サッカー日本代表 三笘薫【写真:田中伸弥】
三笘薫選手は、現代サッカーに必要な能力をほぼ兼ね備えている。単純な足の速さでは測れないオン・ザ・ボールでの「サッカー的スプリント」高さは特筆に値する。史上最強との呼び声が高いサッカー日本代表アタッカー11人の「動作的特徴」と「身体的特徴」を徹底的に解析した『サッカー日本代表アタッカー動作解析図鑑』より、「日本のエース」三笘薫選手最大の武器である緩急自在の幻惑ドリブルのメカニズムに迫った章を一部抜粋で公開する。前編(文:三浦哲哉 )
緩急自在の幻惑ドリブル
疾風のごとくの速さに、緩急自在の鋭いドリブル突破、華麗なボールスキル、正確なコントロールショット、そして攻守両面でのハードワーク。
現代サッカーで必要となる能力を兼ね備え、世界最高峰のイングランド・プレミアリーグで、本場の大観衆をも唸らせるようなハイレベルのパフォーマンスを披露し続けている三笘薫選手は、まさに「日本のエース」と呼ぶに相応しい存在となっています。
しなやかでスピード感あふれるプレーが特徴の三笘選手は、単純な足の速さだけではなく、トップレベルのアタッカーに共通する、オン・ザ・ボールでの「サッカー的スプリント」の質の高さを、随所に見せてくれます。
主戦場となる左サイドでドリブル突破を仕掛けるシーンでは、「軸足リード」と呼ばれる、身体の真下に置いたボールを後ろ足(右)で運んで距離感とタイミングを錯覚させる技術や、スラッとした長い脚を駆使して相手選手の逆を取るフェイントはもちろん秀逸ですが、何よりも仕掛けてからの爆発的な加速力に、まずは目を惹かれるのではないでしょうか。
速く走るためには、上半身の姿勢を保持しながら、身体の中心部分にあたる骨盤と股関節を連動させて、着地のタイミングで地面に大きな力を加える必要があります。
いわゆる体幹の安定性に寄与する腹〜腰回り・下腹部の筋群と、臀部・太腿の筋群を協調させて脚力を発揮することが重要になってきます。
スプリントの初速では、着地した支持脚の股関節を伸展(後ろに伸ばす)することによって前方への推進力が生み出されます。
この伸展動作に股関節の内旋(内側に捻る)と外転(外に開く)が連動することで、ストライドを広げるために重要となる、反対側(遊脚)の骨盤を持ち上げる動きが誘発されます。
この「骨盤の挙上」を伴った片脚立ちの動きは、「ヒップロック」とも呼ばれ、スプリントや方向転換での加速や、ランニングジャンプでの跳躍に必要な、支持脚側の骨盤を押し下げて地面に大きな力を加えるためのキーポイントになります。
ロサンゼルス・ドジャースで活躍する大谷翔平選手が塁上で見せる、両手を上げて片脚立ちをするパフォーマンスは、この動きを模したものとされています。
(文:三浦哲哉)
<書籍概要>

『サッカー日本代表 アタッカー動作解析図鑑』
三浦哲哉 著 須田芳正 監修
定価1,980円(本体1,800円+税)
世界一詳しすぎる日本が誇る「蒼き侍の攻撃力」の攻略本
三笘薫選手の反発ステップ、伊東純也選手のクロス、久保建英選手のカットイン……。超一流アタッカーの身体動作はなぜあれほどまでに美しく、そして語りたくなるのか? 史上最強との呼び声が高いサッカー日本代表アタッカー11人の「動作的特徴」と「身体的特徴」を徹底的に解析し、約100点の動作・身体イラスト&アイコンを駆使しながら、それぞれのすごさを余すことなく言語化した唯一無二の身体動作解析本。
【了】
