで出せること自体が僥倖にほかなりません。四季をなぞりつつ現在と過去を交錯させるという、いわゆる周年本としては異例の読み物を書かせてくれた版元と取材先の度量にまずは感謝します。

 あとがきにも書きましたが、大海を投網でさらうようなやり方で尺は長大、題材は一大学のサッカー部と読者を限定する本です。サッカーを通して普遍的な青春譚が透け出るように書いたつもりでもいますが、売れ行きはともかく知人に献本してもあまりのボリュームに絶句されるばかりで、とんでもないパスミスをやらかしたのかと肩を落としていたところに届いた吉報でした。

 今作にも影響を受けた、とはいえ遠く及ばないスポーツノンフィクションの傑作『FRIDAY NIGHT LIGHTS』を若い自分に読ませてくれた佐山一郎さんら目利きが揃う選考委員のお眼鏡に叶い、救われた思いを強くしています。今度こそはこの特別な賞を糧にし、意欲をもって次作に取りかかろうと決めました。
とてもうれしいです。ありがとうございます。

【読者賞に寄せて】

 20代半ばから雑誌の世界に身を置いて記事を書き、サッカー誌の編集長やニュース週刊誌の副編集長も務めました。その間いつでも意識してきたのは何よりも自分たちが発信するものに関心を寄せてくださり、売り上げという生命線を維持してくれる読者のみなさまです。

 直接は顔の見えない方々の反応をうかがいながら企画を立て、売り上げや投書をもとにまた次号に向かう繰り返しの数十年でした。畏れ多く、ときに胸のうちが読めない恋人のような存在でしたので、いまでも「読者」と聞くといささか身構えてしまうところがあります。

 だからこそ今回、読者を選ぶこの本が選考委員の方々の目に留まったばかりでなく、一介の書き手になっても一番大切にしなければならない読者のみなさまからのご好評が届いたことに、こそばゆさとありがたさを感じています。思えば雑誌の記者、編集者時代にも、電話でお叱りを受けるのと同じくらいの数をいただいた励ましのはがきや封書が――まだネットの書き込みやAmazonのレビューが一般的ではない時代です――売り上げ以上に筆を持つ力になっていた気がします。

 今回も同じように励ましの声が集まったことが思わぬ受賞につながったと思うことにします。それを次作に向かう力にできるとすれば、こんなにうれしいことはありません。本書を読んでくださったみなさま、一票を投じてくださったみなさまに心より感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございました。

(伊東武彦)


【特別賞】

『サッカーはデータが10割 最強アナリストが明かすプレミアリーグで優勝する方法』
イアン・グラハム(著) 木崎伸也(監修) 樋口武志(翻訳)
飛鳥新社刊

 サッカー本大賞の特別賞に選んで頂き、ありがとうございます。本書に関してあくまで僕は監修の関わりにすぎないのですが、サッカーにおけるデータ利用の最先端の本ですので、より多くの人に知って頂く機会を得られて嬉しいです。

 本書のプロモーションの一環で著者のイアン・グラハムさんにインタビューする機会があり、グラハムさんの現在の活動についても聞くことができました。グラハムさんはリバプールから離れた後、データでクラブを支援する会社を立ち上げ、契約しているクラブの選手発掘や監督採用を手助けしているそうです。

 グラハムさんがリバプールで同僚とともに確立した「ポゼッションバリューモデル」はデータ分析の分野に革命を起こし、今では他のデータ会社も似たモデルを開発するようになりました。かつて「サッカーという複雑系のスポーツにおいてデータは役に立たない」と思われていましたが、その固定概念は完全に覆されました。

 今後、さらにデータが意思決定に介入していくはず。本書は歴史の分岐点を描いた作品であり、サッカー史に残る名著と言っていいでしょう。

(木崎伸也)

 特別賞をお贈りいただきありがとうございます。
 まず、著者イアン・グラハムさんによるサッカーデータ分析の重要な成果であり、リバプールがCL優勝へと至る貴重な記録である本書を、無事に届けることができて安堵しております。

 この本は友人・知人のなかでも話題にのぼることが多かったため、サッカー界にとどまらない広がりを感じていました。データ分析の最先端を知る。過小評価されている選手を発見して獲得するまでの舞台裏を垣間見る。データを活かしてチームを強くしていく組織論として読む。さまざまな楽しみ方ができる本です。この賞をさらなるきっかけとして、サッカーファン、リバプールファンのみならず、多くの人の目に触れることを願います。

 小さい頃からのいちサッカー人として、この本の翻訳に携われたことは本当に光栄でした。

(樋口武志)


【優秀作品賞】

『プレミアリーグ全史[1][2][3]』
ベン・メイブリー(著)
平凡社刊

 このような素敵な機会をいただき、ありがとうございます。

「いつかベンさんにプレミアリーグについての本を書いてもらいたい」——。そんな想いを抱いたことがこの本の出発点でした。著者のベン・メイブリーさんと一緒に約2年にわたり作ってきた『プレミアリーグ全史1~3』。

 プレミアリーグ好きはもちろんのこと、日本中のサッカーファンの皆さまにぜひともご覧いただきたい内容になっています。単にリーグの歴史を編年体で追うだけではなく、時代を象徴するダービーマッチや“事件”などを軸にしながら、リーグの変遷を振り返る内容になっています。

 カバーもこだわり、デザイナーの三谷明里さんのアイデアで、1巻はマンチェスター・ユナイテッド、2巻はアーセナル、3巻はマンチェスター・シティのチームカラーを採用しました。書店でパッと目を引くデザインです。

 本年2026年は待望のW杯が開催されますし、サッカーを通じたさまざまな“輪”がひろがっていくことを愉しみにしております。

(平凡社 編集部・平井瑛子)

『PEACE WING -広島サッカースタジアム 構想・設計・建設の記録』
広島サッカースタジアム単行本制作委員会(編著)
建築画報社刊

 この本は、スポーツによる街づくりを後押しするサッカースタジアムを設計、建設して、地域を元気にするために、ある意味で我々が色々苦労したことを皆さんに開示するという目的で制作しました。改めて、日本がサッカーによる街づくりによって元気になることを期待したいと思います。このたびはありがとうございました。

(環境デザイン研究所・仙田満)

 優秀作品賞をありがとうございます。この本は、専門的な内容も多々含まれますが、一般の方が読まれても十分楽しめる内容になっているので、ぜひ手に取っていただきたいです。そして、本書を通してスタジアム設計の奥深さ、楽しさを知ってほしい。これからのスタジアム観戦の楽しさを広げるような一冊になればと思っております。

(東畑建築事務所・執行真史)

 建築設計の仕事を35年やっておりますが、建築の賞とは別に、サッカー、書籍という形で賞をいただけたことを大変嬉しく思っております。エディオンピースウイング広島は2024年にオープンしましたが、街中に開かれたスタジアムとして、試合がある日はもちろん、試合がない日も人々が集い、賑わいが生まれるような場所を目指して計画いたしました。

 また、スポーツ施設・サッカー施設が都市の核となって、地域の価値や魅力を高めていくような可能性を形にできたのではないかと思っております。この本を通じて、スタジアムがさらに地域・地方に広がり、サッカー文化の発展に繋がっていくことを楽しみにしております。

(大成建設・伊藤真樹)

『史上最強のサッカー日本代表をつくるために僕はベルギーへ渡った』
立石敬之(著)
日経BP刊

 このたびは『史上最強のサッカー日本代表をつくるために僕はベルギーへ渡った』を「サッカー本大賞2026」優秀作品に選んでいただき、誠にありがとうございます。著者の立石敬之さん、文・構成を担当してくれた塩谷耕吾さん、松岡祐司さんと喜びを分かち合い、あらためて謝意を伝えたいと思います。

 この本は、「サッカー日本代表をもっともっと強くしたい」という思いを胸に、ベルギー1部リーグ、シント=トロイデンVV(STVV)の経営に乗り出した立石さんが「欧州の壁」に挑んだ8年を綴ったものです。様々な障壁と闘いながら、STVVは多くの代表選手を輩出し、今シーズンは悲願の欧州CL進出を射程に入れた上位争いを繰り広げています。

 優れた“起業家”である立石さんがサッカー界に起こした変革を、弊社の主要読者であるビジネスパーソンにも広く知ってもらいたいと考え、企画・編集した本ですが、立石さんから学ぶべきことは、この先さらに増えていきそうです。

 ビジネス書・経済書をメインとする出版社ですが、サッカー界、スポーツ界の傑出した才能を取り上げる本を今後も作っていきたいと思います。今回の受賞は大きな励みになりました。重ねて御礼申し上げます。

(日経BP・村上広樹)



【サッカー本大賞とは】
良質なサッカー書籍が、サッカー文化を豊かにする。
2014年(平成26年)に設立された、サッカーに関する書籍を対象にした賞です。
良い本はサッカーの見方を豊かにしてくれます。また、日本でサッカーがナンバー1スポーツになり、世界に誇れるサッカー文化を築いていくためには、高い志と情熱をもって創られた良質なサッカー書籍がもっともっと多く世に出て、多くの人に読まれて欲しいと考えています。サッカー本大賞の創設はそのような思いが出発点になっています。
【公式HPはコチラ】

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【了】

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